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毎年恒例POGザワールドの季節

  • 2022年04月13日(水) 12時00分

筆者の期待馬トップ10をご紹介


 先週土曜日にグランドナショナルが行われた英国では今週、ニューマーケット競馬場で、ギニーの前哨戦が組まれたクレイヴン開催が行われており(12日〜14日)、2022年の芝平地シーズンが本格的にスタートした。北米でも、先週末でケンタッキーダービーへ向けた主要なプレップレースが終了し、5月第1土曜日にチャーチルダウンズで行われる競馬の祭典に向けて、一気に盛り上がる季節を迎えている。

 筆者が出演させているグリーンチャンネルの「Go Racing!」という番組では、北半球の競馬がヒートアップしようとしているこの季節になると、「POGザワールド」という企画がスタートするのが、毎年の恒例となっている。

「POGザワールド」とは、端的に言うと世界版のペーパー・オーナー・ゲームだ。参加者一人あたりが10頭の現役馬をセレクト。各馬の2022年の最終レーティングが確定した段階で、10頭のうち数値の低い2頭を足切りし、上位8頭の合計数値で優劣を競うというゲームである。

 3歳馬には、レーティングに5ポンドのボーナスポイントを加算するというのが、ゲームの隠し味となっている。

 そして、筆者の指名馬10頭は、3月25日(金曜日)の放送で既に発表済みである。この10頭とは、すなわち、今年の世界の競馬で筆者が大活躍を期待する馬たちである。

 実を言えば、選んだ10頭のうち4頭が、指名後のレースで敗戦を喫し、早くも目論見とは違った展開になっているのだが、この場を借りて改めて、2022年の世界の競馬における、筆者の期待馬トップ10をご紹介させていただきたい。

 まず、北半球の古馬から4頭をセレクト。このうち2頭は欧州勢で、両馬はいずれもゴドルフィンの所有馬である。

 1頭は昨年、G1愛ダービー(芝12F)、G1パリ大賞(芝2400m)、G1セントレジャー(芝14F115y)と、3つのG1を手にしたハリケーンレーン(Hurricane Lane、牡4、父フランケル)だ。昨年も、G1凱旋門賞馬トルカータータッソがレーティング125を獲得して世界ランキング6位に入ったように、例年高いレーティングがつくのが凱旋門賞だ。そんな中、道悪を苦にしないハリケーンレーンは間違いなく、今年の凱旋門賞の有力候補である。

 指名したゴドルフィンのもう1頭とは、長距離路線のマノーボ(Manobo、牡4、父シーザスターズ)だった。指名の段階での成績は5戦5勝で、今年の欧州長距離界を背負って立つと見られていた馬だ。ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝19F210y)へ向けた前売りでも、1番人気に推されていた。

 昨年のゴールドC勝ち馬サブジェクテイヴィストがレーティング123をもらっていたので、この馬もそれぐらいは行けるはずと皮算用していた。ドバイワールドCデイのG2ドバイゴールドC(芝3200m)で、オッズ1.44倍の同馬がステイフーリッシュ(牡7)に競り負けたことは、皆様も既にご存知の通りである。

 古馬勢で、北米調教馬から指名したのが、ライフイズグッド(Life Is Good、牡4、父イントゥミスチフ)だった。1月29日に行なわれたG1ペガサスワールドC(d9F)を勝った段階で、既にレーティング124を獲得。3月10日に発表された今年1回目の世界ランキングで、堂々と首位に立っていた馬である。同馬が、オッズ1.62倍の1番人気に推されていたG1ドバイワールドC(d2000m)で、4着に敗れたことも、皆様には改めてご説明するまでもないだろう。

 そして、日本の古馬から指名したのが、昨年の年度代表馬エフフォーリア(牡4、父エピファネイア)である。G1天皇賞・秋(芝2000m)を制した際にレーティング124を獲得し、昨年の世界ランキングでトップ10入りを果たした同馬。ライフイズグッドとともに「この馬は外せないよね」という1頭だったのだが、エフフォーリアもまた、今季緒戦となったGI大阪杯(芝2000m)でよもやの9着に敗退。しかし、今後の巻き返しが絶対にある馬だと思う。

