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【根岸S】忘れた頃に来る年長馬により注目してみる

  • 2022年01月29日(土) 12時00分

新しい年に入ってからの古馬の重賞では、年長馬たちの出足が目立っている


 先週の東海Sを勝った7歳馬スワーヴアラミスは、マーチS、エルムSに次ぐ3年連続の重賞勝ちを記録し、成長力のあるハーツクライ産駒らしさを見せている。後肢の緩さや気難しさが解消し、心身とも充実期に入ったということだが、今年に入って中山金杯も7歳馬が勝っていた。

 ロードカナロア産駒のレッドガランだが、当初予定していた京都金杯を賞金不足で断念、これまで3戦未勝利の2000米で重賞初勝利という結果で、つけた着差の2馬身半は、この馬の今後を明かるくしてくれた。いかにも遅咲きという馬たちだが、新しい年に入ってからの古馬の重賞では、年長馬、7歳、8歳といった馬たちの出足が目立っている。年が明けるとひとつ年齢を加えるので、それだけでレースの印象がガラリ一変したように感じる。

 今週の根岸S、シルクロードSにも、7歳以上の年長馬の名前が並んでいる。いずれもがなんらかの事情で出世が遅れていたが、もう少し可能性がありそうという馬たちで、試金石という意味あいで出走してくる。根岸Sの先にはフェブラリーS、シルクロードSの先には高松宮記念があり、このGIタイトルを目標にここで戦うと言っていい。

 根岸Sに出るソリストサンダーは、2歳の秋に骨折して一年3ヵ月の休養があり、4歳時にも約半年の休みがあって7歳と言っても活気は十分にある。前走、武蔵野Sで重賞初制覇したばかり。その一年前にもこのレースで2着に入っており、ここは1400米で少し短かいが、左回りで長い直線なので決め手に徹する競馬が出来ればチャンスはありそうだ。普段は気性面で幼さを見せるそうだが、レースに行くと一生懸命走るので惨敗があまりないというのがいい。

 同じ7歳のエアアルマスは、前走が初の6ハロン戦で、好位から終い脚を使って3着と、これまでとは異なるレースで脚質転換をはかっていた。昨年のフェブラリーS5着の地力があり、7ハロンの根岸Sで楽しみが大きいと期待してもおかしくない。

 ひとつ下の6歳馬、ヘリオス、オメガレインボーなど短かいところを主戦場とする有力馬が初タイトルをめざしているが、年長馬たちがどう戦うかは大きな見所だ。

 また、シルクロードSにも、7歳以上が多数出走している。こちらは、よりスピードが求められるので、ハンデが56キロと手頃なタイセイアベニールの終いの脚に期待したいが、それより年齢が下で、父母ともに6FのGIを勝っているカレンモエ、重賞を3勝し、昨年のスプリンターズS4着のメイケイエールの牝馬2頭に、前走6F戦で4角11番手から豪快に追い込んで勝ったナランフレグなどが有力馬として考えておきたい。

 見所はとにかく多い。その中でどちらの重賞も、年長馬により注目してみることにする。

「年長馬 忘れられたる頃来(きた)る」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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