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【北村友一×藤岡佑介】「クロノを超えるような馬と出会いたい」復帰後の“葛藤”を乗り越えた先に目指す、次のステージ/第4回

  • 2022年06月29日(水) 18時01分
“with佑”

▲北村友一騎手をお迎えしての対談、最終回(撮影:桂伸也)


先週、阪神競馬場で復帰後初勝利を挙げた北村友一騎手、「結果を出せない自分に歯がゆさを感じていた」と31戦目での勝利に悔しさを滲ませました。

今回が最終回となる北村騎手との対談、最後のテーマは復帰後の葛藤です。まずは勝ち鞍よりも、納得のできる騎乗ができるように努力をし続けていきたいと話す北村騎手。しかし復帰をすればすぐに“結果”が求められるプロの世界、どうしても目先の結果にとらわれてしまいそうと本音も…。

そんな中、ひとつ結果を出せた北村騎手が次のステージに進むための目標とは、佑介騎手が語る“騎手として一番大事なこと”とは何か、熱く語っていただきました。

(取材・構成=不破由妃子)

まずはどれだけ僕に需要があるのか、そこが一番


佑介 今回の友一は、調教復帰から競馬に乗るまで約1カ月。調教に乗り始めたら、その週から競馬にも復帰する人が多いけど、この期間の取り方も友一らしいなと思った。万全を期してというか、まずは調教に乗って自分の体の変化を確認して、調整する時間まで取って。乗り役にしては慎重な期間の取り方だから、実戦に復帰してから徐々に調整していこうみたいな感じじゃないんだなって。

北村 ケガをした箇所が箇所なので、感覚的なものを取り戻すのに時間が掛かるだろうなと思ったんです。だから、調教に乗りながら自分で課題を見つけて、その課題をトレーニングで修正していく時間がほしくて。そのための1カ月です。実際、今の体は全然納得がいってませんからね。

佑介 しばらく葛藤は続くだろうな。むしろ、復帰したあとのほうが気持ち的に健康じゃなくなるかもよ(笑)。

北村 現実を受け止めないといけないですねぇ。復帰すると、“結果”として現れますから。

佑介 そのあたりはさ、ちょっと自分にゆとりを与えてあげたほうがいいと思うよ。勝ち鞍云々よりも、レース内容とか自分の騎乗に納得できることが増えていくことのほうが大事だと思うから。

北村 目先の結果ではなく、来年につながるような…とは思っているんですけど、どうしても目の前の結果にとらわれてしまいそうな気がするので、そこは今、藤岡先輩が言ってくださったように気を付けたいです。少しずつでも納得できる騎乗に近づけるよう、努力し続けていくことが大事ですよね。

“with佑”

▲むしろ復帰したあとのほうが気持ち的に健康じゃないかも…。(撮影:桂伸也)


──北村さんは、コツコツ努力をするのが得意なイメージがあります。

北村 コツコツ努力する時間を与えてもらえるのかどうか。やっぱり関係者やファンからしたら、復帰した週から注目して見るでしょうし、1週2週と過ぎるなかで「北村、ダメだな」と思われたとしたら、猶予を与えられない可能性もありますから。もちろん頑張るだけですが、まずはどれだけ僕に需要があるのか、そこが一番ですよね。

佑介 気持ち的には、半分はそことの闘いやからね。

北村 ホントにそうですよね。ここまでいろいろ話してきておいてなんですが、正直、この1年間、僕がどんな思いで過ごしていたかとか、どんなトレーニングをしてきたかとか、関係ないと思っていて

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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