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【メイショウミモザ×奥村一晃調教助手】ヴィクトリアマイルでGI初挑戦! ツンデレ娘“ミモちゃん”のかわいすぎる素顔

  • 2022年05月08日(日) 18時00分
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▲メイショウミモザと奥村一晃調教助手(撮影:大恵陽子)


阪神牝馬Sで重賞初制覇を果たし、ヴィクトリアマイルに挑むメイショウミモザ。母は昨夏、この世を去ったメイショウベルーガで、牡馬相手に重賞2勝を挙げ、GI・エリザベス女王杯でも2着と活躍した芦毛馬でした。

母と同じ芦毛の半兄・メイショウテンゲンも重賞勝ちを収めるなど注目の一族ですが、長距離を得意とした兄に対し、ミモザは重賞を勝つまでは1200mが主戦場。毛色は同じなのに、兄とは対照的なミモザの素顔とはどのようなものなのでしょうか。GI初出走を前に、池添兼雄厩舎で担当する奥村一晃調教助手にうかがいました。

(取材・構成:大恵陽子)

ブリンカーと状態の良さが引き寄せた重賞初制覇


──メイショウミモザの阪神牝馬S制覇、おめでとうございます。

奥村 ありがとうございます。

──まずはこの馬のレースでの歩みを振り返りたいのですが、初勝利までは10戦と少し時間がかかりました。どんな思いでしたか?

奥村 若いこともあってイレ込みもありました。初勝利を挙げたのは滞在の北海道で、落ち着いていたという面が大きかったと思います。徐々に輸送にも慣れてきていますが、やはり環境の変化に弱い部分が少しあります。

──その後、芝1200mで3連勝を挙げて一気に準オープンまで駆け上がりました。同クラスでは2桁着順を経験しながらも、3走前にブリンカーを初めて着用すると、鮮やかな差し切り勝ちでしたね。

奥村 先生からの指示で追い切りで着けてみると、道中の感じがいつもと違ってハミをちゃんと噛んでいました。最後もこれまではゴール板を馬が分かっているので少し気を抜いていたのが、そんな素振りもなくきちんと最後まで走っていました。「効果があるんだな」と感じましたし、レースでも弾けてくれましたね。

──このクラスでは少し足踏みをした時期もありましたが、何か課題を抱えていたのでしょうか?

奥村 何が原因かは分からないのですが、状態があまり上がってこなかったことが一番大きかったかもしれません。調子がいいと感じる時は掲示板に載ったのですが、「これは!」と思えるほどまでは達していませんでした。

──馬の状態とブリンカー着用と、様々なことが噛み合った結果の3勝クラス勝利だったんですね。勝った時はどんな気持ちでしたか?

奥村 いつもなら先行するレースをしていましたが、抑えて我慢する形で弾けたので、もうビックリです。ブリンカーってこんなすごいんだって。どうしても先行するレースでここまで勝ってきたので、その方がいいのかなと思っていましたけど、いま思えば先行することにクラスの壁があったのかもしれないですね。

──そうしてオープン入り2戦目となった阪神牝馬Sで重賞初制覇を果たしました。

奥村 ジョッキーと馬のおかげです。特に調教を変えたとかはなく、普段通りにやっていました。鮫島克駿騎手が上手く乗ってくれて、あの子がそれに応えてくれたこと、それが一番です。

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▲阪神牝馬Sで重賞初制覇を果たしたメイショウミモザ(C)netkeiba.com


「もっとニンジンくれ」 ニンジンが大好き!


──これまで1200mで勝ち星を挙げてきましたが、阪神牝馬Sは1600m。距離に対する不安はありませんでしたか?

奥村 ずっと1200mを使っていたので「本当に1600mは大丈夫だろうか」と心配する気持ちはありました。未勝利の頃に距離を延ばしてもそんなにいい感じがなくて、1200mに距離短縮をしたら2戦連続2着ののち、初勝利。血統だけを見たら、距離が延びていいはずなので、当時は「あれ?」と思っていました。

──たしかに、母・メイショウベルーガは2000m以上で活躍しましたし、半兄メイショウテンゲンにいたっては3400mのダイヤモンドSで2着ののち、天皇賞・春に出走するなどステイヤーでした。

奥村 半兄のメイショウテンシャを担当していたんですけど、テンシャも「この子、距離が長い方がきっといいよね」と話していました。どの兄たちも普段はほわ〜とした優しい感じでした。ミモザは女の子ということもあるのかもしれないですけど、走りだしたら勝ち気なところがあります。

──その性格がマイル前後の距離での好成績につながっているんですね。お母さんのメイショウベルーガの現役時代は厩舎で見ていましたか?

奥村 僕はその時牧場にいて、休養に来ていたお母さんは知っています。直接触ってはいませんでしたが、近くで見てはいて、まさか何年後かに娘を担当する日が来るなんて思ってもいませんでした。

──なんだか不思議な縁を感じますね。ミモザは普段、どんな子ですか?

奥村 新馬の頃からずっと担当していて、本当に可愛いです。はじめの頃は小柄で、ご飯もそこまでモリモリ食べるような子じゃなかったです。性格は甘えたい時はずっと顔をすり寄せてくるんですけど、キャンキャンしているところもあって、近寄ってほしくない時は耳を絞って「近寄らないで」って雰囲気を出します。ツンデレですね(笑)。

──ツンデレ具合にキュンとしそうです(笑)。

奥村 馬房の中ではキャッキャしているんですけど、外に出すと大人しいです。外が好きなのかな。厩舎周りを曳き運動している時は、甘えてきてくれます。顔がかゆいのかもしれないですけど、ゴシゴシしてきたりして。頭を撫でてあげて、「ミモ」って呼んでいます。

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▲顔をすり寄せて甘えてくるミモちゃん!(撮影:大恵陽子)


──ホント可愛い! 好き嫌いは何かありますか?

奥村 ニンジンが大好きで、角切りにしてご飯に入れているとニンジンだけを先に食べちゃって、「もっとニンジンくれ」と言うので、今はニンジンをすってご飯に混ぜてあげて、いつでも人参を食べられるようにしています。テンシャもニンジンを入れると先に全部食べていました。

──聞けば聞くほど愛着がわいてきます。さて、いよいよGI初挑戦となるヴィクトリアマイルが近づいてきました。現在の状態と意気込みを聞かせてください。

奥村 変わりなく、いい状態できています。東京への輸送は金曜日にして、土曜日は運動だけにして落ち着かせようと現時点では考えています。メンバーはかなり強そうですけど、無事に走ってきて、その中で結果がついてくれば一番いいかなと思います。応援よろしくお願いします。

(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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