 10頭の中で、南半球からただ1頭指名したのが、これもゴドルフィンのアナモー(Anamoe、牡3、父ストリートボス)だ。昨年10月のG1コックスプレート(芝2040m)の2着馬で、豪州における今後のこの路線を牽引することが期待される1頭である。3月19日のG1ローズヒルギニーズ(芝2000m)を6.1/2馬身差で快勝。4月14日に予定されている今年2回目の世界ランキング発表では、上位に入ってくるものと想定している。

 同馬は、4月9日にロイヤルランドウイックで行なわれたG1クイーンエリザベスS(芝2000m)で9着に敗れたが、中間に熱発があったと報じられており、この結果は度外視してよいだろう。なお、南半球生まれのアナモーは、現段階では「3歳」だが、8月から「4歳」となるため、POGザワールドのルール上では、古馬扱いとなる。すなわち、5ポンドのボーナスは加算されない。

 そして、指名の残り5頭が、3歳馬となった。まずは、英二千ギニーと英ダービーの前売りで1番人気に推されている馬たちを、順当に指名した。 二千ギニーの本命は、2歳時5戦5勝の成績を残し、欧州2歳牡馬チャンピオンとなったネイティヴトレイル(Native Trail、牡3、父オアシスドリーム)だ。昨年の欧州2歳ランキングでもレーティング122を獲得しており、今年もこれと同等以上の数字を獲得してくれるはずと期待している。この馬もゴドルフィン所有馬で、結果的に、指名馬10頭のうち4頭がゴドルフィンになった。

 ネイティヴィトレイルは、日本時間の13日夜に行なわれる、ニューマーケットのG3クレイヴンS(芝8F)で、今季初登場の予定だ。

 一方、ダービーの本命は、バリードイルのルクセンブルク(Luxembourg、牡3、父キャメロット)だ。2歳時は3戦し、G1フューチュリティトロフィー(芝8F)を含めて3連勝を飾った馬である。ダービーの本命だが、管理するA.オブライエン師は既に、同馬の今季緒戦が4月30日にニューマーケットで行われるG1二千ギニーと表明しており、ここで早くもネイティヴトレイルと激突することになる。

 日本からも1頭、ダノンベルーガ(牡3、父ハーツクライ)を指名した。日本ダービーの最有力候補と見て、日本ダービーを勝てばレイテイング120はもらえるから、3歳馬ボーナスを加味すれば125ポイントは獲得できるという皮算用だ。

 前段でも記したが、指名馬10頭のうちレーティングの上位8頭の数値を合算するというのが、POGザワールドのルールだ。すなわち、10ある枠のうち2つは、どでかい場外ホームランを狙って、思い切った「先物買い」の指名に使うことが出来る。

 一発長打狙いの1頭目は、アンターラ(Antarah、牡3、父シーザスターズ)。シャドウェルの自家生産馬で、管理しているのはジョン&セイディ・ゴスデンだ。10月25日にニューキャッスルで行なわれたノービス(AW8F5y)を、最後方一気の競馬で制し、1戦1勝の成績で2歳シーズンを終えている。

 2頭目は、仏国のアンドレ・ファーブルが管理するアギャーヴ(Agave、牝3、父ドゥバウィ)だ。指名をした段階では、2戦2勝。昨年9月2日にパリロンシャンで行われたメイドン(芝1600m)を勝ってデビュー勝ち。今季緒戦となった、3月10日にサンクルーで行われたLRロゼドマイ賞(芝2000m)を3馬身差で制し、連勝を飾っていた。

 本馬はさらに、指名後の4月2日にサンクルーで行なわれたG3ペネロープ賞(芝2100m)も勝ち、無敗の3連勝で重賞初制覇を果たしている。ジャドモントの自家生産馬で、母の2歳年下の半妹にG1・11勝の名牝エネイブルがいるという血統背景を持つ馬だ。

 POGザワールドは視聴者参加企画で、視聴者の皆様の応募締め切りは、4月25日(月曜日)の午後8時だ。グリーンチャンネルのウェブサイト上にある「Go Racing!」のページから、10頭を指名する応募ページへのリンクが貼られており、成績優秀者には賞品も用意されている。たくさんの皆様のご参加を、お待ちしています。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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