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6馬身差の圧勝劇、来年のダート中距離戦線の主役となるか

  • 2021年12月06日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・12/5 チャンピオンズC(GI・中京・ダ1800m)
 中団馬群を追走したテーオーケインズが残り300mで先頭に立ち、チュウワウィザード以下に6馬身差をつけて圧勝しました。ダートGIにおけるこの着差は、クロフネが7馬身差で勝った2001年のジャパンCダート以来のものです。前走のJBCクラシックでは1番人気に推されたものの、スタートで大きく出遅れてしまい、馬券圏内にも入れず4着に終わりました。今回はその鬱憤を晴らす圧勝でした。

 父シニスターミニスターは、アメリカの主流ラインのひとつエーピーインディ系に属しています。これまでにインカンテーション、キングズガード、ヤマニンアンプリメなどを出し、ダート界を代表する種牡馬の一頭と評価され、毎年100頭以上の繁殖牝馬を集めています。母マキシムカフェの半妹タマノブリュネットは、大井競馬場のダートグレード競走レディスプレリュードを勝ちました。生産したヤナガワ牧場は、キタサンブラック、コパノリッキー、コパノリチャード、サンライズノヴァなどを出している名門です。来年の中距離ダート戦線はテーオーケインズを中心に回っていきそうです。

・12/4 チャレンジC(GIII・阪神・芝2000m)
 2番手追走から直線入口で先頭に立ったソーヴァリアントが、後続に3馬身半差をつけて楽勝しました。セントライト記念でクビ差2着と健闘後、右後肢を中心に筋肉疲労が残っていたため菊花賞を回避。十分な間隔を取ってここに臨んでいました。弥生賞ディープインパクト記念で4着に食い込んだように、春から高い能力を示してはいたのですが、ここにきて本格化した印象です。

 母ソーマジックは桜花賞3着馬で、繁殖牝馬として成功。これまでにマジックキャッスル(愛知杯)、ソーグリッタリング(エプソムC-2着)などを産んでいます。「オルフェーヴル×シンボリクリスエス」という組み合わせは、他にオーソリティ(アルゼンチン共和国杯2回、青葉賞、ジャパンC-2着)、エスポワール(ターコイズS-2着)などを出しているニックス。ちなみに、ソーヴァリアントを含めた3頭は、母方の奥に4分の3同血のフェアリーキングまたはサドラーズウェルズを抱えているので、配合構成がよく似ています。

今週の血統注目馬は?


・12/12 常総S(3勝クラス・中山・芝1800m)
 中山芝1800mに強い種牡馬はロードカナロア。連対率29.2%は、2011年以降、当コースで産駒が20走した種牡馬のなかで1位タイ。このレースにはホウオウエミーズとヴェイルネビュラの2頭が登録しています。注目したいのは前者。過去、当コースで5回連対しており、前走、アタマ差2着と好走したレインボーSは今回と同じ3勝クラス。2走前には50kgの軽ハンデだったとはいえ重賞のマーメイドSで5着に食い込んでいます。実力通り走ることができれば今回も勝ち負けに持ち込めるでしょう。

今週の血統Tips


 11月末時点のJRA2歳種牡馬ランキングは、1位ディープインパクト、2位ドゥラメンテ、3位ドレフォン、4位ロードカナロア、5位エピファネイアの順。ディープインパクトの首位は定位置ですが、2位との差が約1300万円しかありません。例年であれば1億、2億の大差がついているのですが、今年は上位数頭が差のない混戦で、最終的にどの種牡馬が2歳種牡馬チャンピオンの座につくのかまったく分からない状況です。阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティS、ホープフルSという3つのGIレースの結果次第でしょう。

 ランキングは出走回数に左右されるのですが、ディープインパクトはわずか94回で、2位ドゥラメンテが216回ですから半分以下です。2〜5位の最少出走回数は4位ロードカナロアの159回なので、ディープインパクトがいかに少ない出走頭数で効率よく賞金を稼いでいるかがお分かりいただけるかと思います。今週の阪神ジュベナイルフィリーズにはスプリットザシー、パーソナルハイの2頭が登録しています。人気はありませんが、過去10年間で3勝、2着2回、3着2回という成績ですから侮れません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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