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【菊沢一樹騎手】キルロードと挑んだ高松宮記念 初GI騎乗で感じた“雰囲気”と“気持ちの変化”

  • 2022年06月06日(月) 18時02分
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▲菊沢一樹騎手に高松宮記念でのGI初騎乗を振り返っていただきました(c)netkeiba.com


GIII函館スプリントSで初重賞制覇を目指すキルロード(セ7、田村)。騎乗するのは高松宮記念でもコンビを組んで17番人気3着の大激走を演出した菊沢一樹騎手(24)です。今年は例年を上回るペースで勝ち星を重ねて、先月29日にはJRA通算100勝を達成するなど、ただいま好調のジョッキーに話を聞きました。

(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)

初のGI騎乗で感じた“普段の雰囲気との違い”


──キルロードとコンビで挑んだ前走の高松宮記念。菊沢騎手にとっては初めてのGI騎乗でしたが、レースでは3着と好走しましたね。

菊沢 勝った馬との差はわずかでしたから悔しかったです。でもキルロード自身は持ち前のしぶとさを生かしてよく頑張ってくれたと思いますし、感謝しています。

──17番人気と決して下馬評は高くはなかったですが、手応えはあったのですか?

菊沢 まず馬場状態はキルロードにとって向いていると思っていました。あとはあの馬の良さを生かすような競馬を…と思って乗ったのですが、イメージ通りの先行策を取ることができましたね。

──それまでキルロードには内田博幸騎手が続けて乗っていました。どのような経緯でコンビを組むことになったのでしょうか。

菊沢 一昨年の福島3勝クラス・みちのくSでコンビを組んで勝たせてもらっていたんですよね。そういう中で今回、内田さんも都合が合わなかったらしく、田村(康仁)先生に自分を指名していただいて、オーナー(エンジェルレーシング)にもそれを了承していただきました。

──どんなお気持ちでしたか?

菊沢 もちろんすごくうれしかったです。初のGI騎乗…それもチャンスのありそうな馬に乗れるんですから。なので感謝の気持ちと同時に、しっかり結果を残せるような騎乗をしたいと思いました。

──レース当日の様子も聞かせてください。GIということで普段との違いは感じましたか?

菊沢 もちろん感じました。パドックの待機所の時点から雰囲気が違うんですよ。他のジョッキーの皆さんがピリついているというか…。いつもは喋ったりしているのに、誰もひと言も口をきかないんです。


──すごい雰囲気ですね。影響を受けて余計に緊張したりしませんでしたか?

菊沢 大丈夫でした。戦法についてはイメージできていましたから、レースではそれを実行するだけだったので。あとは田村先生から「楽しんでこい」と言っていただいたので、その通り自分も“GIの雰囲気を感じて楽しもう”と割り切ることができました。むしろ1番緊張したのは最終追い切りでしたね(苦笑)。

──と、言いますと?

菊沢 せっかくのレース前に変な追い切りをして体調を崩したり、怪我をしたりしたら元も子もありませんから。でもそういった経験も含めて、本当に素晴らしいチャンスをいただけたと思っています。

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▲イメージ通りの騎乗で3着、波乱を演出した(c)netkeiba.com


──約1年半ぶり、2度目の騎乗となったキルロードですが、以前と比べて成長などの変化は感じましたか?

菊沢 もともとドシッとした馬だなという印象があったのですが、より重厚感が増していましたね。メンタル面も同様で、GIのパドックでも堂々と歩けていましたし、返し馬もしっかり走れていました。さすがだな…というか、むしろ自分がキルロードに助けてもらったような感じでした。

──7歳になってもコンスタントに走れていますが、秘訣は感じますか?

菊沢 レースはもちろん稽古でも余計なことは一切しません。体力やメンタル面で無駄な消耗をしないのがこの馬の長所ですよね。だからこそこの年齢でもフレッシュで、実戦でもちゃんと力を出し切れるのだと思います。

──良馬場だけでなく重馬場でも好走していますが、馬場適性についてはどう見ていますか?

菊沢 良馬場でも先行して結果を残すスピードがありますし、それでいて不良馬場もこなせます。他馬が苦にする状況でも問題にしないのは武器でしょうね。

──先月はマリアズハートで韋駄天Sを勝ちましたし、今年はすでに10勝(昨年15勝)を挙げています。私生活でも昨年、お子さんが生まれたそうですが、ご自身の中で何か変化があったのでしょうか?

菊沢 う〜ん。きっかけは高松宮記念だったり、子供が生まれたことだったり、色々あると思いますが、自分の中では“あせり”がなくなったと感じています。以前はどうしても気持ちが先行してしまって冷静に乗れないことが多かったんですよね。あとは日々のトレーニングや乗り方にしても、少し結果が出ないとあせってすぐに変えてしまったりしていました。もちろんまだまだレベルアップすべき部分はたくさんあるんですけど、今はあせらずに「まずは自分にできることをしっかりやろう」というスタンスで競馬と向き合えているのがいいのかなと思いますね。

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▲あせらずに自分のできることをしっかりとやろう(撮影:下野雄規)


──それでは最後に函館スプリントSへの意気込みを聞かせてください。

菊沢 まずは引き続き大きなチャンスをくださった関係者の皆さんに感謝の気持ちを持ちながら乗りたいですね。あとは函館芝1200メートルにもいいイメージがあります。福島コースで勝っているように器用さがありますし、タフな馬場を苦にしないので洋芝も合うと思います。今回は前走以上に注目を集める立場になると思いますけど、キルロードの持ち味を生かすような競馬をして、しっかりと結果を出したいです。

(文中敬称略)

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