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【フローラS AI予想】無理には逆らえない!? AIが指名した注目馬の信頼度をチェック

  • 2022年04月18日(月) 18時00分
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)


人気薄の伏兵が波乱を演出した年も少なくない


AIマスターM(以下、M) 先週は皐月賞が行われ、単勝オッズ9.1倍(5番人気)のジオグリフが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いのではないでしょうか。決してレースを進めやすい枠順ではなかったと思うのですが、道中は好位の外目を追走し、ゴール前の直線入り口で早くも先頭を射程に捉えましたね。最後はイクイノックス(2着)との追い比べになったものの、決定的な差をつけられることなく食らい付き、決勝線の手前で逆に1馬身突き放しています。陣営はもちろん、鞍上の福永祐一騎手にとっても会心の勝利だったはずです。

M ジオグリフはデビュー2戦目の札幌2歳Sで重賞初制覇を果たしましたが、2走前の朝日杯FSでは5着に、前走の共同通信杯でも2着に敗れていました。

伊吹 もっとも、朝日杯FSは上がり3ハロンタイム順位が出走メンバー中トップタイで、共同通信杯も勝ったダノンベルーガとは1馬身半差。悲観するほどの内容ではありませんでしたし、今回や札幌2歳Sのパフォーマンスを見ると、やはり基本的には右回り、かつこれくらいの距離が合うタイプなのでしょう。乗り替わりや枠順の影響があったにしても、単勝5番人気どまりというのは過小評価だったかもしれません。

M ちなみに、ジオグリフはドレフォンの初年度産駒です。

伊吹 POGのドラフトシーズンが近付いていることもあり、私は勝ち馬率や一頭あたり賞金といった各種データの分析を進めているところなのですが、現3歳世代がファーストクロップだった種牡馬たち、特にキタサンブラックやドレフォンはそれぞれなかなかの好成績をマークしていました。皐月賞2着のイクイノックスはキタサンブラック産駒ですし、この両種牡馬は次シーズンのPOGでも相応に注目を集めるのではないかと思います。一足早く評価していた身としては少々複雑ですけど(笑)、私も主戦力候補と位置付けて有望な産駒をリストアップするつもりです。

M 上位2頭にドウデュース(3着)、ダノンベルーガ(4着)、アスクビクターモア(5着)を加えた計5頭が日本ダービーへの優先出走権を獲得しました。

伊吹 既に東京の重賞を勝っているイクイノックスとダノンベルーガは、皐月賞で先着を許したジオグリフより人気を集めるかもしれませんね。ただ、JRA重賞を複数回勝っている現3歳世代の牡馬はジオグリフとセリフォスの2頭だけですし、実績を見る限りでは混戦模様のメンバー構成となりそう。どんなオッズが形成されるのかを含め、ダービーデイが非常に楽しみです。

M 今週の日曜東京メインレースは、オークストライアルのフローラS。昨年は単勝オッズ11.8倍(5番人気)のクールキャットが優勝を果たしました。なお、その2021年は単勝オッズ88.3倍(14番人気)のスライリーが2着に食い込み、3連単で36万2070円の高額配当が飛び出しています。

伊吹 2012年以降の過去10年における単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭のうち9頭は単勝7番人気以下。波乱含みの一戦と言って良いでしょう。



M 単勝1番人気馬の成績を見ても、過半数の6頭が4着以下に敗れていますね。

伊吹 まぁ、単勝2番人気馬は2012年以降[1-5-2-2](3着内率80.0%)でしたし、上位人気勢の好走率が極端に低いわけではありません。ただ、人気の中心となっているような馬を軸にする場合も、妙味ある伏兵を見逃してしまわないよう心掛けるべきだと思います。

M そんなフローラSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、マイシンフォニーです。

伊吹 なかなか興味深いところを挙げてきましたね。人気薄ということはないはずですが、支持が集中するということもなさそう。

M 前走のフィリーズRは単勝オッズ9.3倍(3番人気)で4着。コース替わりを高く評価されそうな雰囲気ではあるものの、上位人気グループの一角を占めるくらいにとどまるのではないでしょうか。

伊吹 まぁ、現時点では何とも言えませんし、妥当なところに落ち着く前提で話を進めようと思います。Aiエスケープが高く評価しているこの馬のプロフィールを、フローラSのレース傾向と比較していきましょう。

M マイシンフォニーは2走前に未勝利を勝ち上がったばかり。収得賞金はまだ400万円です。

伊吹 正直なところ、実績面に関してはあまり強調できません。“JRA、かつ1勝クラス以上のレース”において1着となった経験がない、かつフラワーCにおいて5着以内となった経験がない馬は2012年以降[2-3-6-106](3着内率9.4%)、2015年以降[0-2-4-75](3着内率7.4%)。2019年以降はさらに苦戦していました。



M 既に2勝以上をマークしている馬と、フラワーCの上位馬を重視すべきレースなんですね。

伊吹 マイシンフォニーは前走のフィリーズRで4着に食い込んでいますが、フラワーCとは施行条件がだいぶ異なるレースですし、やや評価を下げるべきだと思います。

M なるほど。他にはどんな点が明暗を分けそうでしょうか。

伊吹 今年は出走数がポイントになるかもしれませんね。2012年以降の過去10年まで集計対象を広げても、キャリア2戦以内の馬は期待を裏切りがちでした。



M 今年のフローラSは、特別登録を行った15頭のうち6頭がキャリア2戦以内です。

伊吹 世代限定の重賞は「キャリアの浅い馬ほど好成績」という傾向になりがちなのですが、このレースは別。順調さを欠くなどしてあまりレースを使えなかった馬は過信禁物と見るべきでしょう。

M キャリア5戦のマイシンフォニーにとっては強調材料のひとつと言えますね。

伊吹 もうひとつポイントを挙げるならば前走の出走頭数。2019年以降の過去3年に限ると、10頭立て以下のレースを経由してきた馬は上位に食い込めていません。



M 今年は特別登録を行った15頭のうち7頭がこの条件に引っ掛かっています。

伊吹 マイシンフォニーは表Bで挙げた条件こそクリアしていないものの、キャリア3戦以上、かつ前走の出走頭数が11頭以上だった馬は5頭しかいないので、そのうちの一頭である点は重く見るべきでしょう。そのうえAiエスケープが高く評価しているわけですし、少なくとも無理に嫌う必要はないはず。私自身も、よほど人気が集中してしまわない限りはそれなりのシルシを打つつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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