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【浜中俊騎手】スピードは父譲り!ミッキーアイルの子、ナムラクレアと挑む桜花賞

  • 2022年04月03日(日) 18時02分
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▲ナムラクレアと桜花賞に出走する浜中俊騎手(C)netkeiba.com


豊富なスピードで短距離界を席巻したミッキーアイル。そのスピードは産駒にも受け継がれ、産駒デビューから2世代で重賞5勝を挙げます。現役時代、主戦を務めた浜中俊騎手は「ファンと同じような気持ちで、子供が大きいレースを勝つと嬉しい」と喜びます。

そしていよいよ、浜中騎手がミッキーアイル産駒に乗ってGIに臨む機会がやってきました。桜花賞に出走予定のナムラクレア。父との共通点、そして特別な思いで臨むGIについて語っていただきました。

(取材・構成:大恵陽子)

ミッキーアイル産駒で重賞初制覇に、思わずガッツポーズ


――浜中騎手がナムラクレアに初めて乗ったのは昨夏の小倉2歳ステークス。騎乗予定だった和田竜二騎手が怪我のため、急遽当日に乗り替わりが決まりましたが、乗ってみてどんな印象を受けましたか?

浜中 跨ってすぐは「2歳牝馬にしてはカチッとした体をしている」と思いました。常歩で歩いている時に後ろ脚から伝わってくるパワーも大きく感じて、「走りそうだな」と思いました。

――いい印象の通り、レースでは直線で大外から気持ちよく伸びて勝ちました。

浜中 道中は折り合って、追走にも余裕がありましたし、4コーナーを回って直線で外に出して仕掛けた時に反応がものすごく早かったので、その瞬間には「勝ったな」と思いました。

――ゴール後にはガッツポーズが出ましたね。

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▲小倉2歳ステークスでは思わずガッツポーズ(C)netkeiba.com


浜中 ミッキーアイルの子で重賞を勝つのは初めてでしたし、調教師の長谷川浩大先輩は元ジョッキーで年齢も近く、以前から良くしてもらっていた先輩の一人でした。それまで長谷川先輩の厩舎の馬に乗る機会は多くはなかったですが、長谷川先輩は初めてのJRA重賞制覇ということも分かっていたので、ミッキーアイルの子どもで重賞を勝てたことと合わせてすごく嬉しくて、ついつい出ちゃいました。

 和田(竜二)さんがケガでの乗り替わりでしたから、配慮に欠ける行動を取ってしまってあとで反省したんですけど、ゴールの瞬間はその2つの思いが込み上げていました。

――その後、ファンタジーS2着からGI・阪神JFと駒を進めました。阪神JFでは最内枠でしたが、どうでしたか?

浜中 ファンタジーSで折り合いを欠いてしまって2着に負けて、阪神JFは距離も200m延びるので、陣営と折り合いを第一に考えながら調整していました。折り合い第一に乗りましたが、前の馬が下がってきたりして内枠でかえってポジションもどんどん悪くなってしまいました。それでも直線はまた脚を使ってくれて、5着。

 春は桜花賞やクラシック戦線を意識するので、まずは1600mを引っ掛かることなく走ってくれた点は良かったなと思います。

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▲阪神JFは5着だったがフィリーズレビューは2着と好走(C)netkeiba.com


――今年初戦の報知杯フィリーズレビューは2着でしたが僅差のレースでした。

浜中 久々のレースでしたけど、テンションも上がることなく、折り合いも問題ありませんでした。陣営もうまく調整してくれて、レースに臨めたと思います。

映像ではたぶん分からないと思いますが…


――昨夏の小倉2歳Sからコンビを組んでここまで成長を感じる点はありますか?

浜中 元々、完成度は高い馬だと思うんですけど、テンションの面では初めて乗った小倉2歳Sからこの馬なりに我慢してくれるようになっていて成長を感じます。

――「テンションの上りやすさ+ミッキーアイル産駒」というと、メイケイエールが思い浮かびます。産駒は気持ちが昂りやすい傾向にあるのでしょうか?

浜中 ミッキーアイル自身も走ることに対して一生懸命すぎる面があって、そこがすごくいいところでもあったんですけど、前向きすぎるがゆえに折り合いや距離をもたせることが難しかったという印象が強いです。でも、産駒はとてもスピードがある馬が多いです。スピードがあるがゆえに、コントロールの難しさが産駒にも伝わっているのかなという気がします。

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▲ミッキーアイル産駒は「とてもスピードがある馬が多い」(C)netkeiba.com


――ナムラクレアはバネもあるように感じます。馬場状態などベストな舞台はどこだと感じますか?

浜中 走る馬は共通して言えることですし、人間でもバネのある人は身体能力が高いように、ナムラクレアもやっぱりバネはすごく感じます。これだけスピードがある馬ですから、フェニックス賞を道悪で勝ちましたけど、得意か不得意かでいうと良馬場の方が得意だと思います。

――ミッキーアイル産駒は牝馬に活躍馬が多く、浜中騎手も牝馬での活躍が多く見られます。牝馬に乗るうえで何か心がけていることはありますか?

浜中 牝馬や牡馬など関係なく、1頭1頭性格が違うので、上手く馬の意思を汲みつつ、レースは協力しないといけないのでコミュニケーションを取るようにしています。牝馬はより繊細な部分があるので、気を使う面も多いのかなとは思います。

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▲浜中騎手の真摯な接し方も結果に結びついているようだ(C)netkeiba.com


――レース前やレース中のコンタクトで言うと、どういったことでしょうか?

浜中 ナムラクレアの場合は映像ではたぶん分からないと思うんですけど、騎乗する前からパドックですごく闘志あふれる目つきをしているんです。ホント、すごく。それだけ気持ちもグッと入るタイプなだけに、闘志ある面は削らないようにしながら、レースまではなるべく落ち着かせるようにしています。

――父ミッキーアイルのファンを含めて最後にメッセージをお願いします。

浜中 ミッキーアイルには大きいレースを勝たせてもらって、僕も大好きな馬でした。ミッキーアイルが好きだったファンの人と同じような気持ちで、その子が活躍してくれると嬉しいです。ここはファンの方と近い感覚だと思います。そこに自分が乗っているというのは縁を感じるので、一緒に勝利できればさらに嬉しいなと思っています。

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▲「ミッキーアイルが好きだったファンの人と同じような気持ちで…」(撮影:下野雄規)


(文中敬称略)

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