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まだまだタイトルを積み上げる可能性があるサークルオブライフ

  • 2021年12月13日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・12/12 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI・阪神・芝1600m)
 中団につけたサークルオブライフが直線で大外から突き抜け、ラブリイユアアイズ以下の追撃をしりぞけて2歳女王の座につきました。アルテミスSに続いて重賞2勝目、通算成績は4戦3勝です。

 父エピファネイアは現役時代にジャパンC、菊花賞などを制した中長距離タイプ。名牝シーザリオを母に持ち、リオンディーズ、サートゥルナーリアの半兄にあたる超良血です。来年の種付け料は1800万円。ついにわが国の最高価格種牡馬となります。エフフォーリア、デアリングタクトなど、世代を代表する大物産駒を毎年コンスタントに出している点が評価されたのでしょう。

 ロベルト系はもともとアベレージよりもホームランの飛距離が持ち味。GIホースの仲間入りを果たしたサークルオブライフは、まだまだタイトルを積み上げる可能性があります。同世代には同じエピファネイアを父に持つソネットフレーズ(デイリー杯2歳Sでセリフォスのクビ差2着)という大物牝馬がおり、こちらもハイレベルな素質の持ち主。両馬とも来春のクラシックを賑わせることになるでしょう。

・12/12 香港C(香G1・シャティン・芝2000m)
 好位を追走したラヴズオンリーユーが同じ日本馬のヒシイグアスを短頭差とらえて優勝しました。直線に入ったところで前が狭くなり、そこを抜けるまでロスがありましたが、最後はしっかりと前をとらえて1番人気に応えました。役者が違います。これで2021年の海外G1タイトル数は「3」。JRA所属馬の年間最多勝記録です。

 日本に拠点を置きながら海外で年間4走することがまず驚きで、使い続けるうちに馬がたくましく成長していきました。陣営のサポートも素晴らしかったのでしょう。これで年度代表馬争いの有力候補に躍り出ました。

「父ディープインパクト、母の父ストームキャット」は定番のニックスで、スタディオブマン(仏ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞、香港C)、キズナ(ニエル賞)をはじめ国内外で9頭のG1馬が出現しています。全兄リアルスティールも2016年にドバイターフを勝ちました。2代母モネヴァッシアは名種牡馬キングマンボの全妹で、3代母ミエスクは80年代の世界最強マイラー。このファミリーは良質かつ活力旺盛で人気があります。来年から北海道の牧場へ帰ることになりますが、この良血と競走成績ですから、繁殖牝馬としても偉大な存在になるかもしれません。

今週の血統注目馬は?


・12/18 大須特別(2勝クラス・中京・ダ1400m)
 中京ダ1400mに強い種牡馬はディスクリートキャット。連対率24.0%は、2012年以降、当コースで産駒が20走した種牡馬のなかで第3位。このレースにはルチェカリーナが登録しています。過去7戦はすべて芝で、アネモネSと紅梅Sでそれぞれ3着という成績があります。芝のリステッドレースで上位争いをする実力馬ですが、父ディスクリートキャットはこれまで芝10勝、ダート31勝と、後者の成績が断然上(日本で種付けして誕生した産駒のみ集計)。今回は初ダートですが、勝機はあると見ます。

今週の血統Tips


 朝日杯の登録馬19頭の父を見ると、新種牡馬が多いことに気づきます。ドレフォン(2頭)、イスラボニータ(2頭)、ビッグアーサー、シルバーステート、プラクティカルジョーク(米国繋養)。計7頭ですから3分の1以上は新種牡馬の仔ということになります。

 種牡馬を成功させるためには初年度産駒の成績がきわめて重要で、スタートダッシュに失敗すると翌年から見向きもされません。したがって、種牡馬関係者は種付け初年度の種牡馬にできるかぎりいい繁殖牝馬を集めようとします。そうして集められた繁殖牝馬に交配した結果、初年度が実力以上のできすぎた成績となることも珍しくありません。そうした点を考慮しても、19頭中7頭、という割合は多いといえます。

 さらに、登録馬の大半が供用初年度から5年以内の種牡馬であることも目を惹きます。若い世代の種牡馬たちは優秀で、不動の王者ディープインパクトといえどもうかうかしていられません。全体の種牡馬ランキングでは同馬が首位を独走していますが、2歳世代に限定したランキングでは現在2位(1位はエピファネイア)。この世代が実質的なラストクロップで、来年の2歳世代はディープインパクト産駒がほとんどいなくなるため、これから数年で日本の血統地図は激変していくことになります。種牡馬戦国時代の始まりであり、目が離せません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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