函館SSに3歳牝馬が50キロで出走できるようになって以来、重賞1着歴のある3歳牝馬が出走するパターンは定石となりました。しかも、今年は桜花賞3着馬ナムラクレアの挑戦とあって、今まで以上に注目されています。
しかし、このパターンの成績は[2-0-1-5]で、優秀ではあるものの鉄板と言えるものではありません。本当にナムラクレアを信頼していいのでしょうか? ミッキーアイルの妙味度解説を交えながら紐解いていきます。
(取材・文・構成=オーパーツ・パブリッシング 編集K3)
ミッキーアイル産駒にとって大きなマイナスがある
編集K3(以下、K3) 先週の安田記念は「儲かる軸馬」に該当したソングラインが見事に勝ちました。
卍 最終的に4番人気(8.2倍)でしたね。
K3 これで「儲かる軸馬」の単勝回収率は139%、複勝回収率は103%になりました。僕が買っている3連複は当たりませんけど……。
卍 シュネルマイスターは“消し”でしたもんね。
K3 先週、ルメール騎手の妙味度解説のなかでも出ましたけど、本当に今年は重賞で勝ち切れないですよね。卍さんのおっしゃるとおり、逆張り作戦は続けたほうが良さそうです。
卍 今週はエプソムCと函館SSがありますけど、ルメール騎手のいるエプソムCにしますか?
K3 いえ、できれば函館SSにしたいです。
卍 どうしてですか?
K3 他の予想家さんのコラムを見ていると、みなさん函館SSを選んでいないんですよ。それってたぶん、ナムラクレアの斤量50キロが未知数だし、評価したとしても相当人気するからだと思うんですよ。でも、本当に妙味がないのかどうか、妙味度で調べるのが僕らの役割じゃないかと思ったんです。
卍 なるほど。確かに、浜中騎手が50キロで騎乗するというのも含めて、興味深いですよね。50キロで騎乗するのは、デビュー2年目となる2008年のマーメイドS以来みたいですから。
K3 絶対に勝ちたいという気迫を感じます。やっぱり自身が乗っていたミッキーアイルの産駒ということで思い入れも強いんでしょうね。
卍 函館SSに3歳牝馬が50キロで出走した例は8件あるんですけど、実は1番人気に推された例はないんですよね。
2013年 ストークアンドレイ(函館2歳Sの勝ち馬・10番人気15着)
2014年 クリスマス(函館2歳Sの勝ち馬・4番人気3着)
2015年 クールホタルビ(ファンタジーSの勝ち馬・15番人気7着)
2016年 ソルヴェイグ(フィリーズレビューの勝ち馬・12番人気1着)、
2016年 キャンディバローズ(ファンタジーSの勝ち馬・9番人気16着)
2017年 ジューヌエコール(デイリー杯2歳Sの勝ち馬・3番人気1着)
2021年 シゲルピンクルビー(フィリーズレビューの勝ち馬・2番人気9着)
2021年 リンゴアメ(函館2歳Sの勝ち馬・13番人気13着)
K3 桜花賞で馬券に絡むような馬が出るのは、ナムラクレアが初めてですからね。
卍 じゃあ、恒例の妙味度解説はミッキーアイルにしましょうか。ナムラクレアがこの条件に合うのかを含めて考えてみましょう。
K3 いいですね!
卍 電子書籍『中央競馬 妙味度名鑑 2022』のミッキーアイルのページを見てください。
K3 平均(100)以上が目立ちますね。
卍 特徴をまとめるとこうなります。
・全体的にやや過小評価されている
・芝もダートも狙える(※勝利数、好走率はダートのほうが上)
・勝ち鞍の大半は短距離だが、妙味度は中距離のほうが高い
・イメージ通り小倉は狙える
・特に条件戦で過小評価される
・距離短縮よりも距離延長
K3 函館SSの条件と照らし合わせると、「芝」が102、「短距離」が101、「右回り」が102、「函館」が83、「OP」が113、「3歳」が112、「短縮」が89ですね。
卍 大きなマイナスもありますけど、プラスの項目で相殺して平均を少しだけ超えています。
K3 あとは浜中騎手と長谷川厩舎の妙味度次第ということですね。そこに注目しつつ予想に移りましょう。
卍 はい。予想1〜5番人気の総合妙味度はこのようになっています。