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ロードカナロア産駒でも距離を苦にしないキングオブコージの血統背景

  • 2022年01月24日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・1/23 アメリカJCC(GII・中山・芝2200m)
 後方を追走したキングオブコージが直線で外から伸びて差し切りました。一昨年5月の目黒記念以来となる重賞制覇です。このときは1勝クラスから4連勝と勢いに乗っての勝利でしたが、その後、右前肢を骨折して約1年間の休養を挟み、今回は休み明け3戦目。時間は掛かりましたがようやく休養前の水準に戻ってきました。

 仏G3クレオパトル賞(芝2100m)を勝ったハラジュク(父ディープインパクト)の半兄で、父ロードカナロアはアーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュなどの活躍馬を出しています。

 母方にサドラーズウェルズを持つロードカナロア産駒は長めの距離を苦にしない傾向があり、芝2000m以上で連対率38.9%(54戦21連対)と抜群の成績を挙げています。ロードカナロア産駒全体の芝連対率が21.5%ですから倍近い数値です。サドラーズウェルズを持ち、なおかつサンデーサイレンスを持たない重賞勝ち馬は、本馬とパンサラッサ(福島記念)の2頭。

 本馬は過去に府中の目黒記念を勝っているとはいえ、サドラーズウェルズ―ガリレオのラインは小回り向きの適性を伝えるので、どちらかといえば中山のほうが合うタイプではないかと思われます。

・1/23 東海S(GII・中京・ダ1800m)

 中団を追走したスワーヴアラミスが直線で外に持ち出すと、オーヴェルニュ以下の先行勢をまとめて交わして快勝しました。重賞は一昨年のマーチS、昨年のエルムSに次いで3勝目です。「ハーツクライ×スライゴベイ」という組み合わせで、母ベイトゥベイはカナダの芝重賞を2勝しています。

 ただ、母の父スライゴベイがサドラーズウェルズを父に持つ重厚な血統構成で、それがパワー方向に適性を寄せているのか、本馬とその全弟デッドアヘッド、半弟キッズアガチャー(父ヴィクトワールピサ)は、いずれもダートでしか勝ったことがありません。

 晩成型で持久力に富んだ血統背景だけに、7歳を迎えても衰えはなく、バテることなく最後まで伸びました。ハーツクライ産駒は芝連対率18.7%、ダート連対率17.0%という通算成績ですが、直近3年間のアベレージはダートのほうが良く、2019年以降、芝連対率17.6%、ダート連対率19.1%という成績です。

今週の血統注目馬は?


・1/30 宝満山特別(1勝クラス・小倉・芝2600m)
 小倉芝2600mに強い種牡馬はオルフェーヴル。連対率34.8%は優秀で、2012年以降、当コースで10走以上した28頭の種牡馬のなかで第2位の数値です。当レースにはエリカヴァレリア、マイネルクロンヌの2頭が登録しています。

 狙いはエリカヴァレリア。小倉芝2600mでは過去3回走って[1-1-1-0]。前走は勝負どころで前が壁になって動くに動けず、直線で外に出してから猛然と追い上げたものの3着。もったいない競馬でした。今回は中1週となりますが、このクラスでは力が一枚上なので、スムーズな競馬ができれば結果はついてくるでしょう。

今週の血統Tips


 JRAのダートのみに絞った世代別の種牡馬ランキングを見てみると、ダート戦で狙うべき種牡馬や、ダート種牡馬の勢力図が見えてきます。

 現4歳世代は、1位ヘニーヒューズが独走し、勝利数、連対率、賞金、1走当たりの賞金と、いずれもナンバーワン(賞金獲得額上位10位以内の種牡馬が対象)。しかし、現3歳世代は、勝利数と賞金の2部門でドレフォンが、連対率と1走当たりの賞金の2部門でシニスターミニスターがトップに立っています。ヘニーヒューズは勝利数3位、連対率4位、賞金2位、1走当たりの賞金3位と、飛びぬけたものはないものの、平均して上位に食い込んでいます。

 ゴールドアリュール、キングカメハメハ、クロフネ、といった馬たちが支配勢力だった時代が終わり、現4〜7歳世代はヘニーヒューズの天下でしたが、前述のとおり現3歳世代は新種牡馬ドレフォンと、年々存在感を増してきたシニスターミニスターが肩を並べ、三つ巴の状態となっています。ダート戦の予想で迷ったときに、以前ならヘニーヒューズ産駒を重く見るという手法が有効でしたが、これからはドレフォン、シニスターミニスター産駒も同等に見るべきかもしれません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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