スマートフォン版へ

注目のリーディング・フレッシュマン・サイアーズ・ランキング

  • 2021年12月08日(水) 12時00分

ガンランナーは年間最多賞金獲得額の新記録を樹立


 北半球における2021年の競馬開催も残り3週間余りとなった中、注目のリーディング・フレッシュマン・サイアーズ・ランキングも、各国で情勢が固まりつつある。

 イギリスとアイルランドの統計を合算したフレッシュマン・サイアー・ランキングで、12月3日現在で初年度産駒たちが58万7056ポンドを獲得し、首位に立っているのは、18年にクールモアスタッドで種牡馬入りしたカラヴァッジオ(父スキャットダディ)だ。

 現役時代はエイダン・オブライエン調教師の管理下におかれ、2歳時に4戦してG1フェニックスS(芝6F)を含む無敗の4連勝をマーク。3歳時もロイヤルアスコットのG1コモンウェスルC(芝6F)を制し、仕上がり早で豊かなスピードを誇る馬として、大きな期待を背負っての種牡馬入りとなった。

 初年度の種付け料は、3万5千ユーロだった。

 カラヴァッジオの初年度産駒はここまで60頭がデビューした中、勝ち上がったのは17頭で、勝ち上がり率の28.3%というのは、フレッシュマン・サイアーズ・ランキング上位5頭の中では最低なのだが、G2デビュータントS(芝7F)、G3シルヴァーフラッシュS(芝7F)という2重賞を制した他、G1モイグレアスタッドS(芝7F)で2着に入ったアガルタ(牝2)という大物が出たおかげで、2位のコータイグローリー(父エクシードアンドエクセル)に7万5千ポンド以上の差をつけて首位に立っている。

 なおカラヴァッジオは繋養4年目の2021年から、ケンタッキーのアシュフォードスタッドに供用場所を移しており、2022年の種付け料は3万5千ドルと発表されている。

 フランスのフレッシュマン・サイアー・ランキングで首位に立っているのが、アガ・カーン殿下のボネヴァル牧場で繋養されているザラック(父ドバウィ)だ。初年度産駒たちはここまで46万9655ユーロを収得しており、2歳総合ランキングでも3位に食い込む大健闘を見せている。

 母が、現役時代は7戦し、G1凱旋門賞(芝2400m)を含む無敗の7連勝をマークしたザルカヴァで、ザラックはその4番仔となる。

 3歳時は、G1仏ダービー(芝2100m)2着、G1ムーランドロンシャン賞(芝1600m)4着など、G1で好走しながらも重賞制覇には手が届かなかったが、4歳2月にメイダンのG3ドバイミレニアムS(芝2000m)を制し待望の重賞初制覇を果たすと、4歳7月にG1サンクルー大賞(芝2400m)を制しG1初制覇を果した。

 2018年に1万2千ユーロの種付け料が設定されて種牡馬入り。自身が遅咲きだったため、産駒も仕上がりに時間がかかる馬が多いと見られていたのだが、ここまでフランスでデビューした18頭のうち実に9頭が勝ち上がり、勝ち上がり率50%という驚異的な数字をマークして、関係者を驚かせている。

 フランスで、凱旋門賞のアンダーカードとして行われたG1マルセルブーサック賞(芝1600m)で2着となったタイムズスクエア(牝2)や、G1クリテリムインターナショナル(芝1600m)で3着となったパープルペイ(牝2)を送り出した他、ドイツでG3ディーヴンターコーニギン賞(芝1600m)勝ち馬リザイド(牝2)が出現。勝ち上がり率が良いだけでなく、重賞戦線での活躍馬を出している。

 この結果を受け、同馬の2022年の種付け料は2万5千ユーロに上昇することが発表されている。

 フランスにおけるザラックを上回るセンセーションを巻き起こしているのが、アメリカのフレッシュマン・サイアーズ・ランキングで首位を走るガンランナー(父キャンディライド)だ。

 2歳秋から重賞戦線に顔を出し、G1ケンタッキーダービー(d10F)で3着になったが、本格化したのは4歳時で、G1BCクラシック(d10F)を含む4つのG1を制し、全米年度代表馬に選出されたのがガンランナーである。

 2018年にスリーチムニーファームで種牡馬入りし、初年度の種付け料は7万ドルだった。

 ザラック同様、いささか遅咲きだったことから、2歳時から産駒が動くことは期待されていなかったが、8月7日にパパキャップ(牡2)がデルマーのG2ベストパルS(d6F)を制し、産駒の重賞勝ち馬第1号になると、翌日にはウィックドヘイロー(牝2)がサラトガのG2アディロンダックS(d6.5F)に優勝。さらに、9月6日にはガンナイト(牡2)がサラトガのG1ホープフルS(d7F)を制し、産駒初のG1勝ち馬に。10月3日にベルモントパークのG1フリゼットS(d8F)を制したエコーズールー(牝2)が、11月5日にデルマーで行われたG1BCジュヴェナイルフィリーズ(d8.5F)も制し、2歳牝馬チャンピオンの座を確実にしている。

 同馬の初年度産駒の通算獲得賞金は、11月28日の段階で380万ドルに到達。2015年にアンクルモーがマークした367万354ドルを上回り、ファースト・クロップ・サイアーとしての年間最多賞金獲得額の新記録を樹立している。

 この大活躍を受け、ガンランナーの2022年の種付け料は、12万5千ドルに上昇することが発表されている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング