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【日本ダービー】東西のスポーツ紙記者が今年のダービーを予想! 有力馬の考察から思わぬ穴馬まで飛び出す!【後編】

  • 2022年05月27日(金) 12時01分
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▲東スポ藤井記者(左上)、デイリー井上記者(右上)、スポニチ新谷記者(左下)、報知山本記者(右下)が登場するリモート座談会後編!


いよいよ今週末に迫った第89回日本ダービー。3歳馬の頂上決戦に胸躍らせる日々ですが、この世代のGIはここまで3レースとも異なる勝ち馬で、混戦ともハイレベルとも言われています。そうなると予想も一筋縄ではいかなさそう。そこで、予想のヒントを得るため、スポーツ紙の記者たちによるリモート座談会を開催。

後編では各記者の本命候補、や有力各馬の評価、さらには早くも来年のダービーを見据えたPOG情報まで濃い内容でお届けします。

(進行:大恵陽子)

皐月賞2桁着順の馬を有力視する記者が2人も!


──前編では皐月賞馬ジオグリフの状態が予想以上にいい、という話で盛り上がりました。後編では記者のみなさんが有力視している馬を伺っていきたいと思います。

※枠順や天候、当日の馬場状態などにより予想は変わる可能性があります。

藤井 やっぱりイクイノックスです。皐月賞は昨年11月の東スポ杯2歳S以来のレースで、それまでの皐月賞勝ち馬の最長間隔記録はコントレイルやサートゥルナーリアのホープフルS組(前年12月28日施行)。正直、厳しいかなと思っていました。ただ、イクイノックスは体質的にまだ強くなくて、回復に時間がかかるという理由で皐月賞直行を選んだので、おそらく陣営はダービーで最もいい状態に持っていくことが狙いだったと思います。そういった中、皐月賞は大外枠で前に馬を置けずに外々を回る形になりながらも勝ち馬から0.1秒差の2着ですから、上積みは相当あると思っています。1週前追い切りに乗ったクリストフ・ルメール騎手も木村調教師も「馬が良くなっている」と話していました。皐月賞では「もしこの感じで上位に入着するなら、ダービーでは手のひらを返します」と各所で言っていて、宣言通りに手のひらを返します(笑)。

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▲皐月賞は約5カ月の間隔でも2着と好走したイクイノックス(撮影:下野雄規)


井上 僕はマテンロウレオです。前編では「上位人気馬を買ったらダービーは儲かる」と言いながら穴馬を(笑)。

新谷 井上さんに乗って、人気上位馬のボックスを買おうと思っていました。

井上 選んだ理由は、前走がほぼ直線だけの競馬で、上がり3Fが33.9秒だったことです。皐月賞は、ペースが速くなると思った組と遅くなると考えた組で明暗を分けたと思っていて、ペースが流れないだろうと思った福永騎手(ジオグリフ)やルメール騎手(イクイノックス)が外枠から上手く運んで1、2着と正解だったんですけど、後方からレースをした組で際立った脚を使ったのがマテンロウレオでした。

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▲皐月賞では最後方から上がり2位の末脚を繰り出したマテンロウレオ(C)netkeiba.com


──騎乗した横山典弘騎手に井上記者は最近よく取材されるそうですが、何か話していましたか?

井上 せっかく栗東へ滞在しているので話を聞かせてもらっていますが、「33.9秒では物足りない。あの感じだと、もっとキレるはずなんだよなぁ」とおっしゃっていました。なぜ体感よりもキレなかったのか、というと、調教でも右手前と左手前では走りのバランスが大きく違うようで、おそらく左回りの方がいいんじゃないかということでした。また、良馬場といえどちょっと緩い中山の馬場も多少合わなかったんじゃないかな、と。きさらぎ賞を稍重で勝った時も思ったより伸びなかったらしいんです。そうなると、左回りの東京コースで、パンパンの良馬場ならばマテンロウレオの能力が発揮できるかなと思います。

 ただ、横山典騎手がマテンロウレオではなくて同厩舎のマテンロウオリオンに乗る、と。それでも息子の横山和生騎手が乗るので、アドバイス的なことは伝えるのではと思います。同じ馬主、同じ厩舎の馬なので。

新谷 僕はドウデュースです。2歳時からすごくセンスのいい走りをしていて、完成度が高く、現時点ではそれが大きなアドバンテージになると思っています。皐月賞はもう少し前で運ぶのかなと予想していたのですが、外を回りながら上がり3F最速で3着で、距離に対する不安もなくなったんじゃないかなと思います。鞍上はダービー5勝の武豊騎手ですし、勝ちにきているんじゃないかなと感じます。

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▲皐月賞は後方から最速の上がりで追い込み3着のドウデュース(C)netkeiba.com


山本 友道調教師はレースの感想をあまり詳しく語らないんですが、皐月賞後はすごく悔しそうで、直接言葉にはしませんでしたが「力を出し切れなかった」ということがニュアンスから伝わってきました。

新谷 2歳時には距離を短くしてでも中山のホープフルSよりも広いコースの阪神外回りで行われる朝日杯FSを選んだ馬ですよね。1週前追い切りは武豊騎手が乗ってCWですごい時計を出していましたし、馬体の緩さがだんだんなくなってきて、すごくいい体だなと感じます。

山本 僕はデシエルトを有力視しています。皐月賞はスタートで思いっきり躓いて、度外視ですよね。デビュー前から岩田康誠騎手が「ひょっとするかも!」と話していて、ずっと追いかけていました。初芝となった2走前の若葉Sは稍重とはいえ実に強くて、2着のヴェローナシチーはのちに京都新聞杯でも2着。メンバーに恵まれただけの勝利ではなかったと思います。レースでは行き切った方がいいと思うので、スムーズに逃げられればというところでしょう。

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▲皐月賞はスタートで躓くアクシデントがあったデシエルト(撮影:高橋正和)


──皐月賞で逃げたアスクビクターモアもいますが、展開はどうでしょうか?

