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【騎手の種牡馬辞典】ロードカナロア・キズナ・オルフェーヴル編 ──リーディングトップに立つ種牡馬とは?

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  • 2022年05月08日(日) 18時03分
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▲「競馬博士」坂井瑠星騎手の短期連載がスタート! (撮影:福井麻衣子)


“超”のつく競馬オタクの坂井瑠星騎手が、豊富な知識と経験から種牡馬を解説する「使える種牡馬辞典」。初回に取り上げるのは、ロードカナロア、キズナ、オルフェーヴルの3頭です。

現リーディングサイヤーのディープインパクトは、2020年生まれがラストクロップ。それゆえ、ロードカナロアが逆転する日もそう遠くはないでしょう。

実際に産駒に騎乗している騎手の立場からしても、ロードカナロアがトップに立つであろう理由があると言います。今回は産駒の特徴から、ロードカナロアの種牡馬としての強みに迫ります。

(取材・構成=不破由妃子)

新馬戦でカナロア産駒の騎乗依頼はうれしい


 5月1日終了時点で、勝ち馬頭数(68頭)、勝利数(75勝)でトップを走っている種牡馬といえば、ロードカナロアです。獲得賞金こそディープインパクトのほうがまだ上ですが、ディープ産駒は2020年生まれがラストクロップであり、逆転する日もそう遠くはないでしょう。

 そんな次世代のリーディングサイアー、ロードカナロアの代表産駒といえば、なんといってもアーモンドアイ。そのほか、ステルヴィオ、ダノンスマッシュ、サートゥルナーリア、レッドルゼル、パンサラッサなど、わずか5世代でこれだけのGIホースを輩出しました。

 僕もパンサラッサ、キングエルメス、ニューポート、ケイアイサクソニーなどで、14勝を挙げさせてもらっています(5月1日終了時点)。

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▲香港スプリントを連覇した際のロードカナロア (撮影:高橋正和)


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▲代表産駒のアーモンドアイ (撮影:下野雄規)


 ロードカナロアの種牡馬としての特徴は……弱点がないこと!

「なんだよ。それじゃあ馬券の参考にならないじゃないか」と、のっけからガッカリさせてしまったとしたらすみません。でも、僕の感覚としては本当にそうなんです。

 とにかくおとなしくて、扱いやすい馬が多く、なにかと不確定要素の多い新馬戦でカナロア産駒の依頼をいただいたらうれしくなるほど。ジョッキーとして精神的に余裕を持って乗れる産駒が多く、そういった意味でも非常にありがたい存在です。

 聞いた話ではありますが、現役時代のカナロアは、年を重ねるにつれておとなしくなっていったとか。そういった素直さや穏やかさが、産駒にも受け継がれているのかなぁというのが僕の印象です。

 僕がコンビを組ませてもらっているキングエルメスも、ロードカナロア産駒。モーリス産駒のお兄さん、カイザーノヴァにもずっと乗せていただいていました。お母さんであるステラリードの仔は元気がよすぎるのが共通点で、その点はこの2頭にもしっかり受け継がれていますが、お父さんがカナロアになったことで、だいぶ抑えられたように思います。

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▲坂井騎手がコンビを組むキングエルメス (撮影:下野雄規)


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▲ロードカナロア産駒の良さが現れているという (撮影:下野雄規)


 距離は1600mから2000mのイメージですが、実際は1200mから2600mまで結果を出しており、ダートも含め、距離の守備範囲という意味でも欠点の少ない種牡馬だと思います。

 むしろファンのみなさんに知っておいてほしいのは、素直な気性の馬が多いので、いかにも短距離馬というタイプの馬であっても2000mまで持ってしまうケースがあること。馬券を検討する際、このあたりは要注意です。

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1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属として地方通算2000勝を達成した名手(現調教師)。同期は藤田菜七子、荻野極、木幡巧也ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎所属でデビュー。2019年ノーワンのフィリーズレビューで重賞初制覇。2020年ダノンファラオのジャパンダートダービーで交流GI初制覇。また、2017年のオーストラリア長期遠征を皮切りに、ヨーロッパや中東など世界各国で騎乗。

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