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【朝日杯FS】馬場と展開に耐える力強さがもとめられるだろう

  • 2021年12月18日(土) 12時00分

昨年の勝ち馬の父がそれを物語っていた


 舞台が中山から阪神に移って8年目、さらにホープフルS2000米がGIに昇格して5年目、朝日杯フューチュリティSの持つ意味はかなり変わってきた。

 マイルの2歳GIなら、春はNHKマイルCが見えてくる。事実、その傾向ははっきりしている。2017年ホープフルSがGIになった年から、この朝日杯フューチュリティSに出走した馬で翌年の春にNHKマイルCに出走した馬は、年次別に2018年が6頭、その後の19、20、そして今年21年といずれも5頭が出ていて、この4年間のNHKマイルCの優勝馬のうち今年を除く3年は、いずれも朝日杯フューチュリティS組から出ていた。

 未完成の若駒たちだから、朝日杯フューチュリティSの成績がそのまま翌年春のGIに直結することは少ないが、それでも、今年の顔ぶれの中から何頭かは春のマイルGIに出るだろうし、その中から勝ち馬が出るかもしれないと思えば、考え方の範囲も広がってくる。

 今の時点でピックアップできるのは、ずばぬけて素質のある馬か完成度の高い馬で、多くはこの先の可能性に期待をつないでいる。

 朝日杯では成績が上がらなくとも、翌年の春のNHKマイルCの頃には十分に成長して良績を残しているケースは多い。

 そのNHKマイルCの優勝馬の前年の朝日杯の成績を見ると、3年前のケイアイノーテックは暮のGIは4着だったが、その後のマイルの条件戦で勝ってニュージーランドTで2着に入って本番でGI馬になっていた。

 2年前のアドマイヤマーズは朝日杯は4戦4勝で通過していて、春は皐月賞は4着でも、マイルでは力が違っていた。

 そして昨年の3歳マイルチャンピオン、ラウダシオンは、暮のGIは8着で年明けは1400米を2度走って力をつけ、本番では9番人気ながら2番手で流れに乗り、桜花賞2着で一番人気だったレシステンシアをせり落して重賞初制覇をGIで飾っていた。切れる脚はないが、同じペースで最後まで走る特性を引き出したM.デムーロ騎手のプレイが光っていた。

 今年のNHKマイルCは、朝日杯を勝ったグレナディアガーズは一番人気だったが3着に終わり、3戦2勝で弥生賞2着のシュネルマイスターが4戦目で3歳マイル王になっている。こういうケースもあるだろう。

 朝日杯フューチュリティSは、阪神外回りで直線が長くとも、ペースは速くなることが多い。それに今の馬場だとタフさがもとめられる。切れる脚と言うより耐える脚力がものを言う。

 昨年の勝ち馬の父が欧州の芝マイルで圧倒的に強かったフランケルで母が米のG1馬だったことは、それを物語っていた。

 今年は、母が仏産馬のセリフォス、母が愛国産馬のドーブネはこの条件にかなっている。それに新種牡馬ドレフォン産駒のジオグリフには、馬場と展開に耐える力強さがある。

「冬ぬくし 喝采浴びて 春を待つ」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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