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貴重なタピッツフライの血を受け継ぐグランアレグリア

  • 2021年11月22日(月) 19時00分

先週の血統ピックアップ


・11/21 マイルCS(GI・阪神・芝1600m)
 直線で大外から伸びたグランアレグリアがシュネルマイスターの追撃を3/4馬身抑え、2連覇を達成しました。4番枠だった昨年は、馬群から抜け出す際に進路を探すロスがありましたが、今年は12番枠だったこともあり、安全に外を回ってスムーズに突き抜けました。どちらのレースもただただ強いという感想しかありません。歴史に残る名マイラーといっていいでしょう。芝マイルGIのタイトル数はこれで「5」。タイキシャトル、ウオッカ、モーリスを抜いて歴代単独トップに立ちました。

 母タピッツフライはアメリカでジャストアゲームS(米G1・芝8f)、ファーストレディS(米G1・芝8f)などを制した活躍馬。ノーザンファームが輸入したあと、ディープインパクトを父に持つ2頭しか仔を残せず、2018年春に11歳で早世しました。姉弟のうち、弟のブルトガングは新馬戦を勝ったあと腰フラで安楽死となってしまったので、タピッツフライの血を受け継ぐ馬は、姉グランアレグリアしかいません。無事繁殖入りできたことを祝福したいと思います。

・11/20 東京スポーツ杯2歳S(GII・東京・芝1800m)
 後方を追走したイクイノックスが直線で外から伸び、アサヒに2馬身半差をつけて1番人気に応えました。これでデビュー2連勝、父キタサンブラックは初年度の2歳戦から早くも重賞勝ち馬を出しました。現在、JRA新種牡馬ランキングでドレフォン、シルバーステートに次ぐ第3位。自身は2年連続年度代表馬に選ばれた名馬ですが、本格化したのは3歳夏以降だったので、早熟タイプではなく、他の新種牡馬に比べると出走回数が少な目。現在、ドレフォンは77頭、シルバーステートは52頭デビューしていますが、キタサンブラックは36頭。年末や年明け以降にデビューする馬も多いはずです。

 母の父キングヘイローは、父としてローレルゲレイロやカワカミプリンセス、ダイアナヘイローなどの活躍馬を出しましたが、母の父としての能力は素晴らしく、ピクシーナイト、ディープボンドなどすでに9頭の重賞勝ち馬を出しています。本馬はヴァイスメテオール(父キングカメハメハ/ラジオNIKKEI賞)の半弟。

 母父キングヘイローの父は80年代の欧州最強馬ダンシングブレーヴですが、母方にダンシングブレーヴを持つキタサンブラック産駒は3頭出走してすべて新馬勝ちを果たしています(イクイノックス、ビジュノワール、ユキノエリザベス)。ダンシングブレーヴはブラックタイド(キタサンブラックの父)の母の父アルザオと配合構成がきわめてよく似ており、この2つの血の関係がニックスの鍵でしょう。ちなみに、ブラックタイドはディープインパクトの全兄ですが、ディープインパクトの息子とキングヘイロー肌の関係も素晴らしく、ディープボンド(父キズナ)、ウォーターナビレラ(父シルバーステート)が重賞勝ちを果たしています。このパターンは注目です。

今週の血統注目馬は?


・11/27 カトレアS(2歳OP・東京・ダ1600m)
 2歳秋に東京ダ1600mで行われる1勝クラス以上のレースは、2011年以降、ゴールドアリュール産駒が[4-5-1-11]、勝率19.0%、連対率42.9%と圧倒的な成績を収めています。すでにゴールドアリュール産駒の2歳馬は存在しませんが、その孫にあたるコパノニコルソン(父コパノリッキー、その父ゴールドアリュール)、ペイシャエス(父エスポワールシチー、その父ゴールドアリュール)、マルブツプライド(母の父ゴールドアリュール)の3頭がその血を引き、登録馬に名を連ねています。穴をあけるとしたらこれらかもしれません。

今週の血統Tips


 2001年から2010年までの10年間は、ジャパンCに出走した外国馬は年平均5.6頭いたのですが、2011年以降の10年間は2.9頭と約半分に減っています。とくにここ3年間は、2、0、1頭とごくわずかで、ジャパンCは歴史的役割を終えた――という意見もあったほどです。

 今年は3頭出走予定なので、ここ最近では頑張ったほうだと思います。ジャパンとブルームは、キーファーズの松島正昭さんがクールモアと共同所有する馬で、いずれもガリレオが父系に属しています。ガリレオはクールモアグループの大黒柱で、ここ十数年、同グループの世界的覇権を支えてきた大種牡馬です。英愛チャンピオンサイアーの座に11年連続、通算12回就いているのですが、今年は息子フランケルにその座を明け渡す可能性が高まっています。

 ガリレオ産駒は日本競馬と相性がいいとはいえず、これまで多くの産駒が輸入されたものの、一度も重賞を勝っていません。ガリレオを父に持つジャパン(ブルームは2代父)は、今年に入ってヨーロッパでG3を2勝。しかし、11月のブリーダーズCターフでは4着と頑張っています。硬い芝は得意なタイプ。おそらくガリレオ産駒が日本の重賞を勝つラストチャンスでしょう。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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