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【桜花賞】ナミュールのポテンシャルはGI級「どこまで活躍してくれるのか楽しみ」#NFしがらき直行便

  • 2022年04月08日(金) 18時02分
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桜花賞に出走するナミュール(C)netkeiba.com


ノーザンファームしがらきが管理をサポートする有力馬について、松本康宏場長にお話をうかがう当コーナー。今回はクラシック戦線の幕開け、桜花賞に出走予定のナミュールについてインタビューしました。

(取材・文=netkeiba編集部)

武史騎手が「今まで乗ったなかで一番柔らかい」と


──前走・チューリップ賞を振り返ってください。

松本 ゲートが課題として挙げられていましたが、ゲートはスムーズに出て比較的いい位置を取れましたので、その点については非常に収穫のあったレースとなりました。さらに馬群の中で揉まれる競馬をして、若干ハミを噛むところもありましたがそれも許容範囲で、折り合ったなかで最後は外に出してしっかり伸びてきたので、本番に向けていい競馬になったと思います。

──阪神JFは出遅れての4着でしたが、チューリップ賞はいいレースとなりましたね。

松本 桜花賞に出るには最低でも3着以内に入って優先出走権が必要でしたので、その権利をしっかり取れて、馬、厩舎スタッフ、調教師さん、騎手…みなさんにありがとうという気持ちです。

──レース後、横山武史騎手は反省の弁を述べていましたが…。

松本 レース後に電話で話したなかでは、「本当に馬の力に助けられました」と終始言っていましたけど、課題のスタートもしっかり切れて、直線で詰まるところ以外は内容も良かったと話しました。

──出遅れが多いですが、なにか原因はあるのでしょうか?

松本 どうしてもトモがもたれてしまうところがあって、阪神JFに関してはローテーション的な部分でも強行軍だったかなというところもありまして…、すごく力強い走りをするんですけど、まだトモの弱さだったり、もたれるようなところもあるので。今はそういうところは少し改善されてきてるのかなと思います。

──こうした課題に対して厩舎や牧場が取り組んでいることはありますか?

松本 高野調教師との話のなかでも、厩舎の方で、ゲート練習やゲートの中でいい駐立姿勢を保てるよう非常に努力してくださっていて、この馬の駐立における弱点、トモの後ろのスペースにもたれていかないようにいろいろ工夫して、繰り返し練習して馬に覚えさせることをチューリップ賞の時に特に練習してくださっていたので、その成果もすごくあると思います。

 出遅れにはいろいろな要因がありますので、それをひとつひとつ原因を探って潰していくのが僕らホースマンに必要なことですし、僕らとしては牧場でしっかりトモのケアをすることで、疲れさせない、トモをしっかりさせるということに重点を置いていました。それ以外の面では厩舎スタッフがすごく努力してくれたんだなと思います。

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日々の調教の成果が現れつつあるナミュール(撮影:井内利彰)


──横山武史騎手はナミュールをどう評価していましたか?

松本「今まで乗ったなかで一番柔らかい」と表現していましたね。それはバネ、瞬発力があるということだと思うんですけど。いい馬の表現として関係者はバネがある、柔らかいと表現する場合もありますし、それ以外の面でいうと、芯がしっかりしている、どんなスピードで走ってもブレない、トップスピードでもブレない、もたれない、と挙げる人もいます。馬が走るうえで必要な要素って、気性であったり前向きさであったり、人に対する従順性であったりといろいろありますけど、武史くんのあの馬に対しての評価は、“すごく柔らかい”でした。

──今までで一番とはすごいですね。

松本 僕らも牧場で乗ってるなかで、それなりの評価はしていた馬なんですけど、競馬に使うたびにしっかりとポテンシャルをみせてくれますし、最大限の力を発揮できるような感じの成長は見られるので、どこまで強くなってくれるのか非常に楽しみです。

──普段、武史騎手とはどんな会話をされますか?

松本 競馬が終わった後、しがらきの馬に乗ってくれていた時は、その馬のことについて話をします。追い切りのことや競馬のこともしっかり話してくれる騎手で、きちっと報告してくれますので感謝しています。

──松本場長からみた、武史騎手の魅力は?

