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担当馬がオークス&ダービー制覇! 歴戦の敏腕助手が語る“素顔のドウデュース”

  • 2022年06月05日(日) 18時02分
“ノンフィクションファイル”

▲前川和也調教助手にドウデュースの素顔を伺います(撮影:下野雄規)


「武豊騎手と凱旋門賞へ」とかねてからプランが挙がっていたドウデュース。ついに日本ダービーを制し、フランスへの思いがますます高まります。

このダービー制覇は武豊騎手にとって6回目の、友道康夫厩舎としても3回目の称号でした。同馬を担当するのはかつて角居勝彦厩舎でオークス馬・トールポピーなどを担当した前川和也調教助手。「ダービー後もカイバをペロッと食べていました」というドウデュースの素顔や、2つのトップ厩舎での経験を伺いました。

(取材・構成=大恵陽子)

ドウデュースのスイミング通い、その目的は…?


──日本ダービー制覇、おめでとうございます!

前川 ありがとうございます。

──2戦目のアイビーSの少し前から担当になったとのことですが、第一印象は?

前川 今とあまり変わらないですかね。大人しくて賢くて、元気です。すっごくよく食べる馬で、こちらがセーブしなければ際限なく食べていそうなくらいです(笑)。

──そういえば、日本ダービーを勝った翌朝に厩舎で青草を頬張っている写真を見ました。

前川 ダービーが終わってからも「早くくれ」と言っていて、すごく食べていました。翌朝の取材の時も、友道厩舎では馬房の外から見えない場所に“軽食”のようなタイプのカイバをつけるのですが、記者さんが来たので呼んでもそれをずっと食べていて出てこなくて。それで、青草を外から見える位置に動かしたら、仕方なく顔を出して食べていました。たぶん、その瞬間の写真ですね。

──食いしん坊っぷりが愛らしいです。

前川 ずっと「くれ!」と鳴いています(笑)。何でも食べる馬で、たとえばサプリメントなどは子供に薬をあげるような感じでエサに混ぜたり割ったりして味が分からないようにあげることが多いんですけど、ドウデュースの場合は手のひらに乗せてサプリメントをそのままあげても食べるんです。ストレスがかかってカイバを残すとか、体調を崩すとかということがこれまでない馬ですね。

──ダービー前にプールの記録を見ると、かなりの頻度でスイミング通いをしているなと思っていたのですが、もしかしてその目的は…。


前川 プールで運動しないと、すぐに太っちゃうからです。元気なので、それで疲れることはないですし、以前からずーっとプールに通っていて、常連です。泳ぐのは慣れ過ぎて速くはないですけど、上手です。

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▲「ダービーが終わってからもすごく食べていました」(撮影:下野雄規)


角居師と友道師、戦国武将にたとえると…


──ドウデュースをひと言で表すと、どんなキャラですか?

前川 元気印! とにかく元気で、疲れているのを見たことがありません。物音などにも一切動じなくて、周りの馬が暴れたり、突然、音がしても大丈夫です。ダービーは大観衆の見守るスタンド前発走で、担当者としては神経を使う場面なのですが、ファンが拍手をしても「聞こえているのかな?」と思うくらい、普段、トレセンの運動場を歩いているような雰囲気でした。

──スタンド前発走と言えば、オークスは3歳牝馬とあって難しい面もありそうです。2008年には担当するトールポピーでオークスを勝ちましたが、どんな馬でしたか?

前川 妹のアヴェンチュラ(2011年秋華賞勝ち)も担当していて、妹はどちらかと言うと強かったですが、ポピーは体もメンタルも繊細なところがあって、競馬が近づいてくるとカイバをほとんど食べませんでした。

──それでも、レースではあれだけ強さを見せたんですね。前川助手は以前は角居勝彦厩舎に在籍していました。2つのトップ厩舎を経験してみて、雰囲気の違いなどは感じますか?

前川 それぞれの厩舎の雰囲気に先生の性格が出ているように感じます。角居先生は「(大きなことを)成し遂げるぞ!」という感じの織田信長タイプで、友道先生は「鳴かぬなら鳴くまで待とう」という徳川家康タイプかな、と思います。

“ノンフィクションファイル”

▲アヴェンチュラで秋華賞を勝利した際の角居元調教師(左)と前川調教助手(右)(c)netkeiba.com


──友道厩舎はスタッフさんの意見を積極的に採用してくれる、とも聞きます。

前川 先生から「こうした方がいいんじゃないか」ということは一切言われたことがないです。僕から「こうしてみていいですか?」と相談すると、だいたいは「いいよ」と言ってくださいます。言ったからには自分に責任が生じますから、やりがいも増します。友道厩舎に入ってすぐ、先生の器の大きさに驚いた記憶があります。

──何が正解か分からない競馬の世界で、友道厩舎に関してはそういう雰囲気とスタッフのみなさんの性格が上手くマッチしているのでしょうね。さて、日本ダービーを勝って周りからの反響もすごかったのではないですか?

前川 LINEが400通くらい来ていて、ビックリしました。帰りの馬運車でスマホを充電しながらずっと返信していました。嬉しいですね。

──秋にはフランス遠征プランが挙がっています。楽しみが広がっていきますね。

前川 今のところ、ダービー後も脚元を含め状態は全く問題ありません。翌朝に青草をむしゃむしゃ食べていた通り、元気いっぱいです。馬の状態が第一ですが、ぜひ行きたいですね。

(文中敬称略)

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