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ばんえいクライマックスへ向けて

  • 2022年02月15日(火) 18時00分

昨年1年間でかなり勢力図が変わったばんえいの古馬戦線


 ばんえい競馬は、4月から翌年3月が1シーズン。3月20日に行われる最高峰・ばんえい記念まであと1カ月となった。2月20日には、ばんえい記念を前にした最後の古馬重賞、チャンピオンカップが行われる。

 とはいえ、必ずしもばんえい記念に直結するレースというわけではない。チャンピオンカップは、今シーズンの重賞勝ち馬のみに出走資格があるレース。若い明け4歳や5歳世代の重賞勝ち馬も出走してくるため、古馬のこの時期の重賞としてはソリの重量がそれほど重くはなく、オープン馬の基礎重量は800kg。今シーズンの獲得賞金によって重量が加算される別定重量戦だが、1トンで争われるばんえい記念より200kgほど軽い重量での争いとなる。

 チャンピオンカップの登録馬で、ばんえい記念に出走してきそうなのは、キタノユウジロウ(牡7)、メジロゴーリキ(牡8)あたりだろうか。

 キタノユウジロウは、昨年初めて挑戦したばんえい記念では、雨で軽くなった馬場を味方に2着と善戦。今シーズンは、北斗賞、そしてばんえい記念の次に重い負担重量で争われる帯広記念を制した。

 メジロゴーリキは岩見沢記念を制したが、今シーズンの勝ち星はそのひとつだけ。とはいえ高重量戦で能力を発揮するタイプで、重賞ではほとんど差のない好走を見せている。昨年のばんえい記念は、キタノユウジロウとは逆に軽くなった馬場に泣かされ6着だった。

 ばんえい十勝オッズパーク杯と北見記念を制したアオノブラック(牡6)、ばんえいグランプリを制したメムロボブサップ(牡6)は、明け6歳世代の2強で、今後のばんえい競馬を引っ張っていく存在。チャンピオンカップではおそらく人気を集めそうだが、ばんえい記念に出てくるかどうかは微妙。ばんえい記念の1トンという重量はその後の反動が大きく、古馬トップクラスの実力でも、5歳や6歳では二の足を踏む関係者も少なくない。

 また今シーズン重量勝ちがない馬では、アアモンドグンシン(セン7)もばんえい記念で注目となりそう。2月14日に行われた、今シーズンの特別競走勝ち馬によるウィナーズカップに出走し、他馬より30〜40kg重い810kgという別定重量ながら、貫禄を見せての勝利となった。今シーズン前半はなかなか調子が戻らなかったが、11月以降は8戦6勝、帯広記念も3着で、調子を上げてきた。

 ばんえいの古馬戦線は、昨年1年間でかなり勢力図が変わった。

 重賞25勝というばんえい競馬の重賞最多勝記録を更新したオレノココロと、そのライバル・コウシュハウンカイが、ともに昨年11歳でのばんえい記念を最後に引退。そのばんえい記念を制したホクショウマサルは、その後体調を崩し、6月2日に死んでしまった。また2019年のばんえい記念を制したセンゴクエースは、種牡馬入りのため昨年末に急遽引退。これでばんえい記念を勝った経験のある現役馬が1頭もいなくなってしまった。世代交代が一気に進む状況で、今年のばんえい記念は争われる。

 チャンピオンカップは重量差もあって若い世代が活躍する可能性も大きいが、ばんえい記念を目標としているであろう、キタノユウジロウ、メジロゴーリキの走りには注目だ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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