松本 僕は騎手じゃないので、技術的な面でどうこういえる立場でもないですが、レースに向けてだったり、レース後のコメントを聞いていると、どういう馬なのかをしっかり把握するように努めていますし、その馬にはどういう競馬がいいのか、自分はどうしていきたいのかをきちんとプランニングできているというか。それがうまくいかなかった場合についての反省をしっかりみせてもらっていますし、そういう面では今後も期待できるというかもっともっと活躍するのかなと思っていますし、そういう面でもナミュールもお願いしたのかなというところがあります。

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武史騎手は“どうしていきたいのかをきちんとプランニングできている”と松本場長(C)netkeiba.com


──430kg台の小柄な牝馬ですが、前走後の状態を教えてください。

松本 馬体の肉付きという面では大きく変わらないですね。ただ、付くべきところにしっかり付いているというか。幸いなことにカイバ食いがだんだん良くなってきているので、まだそれがしっかりと目について体が大きくなったというところはみせてくれてないのですけど、しっかりとカイバは食べているので、体重に関しては気にしなくていいのかなと思います。

 体重が軽いほうが、筋力が必要ないというか、100kg体が重いとその分筋力も必要になってきますし、そういう意味では軽いメリットもあります。軽いという点では、ただ軽いというわけじゃなくて、なんで軽いのかっていう評価をすると、現状の彼女の体でいうと、そこまで気にしなくていいんじゃないかなと思います。ただ大幅に減ると、脱水してるとか、カイバが食べれなくて見るからに筋肉量が落ちてるとかがあるとよくないと思いますけど、しがらきでもしっかりご飯食べてましたし、先週の速い時計での追い切りが終わった後もしっかりカイバも食べれてましたし、そこまでは心配していません。

 牝馬は特に、この時期に馬体が立派というのは珍しいことが多いです。馬体重を増やすために運動を制限したりすると、結果に結びつかないのがわかっているので、しっかりと調教を積んでいまの馬体を維持できているなら全く問題ないと考えています。馬体重にしても、調教時計にしても、勝ち時計やラップタイムにしても、どうしても数字にこだわる人が多いですが、その数字の持つ意味をしっかり考えて問題なければいいといつも思っています。

──しがらきでの調整において気をつけていたことはありますか?

松本 カイバの部分もですが、背腰の疲れが残らないかどうかなどに重点を置きました。何か調教をやったというよりは体のメンテナンスというか、同じ状態で出せるように調整しました。阪神JFの時は本当に時間がなかったのですが、今回は2週間くらいしがらきでリフレッシュさせることができたので問題ないかなと思います。

──希望の枠はありますか?

松本 先週、なんだかんだいって内の馬場が良かったような気もしますし、そのまま天気にもなっているので、内に越したことはないのかなと思いますけど、どうしてもマークされやすい馬ですので、他の馬よりも能力的なアドバンテージがもしあるのだとすれば、真ん中から外でもいいのかなと。包まれずにあの馬の能力を最大限に発揮できる枠でもいいのかなと思います。まぁ、そう考えるとどこでもいいのかなと思います。

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内に越したことはないけど…枠はどこでも大丈夫そう(撮影:下野雄規)


──相手関係はどのように見ていますか?

松本 僕的には、ナミュールは結構能力が高い、僕らがしがらきで携わってきた馬の中でも結構なレベルじゃないかなと思っています。ただ、競馬は相手のレベルも高ければ負けたりするわけですし、相手の評価に関しては、その時の状態だったり作戦だったり、いろいろな要因があって、僕らも知らない部分が多いので、相手比較は難しい部分が多いですけど、ナミュールのポテンシャルはGIレベルだと思ってますし、この先どこまで活躍してくれるのか非常に楽しみにしています。

──桜花賞への意気込みをお願いします。

松本 今回はナミュールの特集ですが、ナミュール以外にもしがらきの馬が3頭ほど出ますので、どの馬にも頑張ってほしいという思いがあります。大阪杯ではしがらきから6頭出ていて、そのうちの4頭が1、2、3、4着と頑張ってくれて、人気のある馬もない馬も頑張ってくれて、非常に満足というか誇らしい結果でした。今回ナミュールは人気の筆頭格になると思うんですけど、それ以外の馬たちもそれぞれ順調にいっているので、また驚くような結果になれば嬉しいです。みんな無事に良い結果をだしてもらえるよう祈ってます。応援お願いします。


(文中敬称略)

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