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遠征で重賞連勝、多田羅誠也騎手

  • 2022年01月25日(火) 18時00分

高知競馬の勢いとともに飛躍する多田羅騎手から目が離せない



 23日に佐賀で行われた3歳牝馬による花吹雪賞は、高知から遠征のアンティキティラが直線で抜け出し、単勝1.3倍の断然人気にこたえて完勝。鞍上は、多田羅誠也騎手。2019年にデビューし、今年迎えて4年目、これで早くも重賞6勝。いままさに絶好調だ。

 多田羅騎手といえば、重賞初制覇からして印象的だった。デビューから1年5カ月が経った2020年9月13日の黒潮菊花賞。騎乗したフリタイムは、単勝25.3倍の6番人気。この馬には前走で初めて騎乗して2戦目。人気を集めたのが、一冠目の黒潮皐月賞を制したレインズパワー、二冠目の高知優駿を制したリワードアヴァロンで、互いに譲らず先行争いのオーバーペースとなって共倒れ。離れた3番手以下を追走していた馬たちが人気2頭を飲み込んでのゴール前大混戦となって、大外を伸びた多田羅騎手のフリタイムが差し切った。

 重賞2勝目が黒潮菊花賞の連覇で、昨年8月29日のこと。高知二冠を制して単勝1.1倍の断然人気に支持されていたハルノインパクトが3コーナーで先頭に立って三冠達成かに思われた。しかし内に進路をとってじわじわと差を詰めた多田羅騎手のトーセンジェイクがクビ差とらえてのゴールとなった。

 その後、多田羅騎手はダノングッドとの快進撃でブレイク。乗替りで初騎乗となった8月の建依別賞では絶対王者スペルマロンに1馬身半差と迫る2着。園田に遠征した園田チャレンジカップでは、4コーナーで内を突く好騎乗で惜しくも2着。さらに遠征を続け、そこからの3連勝が圧巻だった。

 名古屋に遠征したゴールド争覇では4コーナー手前で先頭に立つと、浦和から遠征の1番人気トーセンレビューに3馬身差をつけての完勝。続いて笠松に遠征した笠松グランプリでは、中央から船橋に移籍して習志野きらっとスプリントを制したコパノフィーリング、道営スプリントを制してホッカイドウ競馬のスプリントチャンピオンとなったアザワクが直線で馬体を併せて競り合っていたところ、これをまとめて差し切った。さらに年が明け、佐賀に新設されたゴールドスプリントでは2着に4馬身差をつけての圧勝。たしかに馬が強かったとはいえ、明けて10歳という馬で、しかも遠征競馬で3連勝は“あっぱれ! ”でしょう。

 高知競馬は近年、馬券の売上増から賞金が上がったことで、地元でも十分に賞金を稼げるようになったことから、他地区に遠征する馬は減る傾向にあった。しかしダノングッドの別府真司厩舎には高知現役最強のスペルマロンがいたことで、ダノングッドは遠征という選択となって、それがうまくハマった。その勢いに乗った多田羅騎手は、同じ別府真司厩舎のアンティキティラでも冒頭のとおり花吹雪賞を勝利。ダノングッドのゴールドスプリントからわずか2週後、佐賀での重賞連勝となった。

 アンティキティラは、これで高知移籍後、多田羅騎手で3連勝。デビューした門別ではJRA認定のウィナーズチャレンジまで勝って3勝を挙げた。そもそもホッカイドウ競馬でそれほどの実績を残した2歳馬は、普通なら中央や南関東に移籍するレベル。今の高知競馬には、そうしたトップレベルの2歳馬が転入してくるということでも驚かされる。

 多田羅騎手はデビューした2019年が4月からの9カ月間で48勝。20年が66勝、21年が63勝と勝ち星を積み重ねている。高知リーディングではようやく10位以内というところだが、勝率を見ると19年9.4%、20年11.1%。21年12.7%、そして今年は1月24日までで39戦6勝で、勝率は15.4%。確実に進化している。

 高知競馬の勢いとともに飛躍する多田羅騎手の活躍は、今後も注目となりそうだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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