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【昆貢調教師】マテンロウレオ×横山典弘騎手で弥生賞の先に見据えるクラシック「オーナーのため、ノリさんと僕で全力で」

  • 2022年02月27日(日) 18時04分
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▲昆調教師が見据える先は(C)netkeiba.com


最近、存在感を放つ「昆貢厩舎×横山典弘騎手」のコンビ。飛び抜けた感性で“神騎乗”と言われる数々のレースを見せてきた横山騎手は昨秋から栗東に拠点を置いていますが、そのきっかけとなったのが昆調教師からの言葉でした。

そして、このコンビでデビュー前から育ててきたのが弥生賞に出走予定のマテンロウレオ。「横山騎手にしかできない」という新馬戦でのレースぶり、そしてクラシックを見据えたお話を伺いました。

(取材・構成:大恵陽子)

「僕がなぜノリさんを選んだか」


――マテンロウレオは兄や近親も昆厩舎にいた血統ですが、入厩前はどんな思いを抱いていましたか?

 お兄さんのインスピレーションも良くて、馬体的にはもっと長い距離を走るような馬だったんですけど、気性が勝ちすぎていて乗り難しくて準オープンまでしかいけませんでした。弟のマテンロウレオにその分の思いを託した、という感じですね。

――デビュー前の追い切りから横山典弘騎手が乗っていました。以前から昆厩舎は横山騎手としっかり連携を取っている印象です。

 ノリさん(横山典弘騎手)が関東で乗り数が少なくなってきたので、僕が「関西で乗ったら?」と声をかけました。厩舎には今年、マテンロウオリオンもいて2歳が粒ぞろいだったので、調教も手伝ってもらってコミュニケーションを取りながらやっています。僕の厩舎では長く乗ってもらうことが必要で、コミュニケーションを取れるというのは一番大きいですし、馬の状態を見ながらできるので、やりやすいですね。

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▲弥生賞に出走する横山典弘騎手とマテンロウレオ(C)netkeiba.com


――デビュー前の感触はいかがでしたか?

 調教では「新馬は間違いなく勝てるだろう」という状態ができていたので、あとはジョッキーがどういう風に勝つかな、ということしか考えていませんでした。

――そのデビュー戦はどう見ていましたか?

 手応えはいつでも抜け出せそうで、前が開けば突き抜けるだろうなと見ていて感じました。

――直線では前を行く2頭の間を割ってきて、「新馬であんなに狭いところを抜けてこられるんだ!」とビックリしました。

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▲「あんなに狭いところを!」ノリさんの技術で新馬戦見事勝利(C)netkeiba.com


 そこがあの人のすごいところです。ノリさんにしたら別に何てことなかったんじゃないかなと思いますけど、若い子たちには無理でしょうね。僕がなぜノリさんを選んだか、というのは“そこ”なんです。難しいことも簡単にこなしてしまうのが、あの人の技量だと思っています。日本ではトップだと思います。

――2戦目にはGI・ホープフルSに臨み、直線でよく伸びてきましたが6着でした。

 ホープフルSは前哨戦で京都2歳S使う予定だったんですけど、ちょっと歩様が良くなくてパスしました。前哨戦を使えなかったことが結果に繋がってしまったかな、と思いましたが、内容のあるレースだったので、次のきさらぎ賞は勝てるだろうなと感じました。

レオはダービー、オリオンは短距離で


――同じ寺田千代乃オーナーの3歳にはシンザン記念を勝ったマテンロウオリオンもいます。それぞれの今後についてはどう描いていますか?

 マテンロウレオはデビューから2000mを使っていて、上手くいけばダービーまでもっていけるかな、と思っています。マテンロウオリオンはノリさんは「皐月賞くらいまでならこなせるよ」と言っていましたが、レオもいるので短めの距離で、と思っています。

――レオとオリオンの仲良しエピソードなどはありますか?

 厩舎内の馬房は離れているので「仲良しエピソード」というのはないですけど(笑)。オリオンは本当に丈夫な馬で何の心配もなくて、レオは気を使いながら進めてきましたけど、軌道に乗ってきてくれました。2頭ともたくましいですね。

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▲同じ寺田千代乃オーナーのマテンロウオリオンは丈夫なんだそう(C)netkeiba.com


――マテンロウレオの生産・猪野毛牧場は寺田オーナーのマイスタイル(2019年函館記念勝ち)と同じですね。

 僕は北海道・三石の出身で、実家はもうないですけど猪野毛牧場は家からも近かったんです。厩舎には個人オーナーが多くて、個人オーナーのために何とかしたい、というのが信念です。チャンスのある馬を仔馬の時から探していたら、たまたま寺田オーナーに2頭、マテンロウレオとマテンロウオリオンが当たりました。これも何かの縁ですし、こういう楽しみができてオーナーもすごく喜んでくれていると思います。ノリさんと僕とで全力でしっかり仕上げて、いいレースができるようにしたいと思っています。

――この勝負服と昆厩舎・横山騎手のタッグでのGI制覇を楽しみにしています。

 個人オーナーの馬でたくさんGIを勝たせていただいていて、ディープスカイ(2008年日本ダービー、NHKマイルC)、ヒルノダムール(2011年天皇賞・春)、アンジュデジール(2018年JBCレディスクラシック)と勝ちました。長くお付き合いをさせていただいているオーナーの中では寺田オーナーがGIを勝っていない最後の方かな、と思います。何とかこれは達成したいです。

――GI制覇へ向け前哨戦となる弥生賞への意気込みをお願いします。

 弥生賞はあくまでもステップなので、ステップの仕上げでいきますけど、無様なレースはしないと思います。皐月賞、ダービーを大目標にしているので、なんとかそこで結果を出せるよう取り組んでいきたいと思います。

(文中敬称略)

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