藤井 アスクビクターモアはこだわって逃げるタイプじゃないと思います。

山本 前哨戦を見ても、他に逃げにこだわりそうな馬は出てきていないので、展開も見込んで抜擢してもいいのかなと思っています。

キラーアビリティとトライアル組は意見が分かれる!?


──皐月賞上位組でいうと、4着のダノンベルーガはどうですか?

藤井 まだ体のバランスに左右差があり、左回りの方がいいだろうという理由から皐月賞は使うか未定だったのですが、1週前追い切りに川田将雅騎手に乗ってもらい出走を決めた経緯があります。レースでは最内枠で、これまでと違ってポジションを取るようなレースをしました。また、外差し馬場で逃げ馬でも外に出したくなるような馬場状態でしたが、直線ではそれよりも内を突きました。それらを考えると、4着は悲観しなくていいと思います。ただ、少し気になるのが、皐月賞前に堀宣行調教師が「思いのほか仕上がっちゃった」というニュアンスの表現をしていたこと。最大目標をダービーに置いている過程で皐月賞を使ったので、想定よりもいい状態になった皐月賞後の状態がポイントになるかなと思います。

──「危険な人気馬」という点ではどうですか?

井上 そんなに人気はしないでしょうけど、ホープフルSを先行して折り合って勝ったキラーアビリティ。皐月賞は出遅れて、自分の形ではなかったのでほぼ参考外かなと思いますが、皐月賞の追い切りが結構気負っていたので、そういう面が出てきていて、抑えると力んだり危うさが出たりする馬なのかな? と感じます。

山本 僕はキラーアビリティはアリかなと思っていたんですけど、井上さんに否定されてどうしよう(苦笑)。

井上 いやいや、どうぞ。

山本 キラーアビリティもイクイノックス同様、ホープフルSから直行で皐月賞だったので、ダービーが目標のローテーションだと思いますし、本来は広いコースの方が合っている気がします。

 あとはやはり皐月賞組をどう取捨するかがポイントでしょうね。青葉賞や京都新聞杯といったトライアル組の話が出てこないですし、僕もそんなに買うつもりはないです。

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▲皐月賞では出遅れ13着のキラーアビリティ(撮影:下野雄規)


新谷 あ、でも僕は毎日杯を勝ったピースオブエイトのレースぶりが多彩で、ちょっと注目しています。

──そこは少し意見が分かれましたね。さて、少し気が早いですが、ダービーの翌週からは来年のダービーに向けて2歳新馬戦がスタートします。今年のPOGの狙い目など教えてください。

藤井 関東馬では6月の東京開催でデビューするノーザンファームの生産馬が基本中の基本だと思います。早期デビューで賞金を加算し、休ませるというのが戦略になっていますからね。

新谷 矢作厩舎で気になる2頭がいて、すでに入厩しているスーパーアグリは馬体や歩き姿を見て非常にカッコイイと感じました。あと、コントレイルの半弟インタクトは3歳のサンセットクラウドよりもコントレイルに似ているんじゃないかな、と写真から感じました。

山本 今年の2歳馬はディープインパクトが途中で種付けを中断し、その後死んだ世代。ディープにつけようと思っていた繁殖牝馬がリアルスティールやサトノダイヤモンドといった新種牡馬に回ったという話を聞きましたし、血統を見てもかなりいい繁殖がその2頭に揃っています。中でも矢作厩舎のフェイト(父リアルスティール)と池江泰寿厩舎のダイヤモンドハンズ(父サトノダイヤモンド)はすごく感触がいいと思います。

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▲デビュー前から話題沸騰のダイヤモンドハンズ(撮影:井内利彰)


──今年のダービーから来年のダービーまで、濃い話をたくさん聞かせていただいてありがとうございました。

藤井 まさか大恵さんの顔のアップをこんなにずっと見ているとは思わなくて、幸せな時間でした。

──最後にとんだ爆弾発言を(苦笑)。

山本 お三方ともテレビに慣れていてお喋りが上手くて、私はすごく緊張しましたけど、みなさんに引っ張られるようにボチボチと楽しく喋らせてもらいました。

新谷 僕も楽しかったです。藤井さんや井上さんがジオグリフがいいっておっしゃっていたのがすごく気になったので、当日の紙面でどんな印を打っているのか、自分自身でも楽しみにしています。

井上 いろんな意見があって、それを馬券の参考にするかしないかは別として(笑)、競馬ファンにお役に立てるような情報が1つでも発信できたらよかったのかなと思います。

(文中敬称略)

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