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【オーシャンS・チューリップ賞・弥生賞】クラシックに向けて2つのTR!! 注目馬の追い切りを徹底解説!

  • 2022年03月02日(水) 18時00分

調教の判断が後々のGIでも重要に


 今週は桜花賞トライアル、チューリップ賞と皐月賞トライアル、弥生賞。どちらのレースにも2歳GIを勝った馬が登場するだけに、トライアルでも一番重要な意味を持つレースとなりそうです。

 ここでポイントになるのが、トライアルに対する意識の違い。この先のGIを見据えた仕上げなのか、それともここで権利を獲得しないといけないのか。これって毎年のことなんですが、すでに賞金を持っている馬のレベルがどうかという部分。予想においてはここが一番重要かも知れませんが、とにかく調教で判断するとどうか。という部分に関しては的確に判断すること。これが後々のGIでも重要になってくるはずです。

【オーシャンS/ビアンフェ】

 昨年はスプリンターズSからのローテーションでしたが、今年はシルクロードSをひと叩きしています。しかも去勢しての初戦でしたから、昨年の調教内容はあまり参考にならないかも知れません。ただ、3着したということ、そして函館SSは勝っているという意味で、この2レースの最終追い切りの共通点はCWと札幌芝ということでトラックでした。

 今回の最終追い切りは坂路。いつものパターンといえばそうなんですが、ここは気になるところ。時計的にも4F51.7秒も数字としてはここ2走と同じですし、葵Sを勝った時の坂路4F51.1秒とも大きな違いはありません。決して悪くない調教内容ですが、前走から大きな進展があるとも感じない、そんな印象です。

【チューリップ賞/ナミュール】

 前走阪神JFが4着でしたが、これをどう判断するか。レース間隔が詰まったことが影響したとすれば、赤松賞のようにレース間隔をあけたことは悪くないかも知れません。その赤松賞、追い切りが4本しかなかったので、これでは足りないだろうと思ったんですが、きっちり勝っていますから、このあたりは牝馬の高野友和厩舎の仕上げだと思います。

 ただ、今回と当時の違いは中間の併せ馬。1週前追い切りも含め、3本すべての併せ馬が先着していた赤松賞に対し、今回は1週前が遅れ。併せた相手がめちゃくちゃ動く馬だったということはありますが、とはいっても、こちらも重賞で勝ち負けしようという人気馬。そう考えると、状態は赤松賞の時ほどではない、と考えます。

【チューリップ賞/ウォーターナビレラ】

 前走阪神JFで連勝はストップしてしまいましたが、先行して3着を確保したあたり、この世代の牝馬ではトップクラスの実力で間違いないでしょう。重賞を勝っていることもあり、ここがどのくらいの仕上げで出走してくるのか、ここは桜花賞に向けても重要なポイントです。

 調教量は坂路で1本、CWで2本。1週前追い切りはワールドウインズを追走して、素晴らしい先着でした。最終追い切りは単走ということもあって、かなり軽め。ただ、中間の調教量を考えると、少し軽すぎないかな、という感じです。次走を見据えて、あえてこのくらいの負荷にとどめているのかも知れませんが、これで上位に来るようなら、他がちょっと、という気はします。

調教Gメン研究所

この世代の牝馬ではトップクラスの実力で間違いないウォーターナビレラ(3月2日撮影)


【弥生賞/ドウデュース】

 前走、朝日杯FSのために栗東へ帰厩した際はムキムキの馬体で、まるでサリオスのようだと思いましたが、今回の帰厩では少し胴が伸びた印象。まるで今年走る距離を知っているかのような成長に驚きましたが、これに加えて、気性的な部分でも落ち着きが増した印象。

 1週前追い切りの動きも素晴らしかったと思いますが、最終追い切りも文句なし。CWでの併せ馬は楽々の動きでしたし、ゴールを過ぎてからの様子はもう1周回ってくるんじゃないかというくらいの余裕。道中で全く無駄がないからこそ、ゴールまで余力があるんでしょうね。ということで、この馬に関しては、仕上がり何割という表現は難しくて、今後も伸びしろのある万全の仕上げ、と表現しておきたいと思います。

調教Gメン研究所

今後も伸びしろのある万全の仕上げのドウデュース(3月1日撮影)


【弥生賞/マテンロウレオ】

 前走きさらぎ賞はGIの後の中5週でしたが、7本の追い切り。1週前追い切りではCW6F78.9秒をマークするなど、負荷としては最高レベルの内容だったと思います。これで結果を出したわけですから、今回の中3週はどんな仕上げになるか、非常に注目していました。

 まず今回は追い切りがすべて坂路。これは初めてのパターンですし、最終追い切りが坂路というのも初めて。ただ、1週前追い切りが坂路で4F51.6秒の自己ベスト更新という強い負荷をかけており、レース間隔を考えれば、これで十分とも思えます。きっと先を見据えた上で、現状、力を発揮するためにはこのパターンという仕上げなのでしょう。あとは差し脚質でどこまでの着順、という部分だと思います。

◆次走要注意

・2/26 すみれS【ヴェローナシチー】(4人/3着)

 スタートが遅いのはいつものことですが、ペースが落ちた向正面でも後方まま。ここで動いておけば、というレース展開ですから、能力を出したとは思えません。次走は若葉Sということですから、今回と同じような最終追い切りなら今度こそ。

[メモ登録用コメント] [若葉S]最終追い切りが栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<中山芝2000m>
◎追い切り本数が標準以上の併用系統の調教タイプ
○2週前追い切り以降ウッドチップ馬場4F53秒以下2本以上

 先週は未勝利で行われた芝2000mだったので、追い切り本数が少ない併用系統でも1着でしたが、基本的には運動量が必要なはず。トラックでの速い時計は小回り対応ですから、これらの調教適性をクリアした馬は要チェックです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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