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シャフリヤールが出走予定、プリンスオブウェールズSの1番人気馬が回避

  • 2022年06月01日(水) 12時00分

シャフリヤールの前に立ちはだかる新たなライバルが出現


 シャフリヤール(牡4、父ディープインパクト)が出走を予定している、ロイヤルアスコット2日目(6月15日)のG1プリンスオブウェールズS(芝9F212y)へ向けて、先週後半から週末にかけて大きな動きがあった。

 まず、5月26日(木曜日)に英国のサンダウン競馬場で、この路線のG3ブリガディアジェラードS(芝9F209y)が行なわれた。

 5頭立てとなった中、4月22日にサンダウンで行なわれたG3ゴードンリチャーズS(芝9F209y)を制し、2度目の重賞制覇を果たすとともに、昨年秋からの連勝を3に伸ばしたモスタダフ(牡4、父フランケル)が、オッズ2.2倍の1番人気。

 昨年10月、デビュー3戦目から4連勝でニューマーケットのLRジェームズシーモアS(芝10F)を制し、ここが今季初戦だったベイブリッジ(牡4、父ニューベイ)が、オッズ2.75倍の2番人気。

 G1・4勝を誇るこの路線の古豪で、こちらもここが今季初戦だったアデイブ(セン8、父ピヴォタル)が、オッズ5.5倍の3番人気に推された。

 スタートから先手をとったのはトム・マークワンドが騎乗するアデイブで、ジム・クロウリーが乗るモスタダフが2番手。ライアン・ムーアが乗るベイブリッジは4番手を追走した。淡々と流れていた競馬が動き始めたのが残り4Fを切った辺りで、アデイブがペースを上げて後続との差を広げにかかった。

 残り500mから鞍上が仕掛けたモスタダフがアデイブを捉えたのが残り300mで、その直後に2頭の外を通ってベイブリッジが先頭へ。残り1Fを切るとベイブリッジの独壇場となり、同馬が最後は5馬身抜ける快勝。2着モスタダフで、さらに1馬身遅れた3着がアデイブだった。

 英国産馬で、ドーヴィルのG2ユージンアダム賞(芝2000m)勝ち馬シムラーンの甥にあたるのがベイブリッジだ。ジェームス・ウイガン氏のロンドン・サラブレッド・サーヴィス社の生産馬で、生産者とバリーリンチ・スタッドが共同所有をしている。

 サー・マイケル・スタウト厩舎から2歳秋にデビュー。2歳時は2戦して未勝利に終わったが、3歳初戦となったニューキャッスルのノーヴィス(AW10F42y)を5馬身差で制すると、冒頭で記したようにトントン拍子の4連勝。今季初戦のここで、重賞初挑戦初制覇を果たすことになった。

 この結果を受け、すかさず反応したのが、ブックメーカー各社である。同馬が登録を済ませている、G1プリンスオブウェールズSにおけるオッズを大幅にカットし、3.25〜4倍の前売り1〜2番人気に急浮上させたのである。

 シャフリヤールにとっては、新たな敵の出現となったわけだが、逆に、大物の回避というニュースが伝わったのが、28日(土曜日)だった。

 この段階でプリンスオブウェールズSの前売り1番人気の座にあったアダイヤー(牡4、父フランケル)が、出走を回避することになったのである。同馬を管理するチャーリー・アップルビー調教師が、ゴドルフィンのツイッターで明らかにしたものだ。

 ゴドルフィンによる自家生産馬で、G1愛1000ギニー(芝8F)2着馬アナサライの3番仔となるのがアダイヤーだ。

 2歳時を2戦1勝の成績で終えた後、3歳序盤はG3クラシックトライアルS(芝9F209y)2着、続くLRダービートライアルS(芝11F133y)2着と惜敗が続いたが、3戦目となったG1英ダービー(芝12F6y)で一変。2着以下を4.1/2馬身突き放す競馬で第242代のダービー馬となった。

 アダイヤーは、返す刀でアスコットのG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)にも優勝。秋は、一頓挫あってぶっつけ本番となったG1凱旋門賞(芝2400m)が4着、G1チャンピオンS(芝9F212y)が5着と連敗を喫した。

 そのアダイヤーの今季初戦は当初、6月3日にエプソムで行われるG1コロネーションC(芝12F6y)になると言われていたが、5月に入って咳の症状が出て調教を1週間ほど休んだ段階で、コロネーションC出走を断念。

 その後、プリンスオブウェールズSに照準を切り替えたが、調整の遅れを取り戻すにはもう少し時間がかかるとして、プリンスオブウェールズSも回避することになったものだ。

 というわけで、今週月曜日の段階でプリンスオブウェールズSの前売りは、ベイブリッジが2.625倍〜2.75倍のオッズで1番人気。

 シャフリヤールが4〜5倍のオッズで2番手人気。10〜12F路線のG1・3勝馬で、14着に大敗したG1サウジC(d1800m)以来の出走となるミシュリフ(牡5、父メイクビリーヴ)が5.0〜5.5倍のオッズで3番人気。

 同じくこの路線のG1・3勝馬で、前走G1タタソールズGC(芝10F110y)が3着だったステートオヴレスト(牡4、父スタースパングルドバナー)と、こちらもG1・3勝馬で、前走G1タタソールズGC(芝10F110y)が4着だったロードノース(セン6、父ドゥバウィ)の2頭が、6〜8倍のオッズで4番手評価となっている。

 シャフリヤールは、6月18日のG1プラチナムジュビリーS(芝6F)に出走するグレナディアガーズ(牡4、父フランケル)とともに、30日(月曜日)に関空を発った。

 当初は朝の出発が予定されていたのが、使用機到着遅れで半日のディレイがあり、実際に発ったのは30日の夜になった。フランクフルト経由で、ニューマーケット到着は31日の現地15時頃の予定だ。

 まずは、輸送がスムーズに運ぶことを切に祈っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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