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ホッカイドウ競馬開催終了

  • 2021年11月10日(水) 18時00分

来季は思い切った賞金増額で白熱したレースを望む


 すでに報じられている通り、今年度のホッカイドウ競馬の開催が、11月4日(木)をもって全日程を終えた。4月14日に開幕し、全82日間(15開催)で、昨年の記録を上回る522億9969万2470円(SPAT4LOTOを含む)を売り上げ、二年連続で年間500億円の大台に乗せた。今年も無観客の期間があったり、緊急事態宣言解除後も入場制限などによってファンには何とも厳しい年となったが、コロナ禍での巣ごもり需要による効果なのか、ネット発売は引き続き堅調に推移して、売り上げの記録更新が実現した。

生産地便り

フェンス越しにカメラを向けるファン


 最終日、11月4日は、道営スプリントと道営記念の重賞二本立てで締めくくった。道営スプリントは、1着賞金1000万円。12頭が出走し、1200mで争われた。レースは、9番アザワクがスタート直後すぐに先手を取ると、そのままハナを譲らずに押し切り、クビ差でスティールペガサスを退けて1着でゴールインした。

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道営スプリントゴール前


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▲▼道営スプリントを優勝したアザワク


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 勝ったアザワクは4歳青鹿毛の牝馬。父カレンブラックヒル、母ヒバリエクスプレス、母の父アグネスデジタルという血統。桑村真明騎手が騎乗。角川秀樹厩舎の管理馬。馬主は(株)オリオンファーム、生産は村上雅規氏。通算成績は24戦8勝2着3回3着4回、獲得賞金は4139万円。

 続いて今年度の掉尾を飾る「第64回道営記念」(2000m、1着賞金1500万円)には、15頭がエントリー。レースは7番サンビュート(五十嵐冬樹騎手)、6番リンノレジェンド(桑村真明騎手)が先行する形で進んだが、3コーナーから4コーナーにさしかかったところで昨年の覇者13番クインズサターン(落合玄太騎手)が2頭の外側から一気に襲い掛かり、直線を向くと先頭に躍り出て、危なげなくゴール板を駆け抜けた。2着には直線、よく追い込んだ15番オタクインパクト(宮崎光行騎手)が1馬身2分の1差まで迫り、3着には1番ルールソヴァール(岩橋勇二騎手)が入った。1番人気のサンビュートは果敢に先行したものの、10着に敗退した。

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▲▼道営記念を連覇したクインズサターン


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 クインズサターンは昨年に続く道営記念連覇で、鞍上の落合玄太騎手はゴール手前で右手に持った鞭を高々と振り上げる余裕を見せた。

 クインズサターンは8歳の牡芦毛。父パイロ、母ケイアイベローナ、母の父クロフネという血統で、安田武広厩舎の管理馬。馬主は亀田和弘氏。生産は佐竹学氏。これで通算成績は44戦12勝2着6回3着7回となり、獲得賞金は2億2567万円(中央出走時を含む)となった。

 ともかく、ホッカイドウ競馬はこれで無事に今年度の開催を終えたわけだが、好調な馬券売り上げを背景に、来年は大幅な賞金増額に踏み切らざるを得ないだろう。

 例えば、この道営記念。1着賞金が1000万円の大台に乗ったのは1976年のこと。その後、1990年には2000万円、そして1991年には2500万円に増額されて、1997年、1998年には3000万円にまで到達した。

 ただし、この2年間をピークに、その後は馬券売り上げ低下とともに道営記念の1着賞金も一気に減額されて、2000年には1500万円、2002年には1000万円まで下がってしまった。

 それ以後、2017年までの16年間は1000万円時代が続き、現在の1500万円に増額されたのは2018年のことだ。

 この伝統の一戦は、ホッカイドウ競馬版「有馬記念」のようなもので、開催終了日を飾る大レースである。来季は思い切った増額が望まれる。

 ホッカイドウ競馬のレベルアップは、まず賞金増額が最も近道であろう。より強い馬を集めるためには、結局のところ、魅力的な賞金でしかアピールできない。生産地に近いという地理的条件から、2歳馬は毎年数多く入厩しハイレベルなレースが展開されているが、3歳以上、古馬の層の薄さは何とも物足りなく感じる。全体的な底上げはもちろんのことだが、まずはこの道営記念や道営スプリント、3歳3冠路線など、主要レースの大幅アップが必要だ。魅力ある賞金体系になれば必ず他地区からの遠征馬も増えて白熱したレースが繰り広げられるはず。2年連続の500億円突破は、ホッカイドウ競馬が大きく躍進する絶好のチャンスともいえる。

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道営記念関係者記念撮影

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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