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種牡馬展示会、後編

  • 2022年02月17日(木) 18時00分

近年は芝だけでなくダート系種牡馬も人気が集まる


 9日水曜日は、一連の種牡馬展示会日程の中でも最大の山場であった。JBBA静内種馬場を皮切りに、10時にアロースタッド、11時半にレックススタッドと、時間をずらして静内地区3場が合同で展示会を開催するからである。

 JBBA静内種馬場は、今年、新たにミスチヴィアスアレックスを導入し、全9頭体制でシーズンを迎える。ミスチヴィアスアレックスは、父イントゥミスチーフ、北米15戦7勝の競走成績を持ち、種付け料は受胎確認後120万円。その他、マクフィ、デクラレーションオブウォー、ノーブルミッション、アニマルキングダム、バゴなどを擁する。静内と七戸、九州の3場を合わせ、昨年JBBA種馬場では726頭の交配を行なった。

生産地便り

JBBA静内種馬場の展示会風景


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ミスチヴィアスアレックス



 アロースタッドは新種牡馬がアスクピーターパン、シュウジ、セイウンコウセイ、ダノンプレミアム、フィレンツェファイアの5頭、さらに新入厩馬としてヘンリーバローズ、ロンドンタウンがお披露目された。すでにカリフォルニアクローム、シニスターミニスター、モズアスコットは人気が高く満口となっている。全34頭の陣容は最大規模である。昨年の交配頭数は1265頭。

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アロースタッド展示会風景



 レックススタッドの展示会は11時半より始まった。今年の新種牡馬はゴルトマイスター、タニノフランケルの2頭。タニノフランケルは言わずと知れた名牝ウオッカと父フランケルとの間に生まれた7歳馬で、26戦4勝。小倉大賞典2着、中山金杯3着と重賞勝ちまでには至らなかったが、血統を買われて種牡馬入りした。全24頭でシーズンに臨む。

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レックススタッド展示会風景


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タニノフランケル



 ここは毎年、とにかく各種牡馬が元気良く、盛んに立ち上がる姿が見られる。おそらく厩舎の位置や展示場のロケーションなどに原因があるのだろうが、中にはほとんどまともに展示にならないような種牡馬もいて、一考の余地ありと感じた。昨年は953頭の交配頭数である。

 翌10日は日高町門別のブリーダーズスタリオン。午前11時開始。今年の新種牡馬はキセキ、マテラスカイ、ダノンスマッシュの3頭だ。このうちマテラスカイ、ダノンスマッシュはすでに満口となっており、大将格のリオンディーズも人気が高く満口である。ここはひじょうに種牡馬の管理が行き届いている印象が強く、展示も順調に進行した。入念に準備をしてきたのであろうと思える内容であった。昨年の交配頭数は1124頭。

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キセキ


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マテラスカイ


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ダノンスマッシュ



 11日金曜日は新冠地区2場。この日は祝日とも重なり、予想以上に多くの人々が見学に訪れていた気がする。10時にビッグレッドファームの展示会からスタートした。

 ビッグレッドファームは、新種牡馬ベンバトルを始め、6頭体制でシーズンを迎える。ベンバトルは父ドバウィ、25戦11勝(うち重賞10勝)、英、UAE、独、豪の4か国を転戦した芝ダートを問わない脚質とのこと。受胎確認後250万円。またダノンバラード、ゴールドシップなども元気な姿を見せていた。

生産地便り

ベンバトル


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ゴールドシップ



 その後11時から優駿スタリオンの展示会となった。優駿スタリオンの今年の新種牡馬はインディチャンプ、サトノジェネシス、リオンリオン、ロジクライ、ワールドプレミアの5頭。全30頭が繋養されており、人気種牡馬も多い。その筆頭格はシルバーステートで、受胎確認後600万円の種付け料は日高の最高額だが、すでに満口である。またへニーヒューズ、エスポワールシチー、ホッコータルマエ、ミスターメロディなども人気がありいずれも満口だ。

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優駿スタリオン展示会風景


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インディチャンプ


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ワールドプレミア



 昨年、優駿スタリオンは1621頭の交配頭数をこなした。これは社台スタリオンに次ぐ数字で、それだけ勢いのある種馬場と言えるだろう。

 ところで、シーズン入りを前にすでに満口扱いとなっている種牡馬の顔ぶれを見て行くと、コントレイルやキズナ、エピファネイア、レイデオロなど芝の実績馬が並ぶ一方で、ゴールドドリーム、ルヴァンスレーヴ、シニスターミニスター、ホッコータルマエ、ドレフォンなどダート系種牡馬の人気の高さも近年の顕著な傾向と言えそうだ。

 クリソベリル、マテラスカイなども初年度から多くの申し込みがある。比較的種付け料が安めであることや、地方競馬の業績回復によって、ダート適性の高い産駒の需要が拡大しつつあることも追い風になっているのだろう。

 なお、今年、産駒がデビュー予定の新種牡馬は、インカンテーション、グレーターロンドン、ゴールドアクター、サウンドスカイ、サトノクラウン、サトノダイヤモンド、シャンハイボビー、スノードラゴン、タリスマニック、ダンスディレクター、デクラレーションオブウォー、ニシケンモノノフ、ネロ、バンドワゴン、ビーチパトロール、ファインニードル、ベストウォーリア、マインドユアビスケッツ、ミッキーロケット、ヤマカツエース、リアルスティール、リッチーリッチー、レインボーライン、レガーロ、レッドファルクス、レーヴミストラルなどざっと20頭以上いる。

 この中から活躍馬を送り出す種牡馬が何頭いるか、新馬戦の始まる季節が待ち遠しい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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