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英G1プラチナジュビリーS見どころ

  • 2022年06月15日(水) 12時00分

世界の競馬ファンを仰天させる可能性を秘めるグレナディアガーズ


 中内田充正厩舎のグレナディアガーズ(牡4、父フランケル)が出走を予定する、G1プラチナジュビリーS(6月18日、アスコット、芝6F)の見どころをご紹介したい。

 上位人気に推されているのは、海外からの遠征馬だ。と言っても、残念ながらグレナディアガーズではなく、ファンの支持を集めているのは豪州調教馬ホームアフェアズ(牡3、父アイアムインヴィンシブル)と、北米調教馬カンパネリ(牝4、父コーディアック)の2頭である。

 G1ギャラクシーH(芝1100m)やG1オークレイプレート(芝1100m)を制したラシアンレヴォリューションの甥にあたり、イングリス4月1歳市場にて87万5千豪ドル(当時のレートで約6002万円)でクールモアに購買されたのがホームアフェアズだ。

 クリス・ウォーラー厩舎から21年1月にデビュー。初戦がいきなりG3キャノンベリーS(芝1100m)だった辺りに、陣営の期待が半端なく大きかったことがうかがえる。そして、そのG3キャノンベリーSでは2着に敗れたものの、続くG2シルバースリッパーS(芝1100m)を制し、重賞で初勝利を挙げた。

 ただし、2歳時の大きな目標だったG1ゴールデンスリッパーS(芝1200m)では8着に敗退。高かった期待に沿えたとは言えない成績で2歳シーズンを終えている。

 3歳初戦となったLRヘリテージS(芝1100m)で勝利を収めると、次走は総賞金1500万豪ドルのジ・エベレスト(芝1200m)に参戦。古馬の厚い壁に跳ね返されて、ここは9着に大敗したが、3歳馬同士の戦いに戻った次走のG1クールモアスタッドS(芝1200m)を3馬身差で快勝し、G1初制覇を果たした。

 4カ月の夏休みを挟んだ後、秋初戦となったのがG1ライトニングS(芝1000m)で、ここを制して2度目のG1制覇を達成。ここで2着に退けたのが、2022年の世界ランキング首位タイの座にある古馬最強スプリンターのネイチャーストリップ(セン7、父ニッコーニ)だったというのは、3キロの斤量差があったとはいえ、価値のある内容だった。

 ただし、続くG1ニューマーケットS(芝1200m)では9着に大敗。レース後、軽傷ながら背中の筋肉を傷めていることが判明し、予定していたザ・チャンピオンシップスのG1TJスミスS(芝1200m)を回避している。

 怪我は程なく回復し、4月29日にローズヒルで行なわれたバリアトライアルに出走。さらに、英国到着後の6月10日にアスコット競馬場でレースコースギャロップを敢行し、出走態勢を整えている。

 一方、アイルランド産馬で、祖母がG3ワールドトロフィー(芝5F)勝ち馬レディドミナトリックスという血統背景を持つのがカンパネリだ。タタソールズ10月1歳市場にて19万ギニー(当時のレートで約2691万円)で、ストーンストリート・ステーブルの代理人に購買され、北米に渡った。

 ウェスリー・ウォード厩舎から2歳5月にデビュー。キーンランドのメイドン(芝5F)を3.1/2馬身差で制し初戦勝ちを飾ると、ウォード厩舎所属馬らしく、その後は欧州に遠征。ロイヤルアスコットのG2クイーンメアリーS(芝5F)、ドーヴィルのG1モルニー賞(芝1200m)を連勝している。

 2歳最終戦となったのがG1BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝8F)で、適距離よりも長いことが懸念されたここでも、4着と健闘している。3歳初戦となったのが、昨年のロイヤルアスコット4日目に組まれたG1コモンウェルスC(芝6F)で、窪田芳郎氏所有のドラゴンシンボルとの大接戦になった末、頭差先着を許して2着で入線。

 しかし、ゴール前でドラゴンシンボルがカンパネリを押圧したとして降着となり、カンパネリは繰り上がりで2度目のG1制覇を手中にした。3歳時はその後2戦し、ドーヴィルのG1モーリスドゲスト賞(芝1300m)12着、キーンランドのG3フランクリンカウンティS(芝5.5F)3着と、勝ち星を挙げることは出来なかった。

 同馬の4歳初戦となったのが、4月16日にキーンランドで行なわれたLRジャイアンツコーズウェイS(芝5.5F)で、ここをトラックレコードに0秒12差に迫る好時計で快勝。その後は、3年連続のロイヤルアスコット参戦を目標に、じっくりと調整されてきた。

 これらを迎え撃つ地元勢の代表格が、昨年10月にアスコットで行なわれたG1ブリティッシュチャンピオンズ・スプリント(芝6F)勝ち馬クリエイティヴフォース(セン4、父ドゥバウィ)、5月11日にヨークで行なわれたG2デュークオヴヨークS(芝6F)で待望の重賞初制覇を果したハイフィールドプリンセス(牝5、父ナイトオヴサンダー)らである。

 豪州調教馬や北米調教馬の前評判が高いのに比べて、日本調教馬グレナディアガーズは、ブックメーカー各社のオッズが26倍前後と、それほどの人気にはなっていない。

 現地の競馬ファンにしてみると、GI朝日杯フューチュリティS(芝1600m)に勝ち、GI・NHKマイルC(芝1600m)で3着に入っているグレナディアガーズは「マイラー」であり、デビュー以来10戦目にして初めて短距離路線に挑んだGI高松宮記念(芝1200m)で12着に敗退した同馬を、この距離では「スピード不足」と解釈している節がある。

 だが、昨年暮れのGII阪神C(芝1400m)を目の覚めるような末脚で制した同馬は、間違いなくタクティカルなスピードを保持している。

 5月31日に、シャフリヤールとともにニューマーケット入りして以来のグレナディガーズは、すこぶる順調に調整されており、鞍上がGII阪神Cで手綱をとったクリスチャン・デムーロというのも心強い材料だ。

 父フランケル譲りの爆発的なスピードを発揮し、世界の競馬ファンを仰天させる可能性を、大いに秘めていると見ている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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