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早春の大一番を見据えた一線級が顔を揃えた帯広記念

  • 2022年01月06日(木) 18時00分

ばんえい史上初の7億円突破した伝統の一戦


 1月2日、帯広競馬場に遠征してきた。この日はお正月の名物レース「帯広記念」が行われるのだが、これまで現地に行く機会がなく、今回初めて新春の大一番を見に訪れたのだ。

 この帯広記念はばんえい記念に次ぐ伝統の一戦で、3月下旬のばんえい記念を睨んで一線級が出てくることで知られる。ある程度予想していたものの、さすがに帯広競馬場は年末年始の帰省客などが大勢来場し、大変な賑わいであった。午後2時半に競馬場に到着した時には、すでに駐車場が「満車」になっていた。

生産地便り

多くのファンでにぎわう帯広競馬場


 主催者発表によればこの日の入場人員は3513人とのこと。通常はだいたい1000人前後なので、これはかなり多い。しかも真冬のこの季節は、さすがに外での観戦は厳しく、レースの時以外は場内で過ごすというファンが大半であった。そのため、スタンド内はかなりの混みようである。

生産地便り

スタンド内にも多くの人々が


 俗に「十勝晴れ」と言うように、冬の北海道は、西と東ではかなり天候が変わる。この日、日本海側はやや天候が荒れ気味で、千歳空港では雪の影響を受け遅延便や欠航便が出たのだったが、帯広は夕刻までずっと晴天に恵まれていた。

 ただ、日が陰ってくると、やはり気温は一気に下がる。帯広記念は第8レースに組まれている。発走は4時40分である。

 この時期、冬至からまだ半月も経っていないので北海道の日没時間は午後4時くらい。したがって4時40分になると、もう完全にナイター状態である。

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キタノユウジロウのパドック


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メジロゴーリキのパドック


 出走メンバーは10頭のフルゲート。人気はかなり割れており、6番メジロゴーリキ(西謙一騎手)が1番人気だが3.9倍である。続いてほぼ差のない2番人気に3番アオノブラック(藤野俊一騎手)、4番メムロボブサップ(阿部武臣騎手)が4.1倍で並ぶ。4番人気が1番アアモンドグンシン(西将太騎手)で5倍、さらに7番キタノユウジロウ(菊池一樹騎手)が8.1倍と続く。

 斤量は890キロ〜930キロと、かなりの重量で、これはばんえい記念の1000キロに次ぐ重さである。

 定刻通り、ファンファーレとともにゲートが開いて各馬が一斉にスタートした。ゴール前に陣取っていると、第2障害までは展開が全く読めない。しきりに観客席から歓声が響いてくる。

 各馬が第2障害の前で一息ついた後、一斉に坂を上り始める。まずメジロゴーリキ、それに並んでキタノユウジロウ、さらにアオノブラックの3頭が、ほとんど同時に第2障害を越え、坂を下りてくる。

 キタノユウジロウがやや先行しそれをメジロゴーリキが重なるように追うが、なかなか差が詰まらない。アオノブラックは残り30m付近で後退し、代わって9番ゴールデンフウジン(赤塚健仁騎手)、アアモンドグンシンなどが先行する2頭に迫ってくるも、届かない。

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キタノユウジロウ


 キタノユウジロウが、力強い足取のまま、必死に追いすがるメジロゴーリキを1秒2抑え、このレースで初優勝を収めた。3着にはアアモンドグンシンが入った。

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キタノユウジロウの帯広記念口取り式


 勝ったキタノユウジロウは牡7歳栗毛、父カネサテンリュウ、母ヒカルロマン、母の父ヒカルセンリュウという血統で、村上慎一厩舎の管理馬。馬主・佐藤敏律氏。生産者は、足寄町・辻虎男氏。戦績は114戦23勝2着21回3着16回(重賞4勝)。獲得賞金は2357万2000円。昨年6月20日「北斗賞」以来、半年ぶりの勝利であった。なお、菊池一樹騎手、村上慎一調教師は、ともにこのレース初勝利であった。

 この日の帯広開催は、新春2日でもあり、1日で6億4807万円を売り上げた。また、売り上げに関しては、年末12月30日に、1日当たりの新記録となる7億1969万1900円を達成し、ばんえい史上初めて7億円突破となった。

 今後、3月下旬までの土日月の3日間、開催が続く。ばんえい競馬の昨年度(2020年4月〜2021年3月)の売り上げは150日間開催で史上最高の483億円(前年比155.7%)に達したが、今年は果たしてこの数字にどこまで迫れるか。昨年は、年末年始から1月〜3月にかけて大きく売り上げが伸びたが、今年はどうなることか。今後の数字次第では「夢の500億円」も視野に入ってくるところだが・・・・。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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