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【函館記念AI予想】レースの傾向からも不安なし! AIが指名した伏兵は絶好の狙い目

  • 2022年07月11日(月) 18時00分

単勝オッズ16.2倍のエヒトが優勝(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

3着以内となった馬のうち3分の2弱が7番人気以下


AIマスターM(以下、M) 先週は七夕賞が行われ、単勝オッズ16.2倍(6番人気)のエヒトが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いでしょう。正直なところ道中は別の馬を目で追っていたのですが、3〜4コーナーにかけての手応えが目に入った段階で、この馬の勝利を半ば確信しました。その後はゴール前の直線入り口で先頭を捕らえ、そのまま後続を突き放し、セーフティリードを保ったまま押し切っています。

M エヒトの負担重量は54.0kg。ヒートオンビート(2着)が57.0kg、アンティシペイト(3着)が56.5kgでしたから、軽量を活かしての勝利と言えるのではないでしょうか。

伊吹 ただ、2〜3着馬の実績を考えると、負担重量の違いだけでパフォーマンスにあれほどの差がついたとは思えません。個人的に最大の勝因と見ているのはコース替わりです。2022年1回福島終了時点だと、福島芝2000mのレースに出走したルーラーシップ産駒の通算成績は3着内率32.9%、複勝回収率98%。ちなみに、このうち前走の4コーナー通過順が9番手以内だった馬は3着内率34.5%、複勝回収率120%とより優秀な成績を収めています。

M エヒトは今回が初めての福島参戦。この点をどう評価するかが予想のポイントでしたね。

伊吹 当然ながらこの傾向は頭に入っていたのですが、他にも魅力的な伏兵がいた分、残念ながら私はあまり厚く買えなかったんですよ。なんとか的中させることができたとはいえ、買い目にもう一工夫すべきだったと反省しています。

M 開幕戦の七夕賞を制したことで、もし今後もサマー2000シリーズの対象レースを使ってくるようならば、エヒトは相応の注目を集めることになるでしょう。

伊吹 オープンクラスのレースで馬券に絡んだのは今回が初めて。もっとも、休養前に出走した今年の京都記念(7着)は、勝ったアフリカンゴールドと0.4秒差、2着のタガノディアマンテと0.2秒差でした。次走は叩いた上積みも期待できるわけですし、負担重量が多少増えたとしても、軽んじるわけにはいきません。重いシルシを打つかどうかは使ってくるレース次第ですが、今回のパフォーマンスを過小評価してしまわないよう心掛けたいところです。

M 今週の日曜函館メインレースは、サマー2000シリーズ第2戦の函館記念。昨年は単勝オッズ4.5倍(2番人気)のトーセンスーリヤが優勝を果たしました。なお、その2021年は3連単の配当が20万1770円、2020年には3連単で343万2870円の高額配当が飛び出しています。やはり波乱の決着を警戒しておくべきなのでしょうか?


伊吹 そうすべきですね。過去10年の3着以内馬30頭中19頭は単勝7番人気以下の馬。一方、単勝1番人気の支持に応えて3着以内となったのは、2019年1着のマイスタイルだけでした。


M 先週の七夕賞も「人気薄の伏兵を積極的に狙っていくべきレース」とおっしゃっていましたが、あちらは2012〜2021年の3着以内馬30頭中15頭が単勝6番人気以内。函館記念はさらに人気薄の台頭が多いということですね。

伊吹 一応、過去10年の優勝馬10頭中9頭は単勝5番人気以内、かつ単勝オッズ10倍未満でしたから、単純に上位人気馬を嫌えば良いというわけではありません。ただ、単勝2番人気の馬も2012年以降[2-0-0-8](3着内率20.0%)ですし、何らかの不安要素がある馬は思い切って評価を下げるべきだと思います。

M そんな函館記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ギベオンです。

伊吹 おおっ。話の流れに合わせたかのような、ちょうど良い馬を挙げてきましたね。少なくとも、上位人気に推される可能性は低いはず。

M 2018年のNHKマイルCで2着となった実績のある馬ですし、2021年にも金鯱賞を勝っていますが、その後は7戦して一度も馬券に絡めていません。7歳という馬齢を考えても、積極的に狙おうと考えている方はそう多くないでしょう。

伊吹 昨年の金鯱賞を勝った時が単勝オッズ227.3倍(10番人気)、2走前の鳴尾記念(4着)に出走した際も単勝オッズ12.8倍(7番人気)と、もともと最近は過小評価されがちですからね。Aiエスケープが有力と見ている点を踏まえつつ、私は函館記念の傾向からこの馬の好走確率を分析してみたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりでしょうか。

伊吹 格の高いレースを積極的に使ってきたかどうかですね。過去9年の3着以内馬27頭中23頭は“前年以降、かつJRA、かつ2400m以下、かつGI・GIIのレース”において11着以内となった経験のある馬でした。


M 波乱含みのハンデキャップ競走であることを考えると、少々意外な気もしますが……。

伊吹 例えば、単勝オッズ77.3倍(15番人気)の低評価を覆した2020年1着のアドマイヤジャスタは、2019年の皐月賞で8着に、2018年のホープフルSで2着に食い込んだ実績があった馬。その後のレースでは苦戦が続いていたものの、明らかに格上だったわけです。こういうタイプの人気薄を狙うのが、当レースのセオリーと言えるでしょう。

M ギベオンは昨年の金鯱賞を勝っているほか、昨年の安田記念で9着に、前走の宝塚記念で10着に健闘。アドマイヤジャスタに似たパターンと見做して良いのかもしれません。

伊吹 少なくとも、私はそう考えています。さらに、同じく過去9年の3着以内馬27頭中23頭は“同年、かつJRA、かつ重賞のレース”において7着以内となった経験がある馬でした。


M 年明け以降の戦績も素直に評価した方が良さそうですね。

伊吹 おっしゃる通り。たとえ負担重量に恵まれたとしても、条件クラスやオープン特別のレースを主戦場としてきた馬は強調できません。

M ギベオンは2走前の鳴尾記念で4着に、3走前の金鯱賞で5着に食い込んでいます。こちらの傾向からも楽しみな一頭と言えるのではないでしょうか。

伊吹 もうひとつ付け加えておくと、函館記念は少頭数のレースを経由してきた馬が信頼できない一戦。ギベオンは前走の宝塚記念が“フルゲート”の18頭立てだった点も高く評価できるんですよね。


M これは驚きました。Aiエスケープが中心視しているだけでなく、レースの傾向からも不安要素が見当たらないとは……。

伊吹 これらの条件をクリアしている馬は他にもいるので、◎を打つかどうかはもう少し考えますが、絶好の狙い目と見て良いのではないかと思います。コース替わりもプラスに働きそうですからね。まずは見立て通りに妙味あるオッズがついてくれることを祈りましょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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