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【京都金杯AI予想】人気次第では面白そう! AIの注目馬はレースの傾向からも魅力十分

  • 2022年01月03日(月) 18時00分
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

超人気薄の馬が上位に食い込んだ例は意外と少ない


AIマスターM(以下、M) 先週は有馬記念が行われ、単勝オッズ2.1倍(1番人気)のエフフォーリアが優勝を果たしました。

伊吹 先週の当コラムでAiエスケープが注目馬に挙げていましたね。年末の大一番でしっかり決めてくるあたりはさすがです。

M 3連単の配当は7180円どまり。単純にエフフォーリアを高く評価しているだけでなく、「魅力的な伏兵が見当たらない」という状況もあって注目馬になったではないかと推測しましたが、実際に堅めの決着となりました。

伊吹 今後も、Aiエスケープが人気の中心になりそうな馬を挙げてきたら、堅く収まる可能性が高いと見るべきなのかもしれません。

M エフフォーリアの勝ちっぷりはどう評価していますか?

伊吹 着差以上の完勝と言って良いでしょう。向正面では9番手を追走していましたが、3コーナーからジワッとポジションを押し上げ、4コーナーではもう5番手。そのまま直線半ばで先頭に立ち、最後まで失速することなく押し切りました。

M 競り合った相手がディープボンド(2着)やクロノジェネシス(3着)といった実績馬ですし、能力の高さを改めて感じる勝利でしたね。

伊吹 早めに仕掛けて抜け出す形だったにもかかわらず、上がり3ハロンタイム順位は1位タイ。レースの上がり3ハロンタイムは今回が36.7秒、前走の天皇賞(秋)が33.6秒で、まったく異なる資質を求められる流れだったと思うのですが、どちらも問題なくこなしたあたりに底知れぬ凄みを感じます。

M 2022年の古馬中距離戦線も、エフフォーリアを中心に回りそうです。

伊吹 どこを使うかは検討中だと思いますが、来年上半期までのレースをこの馬が取りこぼすシーンはちょっと想像できませんね。ただ、エフフォーリア陣営に掛かってくるプレッシャーも相当なものでしょうし、勢力図を一気に塗り替えるような成長株がこれから台頭してくる可能性もあります。復帰戦やその後の大舞台が本当に楽しみです。

M 今週の水曜中京メインレースは、年明けの名物重賞としておなじみの京都金杯。昨年は単勝オッズ43.3倍(12番人気)のケイデンスコールが優勝を果たしました。

伊吹 3連単122万8010円の大波乱決着でしたね。ただ、勝ったケイデンスコールはもともと2019年NHKマイルC2着の実績があった馬。直近の2戦も勝ち馬との差はわずかでしたから、さすがに過小評価だったと思います。その後も中山記念2着、マイラーズC1着と好走が続きましたし、後から思えば順当勝ちだった――というパターンですね。

M ハンデキャップ競走ですし、基本的には波乱含みのレースと見ておいた方が良いのでしょうか。

伊吹 ……うーん。正直なところ、そこまで超人気薄の一発が多いわけではありません。


M 単勝7番人気以下の馬は3着内数が9回、3着内率が8.6%。おっしゃる通り、積極的に大穴を狙っていくべきかどうかは微妙なところですね。

伊吹 もう少し細かく見てみると、単勝8番人気以下の馬は2012年以降[1-1-4-89](3着内率6.3%)でした。魅力的な伏兵の評価をわざわざ下げる必要はありませんが、上位人気グループの馬を安易に嫌ってしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M そんな京都金杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ザダルです。

伊吹 おおっ、ちょうど「上位人気グループ」くらいの馬を挙げてきましたね。

M 前走の富士Sは7着どまりでしたが、勝ち馬との差はわずか0.6秒。昨年のエプソムCを制した実績もありますし、超人気薄ということはまずないでしょう。

伊吹 とはいえ、他の出走予定馬を見る限り、人気の中心と言えるほどの支持は集まらないはず。Aiエスケープの評価を踏まえつつ、レースの傾向からも好走確率を見積もっていきたいと思います。

M とりあえず、前走のパフォーマンスはどう評価すべきなのでしょうか。好走とも凡走とも言いづらい、微妙なラインですが……。

伊吹 おっしゃる通りですね。一応、過去10年に関して言うと、前走の着順が2着以下、かつ1位入線馬とのタイム差が0.5秒以上だった馬は苦戦していました。


M 厳密に言うと、ザダルはこの条件をクリアしていません。

伊吹 ただ、前走の富士SはGIIのレースで、メンバー構成もそれなり。これを凡走とみなすべきかどうかは難しいところですよね。個人的な印象としては、大目に見て良いような気がします。

M 実績面はいかがでしょう。GIで上位に食い込んだ経験こそないものの、重賞ウイナーではありますし、GIIでもそれなりに健闘してきました。

伊吹 この点については高く評価して良さそう。過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、“前年以降、かつJRA、かつGI・GIIのレース”において9着以内となった経験があった馬です。


M なるほど。こちらの傾向に関して言うなら、富士Sのパフォーマンスは合格点ですね。

伊吹 2021年は、勝ったケイデンスコールだけでなく、単勝オッズ93.6倍(14番人気)の低評価を覆して3着に食い込んだエントシャイデンもこの条件をクリアしていました。逆に言うと、2021年に格の高いレースを使ってこなかった馬は過信禁物と見るべきでしょう。

M 他にポイントとなりそうなファクターはありますか?

伊吹 近年に限ると、4歳勢や7歳以上の馬は苦戦しています。


M 高齢馬はともかく、もっとも若い4歳馬があまり上位に食い込めていない点は気掛かりですね。

伊吹 ちなみに、馬齢が4歳、かつNHKマイルカップにおいて6着以内となった経験のない馬は2018年以降[0-0-0-13](3着内率0.0%)でした。今年も基本的には5〜6歳馬を重視すべきではないでしょうか。

M ザダルは明け6歳。こちらも強調材料のひとつと言えます。

伊吹 実は、私も想定を見た段階でそれなりに高く評価しようと考えていました。今回ピックアップした条件を綺麗にクリアしている馬はあまり多くないので、チャンスは十分にありそう。オッズを確認したうえで最終的な位置付けを決めるつもりですが、対抗格くらいに抜擢するかもしれません。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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