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パワーを帯びた最も活力ある白毛ファミリー

  • 2022年07月18日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・7/17 函館記念(GIII・函館・芝2000m)
 好位を追走したハヤヤッコが4コーナー手前で先頭に立ち、マイネルウィルトスの追撃を振り切りました。2019年にダート1800mのレパードSを勝って以来、二度目の重賞制覇です。

 芝とダート双方の重賞を勝つ馬は、たいてい芝→ダートの順ですが、その逆は例が少なく、エルコンドルパサー、アグネスデジタルなど数えるほどしかありません。白毛馬シラユキヒメを起点とするファミリーに属しており、自身も白毛。

 桜花賞をはじめGIを3勝したソダシ、ダートグレード競走を3勝したユキチャン、マイル以下の芝重賞を5勝したメイケイエールもこのファミリーの出身です。

 もはや白毛云々ではなく、現在の日本における最も活力あるファミリーのひとつといっていいでしょう。ちなみにメイケイエールは白毛ではなく、ママコチャ、ピオノノも同様。

 代を経ると白毛以外の馬も多くなってきています。パワーを帯びたファミリーなので、今回は洋芝と道悪がプラスに作用しました。

・7/16 函館2歳S(GIII・函館・芝1200m)

 外から伸びたブトンドールがクリダームの逃げをとらえて快勝しました。稍重の勝ちタイムは1分11秒8。2007年にハートオブクィーンが勝った際、1分13秒8(重)が計時されましたが、それ以来となる遅いタイムでの決着です。

 父ビッグアーサーは高松宮記念をレコード勝ちしたスプリンターで、セキフウ(兵庫ジュニアグランプリ)の半兄。父系は1967年にイギリスから輸入されたテスコボーイにさかのぼります。トウショウボーイ、ミスターシービー、テスコガビー、キタノカチドキなど、日本競馬史に残る名馬群を生み出してきた系統ですが、父系として生き残っているのはテスコボーイ→サクラユタカオー→サクラバクシンオーのラインのみ。

 この系統の重賞勝ち馬は、昨年夏の小倉記念を勝ったモズナガレボシ(父グランプリボス)以来約1年ぶりです。系統の存続はグランプリボスとビッグアーサーの頑張りにかかっています。

 ビッグアーサーは、2世代目から重賞勝ち馬を出し、現在、JRA2歳種牡馬ランキングではエピファネイアを抑えて首位。

 通算22勝のうち芝16勝、ダート6勝と、基本的には芝向きですが、配合次第ではグットディール(昇竜S-3着)のような砂の強豪も出せます。芝は中央開催よりもローカルの成績が圧倒的に優勢です。

今週の血統注目馬は?


・7/23 伊達特別(1勝クラス・福島・芝1800m)
 福島芝1800mに強い種牡馬はドゥラメンテ。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した61頭の種牡馬のなかで、連対率30.8%は第1位。

 当レースにはグランドラインとパノティアの2頭が登録しています。前者はここ3戦、9、12、15着と大敗していますが、GIとGIIでの結果なので致し方ありません。2歳時には芙蓉S2着、葉牡丹賞3着などの成績を残しており、立て直せば十分勝ち負けに持ち込めます。

 後者は芝転向後、6、5着。着順ほど大きく負けていません。小回りコースなら前進が見込めます。

今週の血統Tips


 CBC賞→七夕賞→函館記念→中京記念と、4週連続で古馬ハンデ重賞が組まれています。周知のとおりハンデ戦は、ハンデキャッパーの裁量で、強い馬には重い斤量を、弱い馬には軽い斤量を背負わせるレースです。実力どおりに決まらないため、馬券的には荒れる傾向があります。

 ハンデ重賞の成績を集計すると、成績のいい種牡馬が浮かび上がります。2012年以降、古馬の芝ハンデ重賞で産駒が30走以上した29頭の種牡馬のなかで、最も連対率が高い種牡馬はオルフェーヴル。64回出走して14回連対し、連対率21.9%という成績です。単勝回収率234%、複勝回収率117%もきわめて優秀。

 ハンデ重賞では常に注意を払いたい種牡馬です。昨年の中京記念はオルフェーヴル産駒のアンドラステが優勝しました。2位ロードカナロア(19.0%)、3位キングカメハメハ(18.7%)。このあたりも要注意です。今年の中京記念にはロードカナロア産駒のカイザーミノルが登録しています。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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