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キングジョージ6世&クイーンエリザベスSの開催迫る

  • 2022年07月20日(水) 12時00分

少頭数ながら興味深いメンバーがエントリー


 今週土曜日(7月23日)に英国のアスコット競馬場で、12ハロン路線におけるシーズン前半の総決算となるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)が行われる

 日本時間の18日・月曜日の夜8時にあった登録ステージで、6頭がエントリーを行った。

 昨年のこのレースの勝ち馬で、今季未出走のアダイヤー(牡4、父フランケル)が、依然として出走態勢が整わず、ここも回避。デビューから無敗の3連勝でG1英ダービー(芝12F6y)を制し、以降はここを目標に調整されていたデザートクラウン(牡3、父ナサニエル)が、蹄を傷めて14日に回避を表明。

 2枚看板を失ったのは残念だが、その一方で、前週のG1愛オークス(芝12F)を使う予定だったエミリーアップジョン(牝3、父シーザスターズ)が、思わぬアクシデントによって急遽ここに廻ってくることになり、少頭数ながらも興味深い顔合わせとなっている。

 当日1番人気が想定されるのが、デザートクラウンの回避によって、3歳世代を代表して参戦することになったウエストオーバー(牡3、父フランケル)だ。

 今季初戦となったサンダウンのG3クラシックトライアル(芝9F209y)を制し、重賞初制覇を果して臨んだエプソムのG1英ダービーは、直線半ばで進路がなくなる大きな不利がありながら、そこから体勢を立て直して猛然と追い込み、勝ち馬から2.3/4馬身差の3着に健闘。デザートクラウンに匹敵するパフォーマンスを見せたと、高い評価を受けた。

 それを実証したのが、6月25日にカラで行われたG1愛ダービー(芝12F)で、ここを7馬身差で圧勝してクラシック制覇を果した。

 10ハロン路線における、3歳と古馬の精鋭が初めてぶつかった7月2日のG1エクリプスS(芝9F209y)は、3歳世代のヴァデニ(牡3、父チャーチル)が優勝。ここでウエストオーバーがヴァデニに続くことが出来るかどうかが、大きな注目ポイントとなっている。

 ブックメーカーの前売りを見ると、2番人気に推されているのは3歳牝馬のエミリーアップジョンである。

 デビューから無敗の2連勝で臨んだヨークのG3ミュージドラS(芝10F56y)を5.1/2馬身差で快勝し、6月3日にエプソムで行われたG1英オークス(芝12F6y)で1番人気(2.5倍)に推された同馬。発馬直後に躓き、鞍上のF.デトーリが落馬寸前になるアクシデントがありながら、直線で大外を追い込み短頭差の2着に健闘。実質的に1番強い競馬をしたのはエミリーアップジョンというのが、衆目の一致する見方だった。

 その後は、7月16日にカラで行われたG1愛オークスを目標に、順調に調整されていたのだが、思わぬ事態が生じたのが、レース前日の15日だった。

 翌日のレースに備え、この日にカラ競馬場への輸送を行う予定だったのだが、スタンステッド空港から乗り込むはずだった機材が、“バードストライク”のため使用不能になったのだ。当日輸送という選択肢もあったのだが、同馬を管理するJ.ゴスデン師が馬主と協議した結果、愛オークスの回避を決定。急遽、キングジョージに矛先を切り替えることになったものだ。

 古馬勢を代表しての参戦となるのが、エミリーアップジョンと同厩で、昨年のこのレースは2着だったミシュリフ(牡5、父メイクビリーヴ)だ。

 連覇を狙っての出走だった今季初戦のG1サウジC(d1800m)は、14着に大敗。

 そこから立て直しを図り、約4か月ぶりの出走となったのがサンダウンのG1エクリプスSで、勝ち馬ヴァデニより10ポンド(約4.5キロ)重い斤量を背負いながら、この馬らしい鋭い末脚を見せてクビ差2着に好走。依然として高い能力を維持しているところを見せている。

 前走までこの馬の手綱をとっていたデヴィッド・イーガンが、馬主のプリンス・ファイサルと決別。キングジョージで誰がミシュリフに騎乗するかにも、注目が集まっている。

 このほか、今季2戦目となった前走G2ハンザ大賞(2400m)を3.1/2馬身差で快勝した、昨秋のG1凱旋門賞(芝2400m)勝ち馬トルカータータッソ(牡5、父アドラーフルーク)。ロイヤルアスコット最終日(6月18日)に行なわれたG2ハードウイックS(芝11F211y)を3.1/4馬身差で制し、6度目の重賞制覇を果したブルーム(牡6、父オーストラリア)。

 前年に続く連覇を狙っての出走だった6月3日のG1コロネーションC(芝12F6y)が2着だったパイルドライヴァー(牡5、父ハーバーウォッチ)という3頭の古馬が、キングジョージにエントリーしている。

 レースの模様はグリーンチャンネルで生中継(23日、23時〜24時)されるので、ぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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