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【高松宮記念】2年越しの悲願へ 復活のダイアトニック #NFしがらき直行便

  • 2022年03月26日(土) 18時02分
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▲ダイアトニック、2年越しの高松宮記念制覇へ(撮影:高橋正和)


ノーザンファームしがらきが管理をサポートする有力馬について、松本康宏場長にお話をうかがう当コーナー。今回は骨折などを経て、2年越しの高松宮記念制覇を目指すダイアトニックついてインタビューしました。

(取材・文=netkeiba編集部)

1年半ぶりの復活勝利


――前走阪急杯は久しぶりの優勝。おめでとうございます!

松本 1つ前のレースの京都金杯で良い頃の感じに戻ってきた、と厩舎の方から伺っていました。京都金杯は外回りしてしまいましたが、レース自体は良い競馬でした。阪急杯前に関しては更に良くなっていると聞いていたので、どれぐらいの競馬が出来るのか楽しみにしていました。

 レース自体はスタートも決め、二の足で良いスピードを見せてくれましたし、最終的には2番手の内でじーっと我慢して瞬発力で決める、と。良い頃のダイアトニックの走りが出来たのでホッとしましたね。

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▲阪急杯は実に約1年半ぶりの勝利だった(C)netkeiba.com


――レース後、岩田騎手からはどんなコメントが?

松本「逃げでも2番手の方法も取れた。終始余裕があり、どのような競馬をしようという中で前に馬を置いて最後にどれだけ足を使えるかという馬を試す競馬をした」と。

 実際抜け出してから多少ソラを使ってましたけどしっかりとした足を使えたので良い競馬が出来たとのことでした。観てる方としてもすごく良い内容だったと思います。

――前走は1年半ぶりの勝利でした。復活のため牧場として取り組んだ事は?

松本 京都金杯の前にキーンランドCで使ってから栗東を経由してしがらきに帰ってきたのですが、当初は北海道で競馬した後という事もあるのか身体は少し寂しく映りました。実際にこちらで乗っているスタッフも硬さがあったり上手く身体を使えていないという事でした。なのでその時点では次走は決めず、動きが良くなってからレースを決めることになりました。

 また、触った感じや検査では見受けられませんでしたが骨折の影響で馬自身、気持ちの部分に問題があったかもしれなかったです。馬に自信を持たせられるよう重視して皆んなが調整してくれました。

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▲気持ちの調整も復活の要因のようだ(C)netkeiba.com


――剥離骨折といえども復帰まで時間がかかるのですね。

松本 後脚、トモ脚の種子骨の丸い骨の上の部分が剥離している様な状況であり、靭帯も付着している部分なので、社台クリニックで骨辺を除去してもらいました。幸い靭帯の損傷などは少なかったのでレース復帰が出来ました。

 種子骨は走る上で非常に重要な骨の1つです。骨折の程度では即引退も有り得る箇所ですので慎重にリハビリをやっています。

――それでも復帰を目指した理由は?

松本 復帰出来るか当時は不透明でした。GIを獲れる大器だと期待していましたが2020年の高松宮記念では不利を受けるなどで勝てず、そこが叶わず引退というのはどうか、と。クラブの方にも相談して復帰に向けて出来るだけのことはやろう、となり、現役続行となりました。

 能力は相当高いと感じています。

魅力は「野生的な勘(笑)」


――岩田騎手で好走が続いています。そのあたりの要因も大きいのでは?

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▲安田厩舎と岩田騎手のチームワークの良さも好走の要因のようだ(C)netkeiba.com


松本 基本的には1週前追い切りしか乗っていないと聞いています。普段は安田厩舎の助手さんがメインで乗ってくれています。安田厩舎と岩田騎手のコンビでいえばここ数年、うちで言えばケイデンスコールなどですが、馬に何が1番良いのかを色々考えてくれますし、チームワークの良さは非常に心強いです。

――松本場長から見た岩田騎手の魅力とは?

松本 野生的な勘ですかね(笑)。

 その馬に対する情熱があり、決して諦めない方ですよね。この馬はダメと切り捨てるのではなく、どうしたら良くなるかというところを前向きに話してくれる方です。馬にも人間にも欠点はそれぞれありますが、諦めずにどう長所を伸ばすか、どうしたら馬の能力を最大限に活かせるか、などを真剣に考えて僕やスタッフと真摯に取り組んでくれています。

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▲松本場長に岩田騎手の魅力を聞くと「野生的な勘ですかね(笑)」(C)netkeiba.com


―― 1週追い切りを終えて岩田騎手の手ごたえはいかがでしたか?

松本 当然勝つ気マンマンですね。1週前追い切りが終わった後も、更に良くなっていると話してくれました。僕も競馬を見ていて京都金杯から阪急杯にかけて馬も非常良くなっており、一度取り零した高松宮記念という大舞台に勝ち負け出来る状態で挑めるということで、非常に楽しみですね。

――今回のレースへの意気込みを。

松本 一時期は骨折などにより引退という二文字も頭をよぎりました。関係者皆様の理解、努力が上手くハマった結果、2年越しの高松宮記念制覇に向けて非常にチャンスがある所まできました。

 僕らスタッフ、そしてファンの皆様の2年前からの想いを背負った上で結果を出せたらと思います。応援よろしくお願いたします。


(文中敬称略)

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