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日本馬が出走予定のサウジカップデー前半戦展望

  • 2022年02月16日(水) 12時00分

今週はネオムターフC、1351ターフスプリント、レッドシーターフHの3レース


 今年で3回目を迎えるサウジCデーの開催が、2月26日(土曜日)に迫っている。サラブレッドの国際競走6レースの展望を、今週と来週の2回に分けてお届けしたい。

 オープニングカードとなるのが、現地時間の15時45分(日本時間21時45分)に発走する、芝2100mのG3ネオムターフCだ。ここがいきなり、楽しみな顔触れが揃った好カードとなった。

 英国が送り込むのが、W・ミュールとC・グラシックが共同経営する厩舎のパイルドライヴァー(牡5、父ハーバーウオッチ)だ。

 3歳時から世代の最前線に台頭し、ロイヤルアスコットのG2キングエドワード7世S(芝11F211y)やヨークのG2グレートヴォルティジュールS(芝11F188y)を制した他、G1セントレジャー(芝14F115y)で3着に入っていた同馬。4歳6月にエプソムのG1コロネーションC(芝12F6y)を制し、待望のG1初制覇を飾った。その後、馬房で寝違えた影響で思わぬ戦線離脱を余儀なくされたが、秋に復帰。暮れのG1香港ヴァーズ(芝2400m)でグローリーヴェイズの2着となっている。

 仏国が送りこむのが、アガ・カーン殿下の自家生産馬エベイラ(牝5、父ディストーテッドヒューモア)である。この馬も3歳時から台頭し、G3ロワイヨモン賞(芝2400m)、G2ポモーヌ賞(芝2500m)を制した他、G1ロワイヤリュー賞(芝2800m)で3着に入っている。4歳時も、G3アレフランス賞(芝2000m)、G2コリーダ賞(芝2100m)という2重賞を制した他、牡馬に混ざってG1サンクルー大賞(芝2400m)2着、G1香港ヴァーズ3着などの実績を残した。

 ここに挑む日本代表が、父がオルフェーヴル、祖母がシーザリオと、海外に強い血が体内に脈々と流れるオーソリティ(牡5)だ。ここまで重賞を9戦しているが、これを左回りと右回りに分けると、左回りが5戦3勝・2着2回であるのに対し、右回りは4戦0勝で、最高着順は3着、二桁着順の大敗が2度と、左回りを圧倒的に得意としている。

 同馬の能力の高さが端的に現れたのが、コントレイルの2着となった昨秋のGIジャパンC(芝2400m)で、左回りのキングアブドゥラジズは、彼にとって本領を発揮できる舞台であるはずだ。

 続いて、現地時間の16時25分(日本時間22時25分)に発走するのが、芝1351mのG3、1351ターフスプリントで、ここは混戦模様となっている。

 G1のタイトルを引っ提げての参戦となるのが、ベルモントパークのG1ジェイパーS(芝6F)を制している北米代表のカサクリード(牡6、父ジミークリード)だ。サラトガのG1フォースターデイヴH(芝8F)でも3着に入っており、北米のこの路線ではトップリーグに入る能力の持ち主である。

 ドバイ勢を含めた欧州勢は7頭いるが、昨年春のG1英二千ギニー(芝8F)4着馬で、今季初戦のG2アルファヒディフォート(芝1400m)を快勝したネイヴァルクラウン(牡4、父ドゥバウィ)、G3クライテリオンS(芝7F)、G2パークS(芝7F)と、昨年この路線の重賞を2勝しているグロリアスジャーニー(セン7、ドゥバウィ)、G2セレブレーションマイル(芝8F)がラヴェンダーズブルーの3着、G2ジョエルS(芝8F)がベンバトルの2着と、昨年後半に骨っぽい相手に健闘を続けたポーゴ(牡6、父ゼベデー)らが、実績上位の馬たちだ。

 日本は、ここに3頭出しで臨む。GII富士S(芝1600m)に勝ち、GI・NHKマイルC(芝1600m)2着の実績があるソングライン(牝4、父、キズナ)も、ネオムターフCのオーソリティ同様、左回り巧者だ。近走は不振だが、3歳時にGI・NHKマイルC(芝1600m)を、4歳時にGII京王杯SC(芝1400m)を制している実力馬ラウダシオン(牡5、父リアルインパクト)、昨年秋のG1フォレ賞(芝1400m)3着の脚を再現出来れば、ここも争覇圏に食い込むであろうエントシャイデン(牡7、父ディープインパクト)と、個性派が揃っている。

 3つめのカードとなるのが、現地時間17時05分(日本時間23時05分)に発走する、芝3000mのレッドシーターフHだ。

 この競走条件だと、欧州勢が幅を利かせる中、トップハンデの62キロを課せられたのは、昨秋のG1愛セントレジャー(芝14F)勝ち馬ソニーボーイリストン(セン5、父パワー)となった。その愛セントレジャーで2着馬から1.1/2馬身差の3着だったのがバロンサムディー(セン5、父ハーバーウォッチ)で、当時は同斤だったのが、ここでは2キロのハンデをもらっており、逆転の可能性を秘めている。

 ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝19F210y)で、勝ち馬サブジェクティヴィストには5馬身離されたものの、スパニッシュミッション、ストラディヴァリウスらに先着したプリンセスゾーイ(牝7、父ジュークボックスジュリー)も、この路線の強豪の1頭である。日本からここに挑むのが、世界の矢作芳人調教師が管理するステイフーリッシュ(牡7、父ステイゴールド)だ。重賞勝ちは3歳時に制したGII京都新聞杯(芝2200m)の1つのみだが、重賞入着は18回を数えるという、父の形質を見事に受け継いでいる同馬。

 そうであるならば、7歳にして異国で激走という確変があって、おかしくないはずである。

 上記3競走の模様は、グリーンチャンネルの「All In Line〜世界の競馬〜、サウジCデー生中継第一部(2月26日、21時30分〜23時30分)」で放送予定なので、ぜひライブでお楽しみいただきたい。サウジCデー後半に行われる3つの国際競走の展望は、来週のこのコラムでお届けしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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