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期待と記録がかかる地方馬2頭

  • 2021年11月30日(火) 18時00分

例年以上に活躍が目立った地方馬豊作の一年


 今年も残すところあと1カ月。今週は地方馬にとって楽しみなダートグレードレースが行われる。

 まずは明日(12月1日)の船橋・クイーン賞。大井のサルサディオーネには、このレース連覇と、ダートグレードは今年3勝目、通算5勝目の期待がかかる。

 今年金沢競馬場が舞台となったJBCレディスクラシックに挑戦したサルサディオーネだったが、大井移籍後では南関東以外への初めての遠征で、慣れない環境に戸惑いもあったようだ。もっとも懸念されていたのは、中央時代も含めて3着以内が一度もない右回りで、ハナはとったものの4コーナーで一杯になってしまい、能力を発揮できなかった。

 しかし今回は得意のコース。ここまでダートグレード4勝のうち3勝が船橋コースで、しかも牡馬一線級相手の日本テレビ盃も制した1800メートル戦。トップハンデの56.5kgだが、今年川崎のスパーキングレディーCでは56kgで6馬身差圧勝だっただけに、それほど苦にすることはないのではないか。このあと牡馬相手のビッグレースでも制する牝馬が現れない限り、2年連続のNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬はほぼ確定的な状況だ。

 もし今回サルサディオーネが勝てば、ダートグレード通算5勝となり、2009、12年と、2度のNARグランプリ年度代表馬に輝いたラブミーチャンに並んで、地方所属の牝馬としてはダートグレード勝利数最多タイとなる。

 ちなみにラブミーチャンは、09年の年度代表馬ではJpnIの全日本2歳優駿のタイトルがあったが、12年に年度代表馬になったときに制したダートグレードはJpnIIの東京盃だけ(ほかに地方重賞2勝)。

 サルサディオーネは今年、同じく牡馬相手のJpnII日本テレビ盃を制しており、そういう意味では年度代表馬級の活躍ともいえる。

 ただ今年は牡馬にカジノフォンテン、ミューチャリー、キャッスルトップとJpnI勝ち馬が3頭もいるという、近年まれに見る地方馬豊作の年となっただけに、サルサディオーネにとってはピークを迎えた(と思われる)年が悪かった。

 ちなみに、地方馬でGI/JpnI勝ち馬が年間3頭出現したのは、アブクマポーロが川崎記念を勝ち、メイセイオペラがフェブラリーSと帝王賞、さらにオリオンザサンクスがジャパンダートダービーを制した1999年以来、じつに22年ぶりのこと。

 話がそれたが、今週楽しみなもう1頭は、チャンピオンズCに出走予定となっているカジノフォンテン。サルサディオーネと同じく、JBCクラシックは初めての南関東から外への遠征で、やはり環境の変化などで影響はあったようだ。帝王賞から2戦連続で掲示板を外しているだけに人気にはならないだろうが、川崎記念、かしわ記念を制しているように、左回りを狙っての挑戦のようで、ここはあらためて期待したいところ。

 あのフリオーソでも1年間のGI/JpnI勝ちは2勝までで、もしカジノフォンテンが勝てば、年間GI/JpnI・3勝は98年のアブクマポーロ(川崎記念、帝王賞、東京大賞典)、06年のアジュディミツオー(川崎記念、かしわ記念、帝王賞)以来のこととなる。

 一方で地方馬として初めてJBCクラシックを制したミューチャリーの次走は東京大賞典になるようで、年末に向けては地方馬豊作の年のNARグランプリ年度代表馬の行方も気になるところだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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