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【皐月賞予想】今年は波乱を期待できる!? AIが超人気薄を注目馬に指名

  • 2022年04月11日(月) 18時00分

単勝オッズ14.5倍(7番人気)のスターズオンアースが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

ここ3年は比較的順当な決着だったが……



AIマスターM(以下、M) 先週は桜花賞が行われ、単勝オッズ14.5倍(7番人気)のスターズオンアースが優勝を果たしました。

伊吹 先に抜け出したウォーターナビレラ(2着)がそのまま押し切りそうな態勢だったものの、残り100mを切ってからスターズオンアースが猛追し、ハナ差だけかわしたところがゴール。川田将雅騎手の勝負強さを改めて実感しました。もちろん、この逆転劇が成立したのはスターズオンアース自身に勝ち切るだけの能力があったからこそ。ゴール前の直線半ばまでは前の馬たちに進路を塞がれていましたし、ようやく視界が開けたところでピンハイ(5着)の斜行による被害を受けたわけですから、スムーズならウォーターナビレラに決定的な差をつけていた可能性があります。着差以上に高く評価できるパフォーマンスだったと言って良いでしょう。

M 一方、単勝オッズ3.2倍(1番人気)のナミュールは10着に、単勝オッズ5.1倍(2番人気)のサークルオブライフは4着に敗れてしまいました。枠順が明暗を分けたと見る向きもありますね。

伊吹 1〜9着となった9頭のうち、サークルオブライフとベルクレスタ(7着)を除く7頭はいずれも1〜4枠の馬。レース前の時点で話題になっていましたが、相当に内枠有利な馬場だったようです。今後に向けて各馬の走りを分析する際は、枠順や道中のコース取りを必ず加味したいところ。大敗を喫した馬たちの巻き返しが頻発するかもしれません。

M スターズオンアースは今回が2勝目で、待望の重賞初制覇。もっとも、フェアリーSやクイーンCで2着に食い込むなど、強敵相手のレースで健闘を続けていました。

伊吹 フェアリーSやクイーンCは展開に恵まれなかった印象でしたし、レース経験を積む中で着実に力をつけたのだと思います。2代母のスタセリタは仏オークスなどを制した名牝で、JRAGI2勝のソウルスターリングや2018年アルテミスSを勝ったシェーングランツの母。まだまだ伸びしろはあると見て良いのではないでしょうか。

M ソウルスターリングは2017年オークスの勝ち馬。スターズオンアースも、順当にオークスへ駒を進めるようなら楽しみですね。

伊吹 もともとデビュー当初は1800mのレースを使っていたわけですし、距離が一気に延びる点はそれほど心配しなくて良いと思います。ただ、桜花賞で力を出し切れなかった馬や魅力的な別路線組もたくさんいるので、重いシルシを打つかどうかについてはまだ何とも言えません。オッズも読みづらい一頭ですから、ギリギリのタイミングまで悩むことになりそうです。

M 今週の日曜中山メインレースは、3歳牡馬クラシック競走の第一弾となる皐月賞。昨年は単勝オッズ3.7倍(2番人気)のエフフォーリアが優勝を果たしました。2020年の優勝馬コントレイルは単勝オッズ2.7倍(1番人気)、2019年の優勝馬サートゥルナーリアは単勝オッズ1.7倍(1番人気)と、近年は堅い決着が続いています。

伊吹 おっしゃる通りですね。ただ、2012年以降の過去10年における単勝人気順別成績を見ると、人気薄の伏兵が上位に食い込んだ例も決して少なくはありません。


M 3着以内馬30頭のうち9頭が単勝7番人気以下。むしろ、波乱含みの一戦と見ておいた方が良いのでしょうか。

伊吹 2017年は3連単106万4360円、2018年も3連単37万2080円の高額配当決着でしたからね。魅力的な穴馬が見つかったら、躊躇うことなく積極的に狙って良いと思います。

M そんな皐月賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、マテンロウレオです。

伊吹 凄いところを狙ってきましたね。おそらくですが、超人気薄と言えるくらいのオッズにとどまりそう。

M 2走前にきさらぎ賞を勝っていますが、前走の弥生賞で10着に敗れてしまったうえ、3走前のホープフルSも6着どまり。他の実績馬や新興勢力に注目が集まるでしょうから、相対的に人気は落ちると思います。

伊吹 確かに、重賞ウイナーであることを考えれば、妙味ある存在なのかもしれません。Aiエスケープが高く評価している点を踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを見比べていきましょう。

M マテンロウレオはキャリア4戦。より多くのレースを経験してきたライバルもたくさんいますが、この点はどう見ていますか?

伊吹 強調材料のひとつですね。2018年以降の過去4年に限ると、3着以内馬12頭のうち11頭はキャリア4戦以内でした。


M 豊富なキャリアは強みにならないのでしょうか。

伊吹 もちろん、レースをたくさん使うことで成長していく馬もいると思うのですが、全体的な傾向として言うと、少ないレース数でスムーズに出走権を確保した馬の方が信頼できます。

M マテンロウレオはデビュー3戦目のきさらぎ賞で重賞初制覇。スムーズに出走権を確保した一頭と見て良さそうです。他に顕著な傾向が出ているポイントはありますか?

伊吹 脚質ですね。同じく2018年以降の過去4年に限ると、3着以内馬12頭のうち11頭は前走の4コーナー通過順が4番手以内でした。


M 近年は先行有利、と。

伊吹 2015〜2017年あたりはそうでもなかったのですが、ここ4年の結果からはそう判断せざるを得ません。馬場などの影響もあるのでしょう。

M マテンロウレオは前走の4コーナー通過順が9番手で、2走前のきさらぎ賞も4コーナー通過順は7番手。例年通りの流れになってしまうと苦しそうですね。

伊吹 あとは馬格も明暗を分けそうなファクターのひとつ。前走の馬体重が490kg未満だった馬は2018年以降[1-2-1-36](3着内率10.0%)と安定感を欠いています。ちなみに、3着以内となった4頭は、いずれも前走の着順が1着、かつ前走の2位入線馬とのタイム差が0.1秒以上でした。


M 直近のレースを完勝しているような馬でない限り、馬格のない馬は評価を下げたいところですね。

伊吹 ちなみに、こちらは2017年以前もほぼ同様でした。

M マテンロウレオは前走で10着に敗れてしまったうえ、前走の馬体重も478kg。残念ながら、この傾向にも引っ掛かっています。

伊吹 私は今のところ他の馬を中心視するつもりです。ただ、Aiエスケープは十分にチャンスがあると見ているわけですし、実績のわりに過小評価されそうなのは事実。無理に嫌う必要はまったくありませんから、最終結論を出す前にもう一度しっかり取捨を検討しようと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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