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【オークス予想】逆らうメリットはなさそう!? 今週もAIは妙味十分な実績馬を指名

  • 2022年05月16日(月) 18時00分

単勝オッズ5.7倍(4番人気)のソダシが優勝(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

単勝1〜2番人気馬の好走率はまずまず優秀


AIマスターM(以下、M) 先週はヴィクトリアMが行われ、単勝オッズ5.7倍(4番人気)のソダシが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いでしょう。道中はインの4番手を追走し、ゴール前の直線ではレシステンシア(3着)と併せる形に。その後も脚色は衰えず、残り200mを過ぎたあたりでレシステンシアや逃げたローザノワール(4着)を突き放しています。結果的に先行有利な展開だったものの、他の実績馬が力を出せなかったわけではありませんし、この馬の強さを改めて実感できました。

M ソダシは前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に挙げていましたし、伊吹さんも「素直に連軸を任せて良い」とおっしゃっていましたね。

伊吹 見解が一致していただけに、ソダシが最高の結果で応えてくれたのは嬉しい限りです。ただ、正直なところ当時の私は「おそらく人気の中心になってしまうと思うけど、無理に逆らう必要はないだろう」という立場でした。Aiエスケープには配当的な妙味を重視している印象がありましたから、ソダシで被ったのは完全に想定外。さらに、私が思っていたほど人気も集中しなかったわけで、Aiエスケープの方が一枚上手だったのかもしれません。

M 白毛ということでデビュー前から注目を集めていたソダシは、新馬と前走のフェブラリーSを除く8戦で単勝2番人気以内、かつ単勝オッズ5倍未満の支持を集めていました。前走のフェブラリーSも単勝オッズ8.2倍の4番人気でしたから、2走前のチャンピオンズCで12着に敗れていたことを考えると、人気が落ち切らなかった印象です。

伊吹 能力の高さもさることながら、アイドルホースとしての一面もある分、配当的な妙味はあまり期待できない馬だと思っていました。1600mのレースでは大きく崩れたことがなかったうえ、今回は実績ある芝、かつ牝馬限定の競走。安定感のあるタイプに見えないことを差し引いても、疑われ過ぎだったように思います。次走以降のオッズがどうなるのかにも注目しておきたいですね。

M 今週の日曜東京メインレースは、3歳牝馬クラシック戦線の主役たちが東京芝2400mの舞台に挑むオークス。昨年は単勝オッズ8.9倍(3番人気)のユーバーレーベンが優勝を果たしました。ちなみに、その2021年は単勝オッズ215.4倍(16番人気)のハギノピリナが3着となったこともあり、3連単で53万2180円の高額配当が飛び出しています。

伊吹 単勝オッズ1.9倍(1番人気)の支持を集めたソダシが8着に敗れてしまったのも大きかったですね。ただし、過去10年の単勝人気別成績を見る限りだと、上位人気馬はそれなりに堅実でした。


M 単勝1番人気馬は勝率が5割、3着内率が8割。合格点と言って良いのではないでしょうか。

伊吹 ちなみに、単勝2番人気馬も2012年以降[1-3-3-3](3着内率70.0%)です。人気薄の馬が上位に食い込んだ例も少なくないとはいえ、ある程度はこれまでの実績を尊重すべきだと思います。

M そんなオークスでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、スターズオンアースです。

伊吹 今週も、意外と言えば意外なところを挙げてきましたね。

M 皆さんもご存じの通り、3歳牝馬クラシック第一弾の桜花賞を制した馬。重賞未勝利だったこともあり、当時は単勝オッズ14.5倍(7番人気)の評価にとどまっていたものの、大一番で会心の差し切り勝ちを決めています。今回はそれなりに注目を集めると思いますが、前走の時点で人気薄だった分、妙味あるオッズになる可能性もありそうです。

伊吹 Aiエスケープが注目馬に挙げてきたということは、そうなる可能性が結構高いということなのでしょう。私はレースの傾向から評価していきますが、「無理に逆らう必要はなさそう」というAiエスケープの見立てを大前提に読み進めていただければと思います。

M 特殊なシチュエーションのレースですし、いろいろと面白い傾向もありそうですが、まずはどんなポイントに注目すべきなのでしょうか。

伊吹 直近のパフォーマンスですね。2018年以降の3着以内馬12頭は、いずれも前走の着順が4着以内でした。


M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 2012年以降の過去10年まで集計対象を広げても、前走の着順が5着以下だった馬は[1-1-3-67](3着内率6.9%)。桜花賞組を含め、大敗直後の馬は強調できません。

M 桜花賞を制したばかりのスターズオンアースにとっては心強い傾向です。他に何か強調材料はありますか?

伊吹 スターズオンアースは前走の馬体重が470kg。2017年以降の過去5年に限ると前走の馬体重が450kg未満だった馬は苦戦しているので、この点もポジティヴに評価できます。


M 馬格のない馬は過信禁物と見ておいた方が良さそうですね。

伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている馬が多いので、扱いに注意しましょう。

M 逆に、不安要素と見ておいた方が良さそうなファクターは何かありますか?

伊吹 個人的には、キャリア6戦である点が気掛かりです。2012年以降の3着以内馬30頭中25頭は、出走数が5戦以内。一方、キャリア6戦以上の馬は3着内率が6.0%にとどまっていました。


M スターズオンアースは今回が年明け4戦目。万全の状態でレース当日を迎えられるかどうかがポイントになるかもしれません。

伊吹 ちなみに、出走数が6戦以上だったにもかかわらず3着以内となった5頭の父は、ゴールドシップ、スズカマンボ、ステイゴールド、ゼンノロブロイ。いずれも現役時代に天皇賞(春)で連対を果たしている種牡馬です。「成長力や長距離適性のある血統なら、豊富なレース経験がプラスに働くこともある」と解釈して良いのではないでしょうか。

M スターズオンアースの父はドゥラメンテですから、この条件にも引っ掛かっています。

伊吹 まぁ、今年はこれらの条件を綺麗にクリアしている馬がほとんどいませんし、スターズオンアース自身の成績を見る限りだと、コース替わりが堪える可能性はさほど高くなさそう。Aiエスケープの評価や想定される人気を考えても、逆らうメリットはあまりないと見るべきでしょう。私自身、相応に重いシルシを打つつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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