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【アイビスSD AI予想】出走できれば侮れない!? AIが指名した人気薄を徹底分析

  • 2022年07月25日(月) 18時00分

単勝6番人気のベレヌスが優勝(C)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

1番人気の馬が9年連続で連対を果たしている


AIマスターM(以下、M) 先週は中京記念が行われ、単勝オッズ11.6倍(6番人気)のベレヌスが優勝を果たしました。

伊吹 鞍上の西村淳也騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。内寄りの枠に入った先行馬が抵抗する構えを見せたものの、1コーナーまでにしっかりハナを奪い切り、道中は2番手以下の馬に対して1馬身ほどの差をキープ。ゴール前の直線でもカテドラル(2着)やファルコニア(3着)の追撃を凌ぎ、そのまま押し切っています。決して余裕のある展開ではなかったと思うのですが、この馬の持ち味を最大限に引き出しました。

M ベレヌスは自身3度目の重賞挑戦でタイトルを獲得。オープンクラスのレースを制したのも今回が初めてです。

伊吹 昨年の夏に博多Sを勝ってオープン入りした後はしばらく苦戦が続いていましたね。ただ、もともと夏場のレースを得意としている馬ですし、直近の2戦も勝ち馬とのタイム差はそれぞれ0.2秒。コンディションは順調に上向いていたのだと思います。しかも、前回の当コラムで挙げた条件をすべてクリアしていて、いかにもこのレースが合っていそうなタイプ。私は最終的に◎を打ちましたが、期待に応えてくれて良かったです。

M ベレヌスはサマーマイルシリーズのポイントランキングで単独トップに浮上しました。

伊吹 陣営としても、次の目標をどこに定めるかは悩ましいところでしょうね。サマーマイルシリーズのチャンピオンを狙いに行くだけでなく、今回と同じ小倉競馬場で行われる小倉記念を使うというのも、現実的な選択肢のひとつかと思います。これだけの競馬をやり遂げたわけですし、次走以降も目が離せません。

M 今週の日曜新潟メインレースは、サマースプリントシリーズ第3戦のアイビスSD。昨年は単勝オッズ4.1倍(1番人気)のオールアットワンスが優勝を果たしました。なお、その2021年は単勝オッズ130.0倍(14番人気)のバカラクイーンが3着に食い込み、3連単は22万340円の好配当決着となっています。今年も伏兵の台頭を警戒しておくべきなのでしょうか?


伊吹 特殊な施行条件のレースですし、人気の盲点になっている馬を見逃さないよう心掛けたいところですね。ただ、過去10年の単勝人気順別成績を見てもおわかりいただける通り、上位人気馬が信頼できないというわけではありません。


M 単勝1番人気馬は連対率が9割に達しています。

伊吹 3着以下に敗れたのは2012年のビウイッチアス(10着)のみ。ここ9年の単勝1番人気馬はいずれも連対を果たしていますし、2着どまりだった2017年のフィドゥーシアと2020年のライオンボスも、勝ち馬とはタイム差なしでした。一方、単勝10番人気以下の馬は2012年以降[0-0-1-69](3着内率1.4%)。馬券に絡んだのは昨年のバカラクイーンだけなんですよね。超人気薄の馬が上位を占める可能性は低いと見るべきかもしれません。

M そんなアイビスSDでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、リンゴアメです。

伊吹 残念ながら除外の可能性もある馬ですが、思い切ったところを狙ってきましたね。

M ちなみに、次点はビリーバーとのこと。こちらも除外の可能性があるとはいえ、出走できれば妙味あるオッズがつくのではないかと思います。

伊吹 いずれにしても、Aiエスケープは伏兵を積極的に狙っていく方針みたいですね。両馬のプロフィールを頭に入れたうえで、好走馬の傾向を見ていきましょう。

M もっとも重要なポイントはどのあたりだと見ていますか?

伊吹 当然ながら、枠順です。2016年以前は内寄りの枠に入った馬もまずまず健闘していましたが、2017年以降に限ると馬番が1〜7番の馬はほとんど上位に食い込めていません。


M 新潟芝1000m直は圧倒的に外枠有利なことで知られているコース。このレースも例外ではなさそうですね。

伊吹 一応補足しておくと、馬番が17〜18番の馬は2017年以降[0-0-0-5](3着内率0.0%)、2012年以降まで集計対象を広げても[0-1-0-8](3着内率11.1%)。“外枠有利”と言って良いかどうかは微妙なところでした。ただ、やはり内寄りに入ってしまった馬は評価を下げるべきだと思います。

M ビリーバーは2020年のアイビスSDで3着に食い込んでいますが、この時の馬番は12番。ビリーバーもリンゴアメも、まずは好枠を引き当てたいところですね。

伊吹 枠順以外のファクターだと、注目しておきたいのは出走数。2018年以降の連対馬8頭はいずれもキャリア20戦以内でした。


M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 ちなみに、出走数が21戦以上、かつ“同年3月以降、かつ中央場所のレース”において3着以内となった経験がない馬は2018年以降[0-0-0-28] (3着内率0.0%)と好走例なし。しばらく馬券に絡んでいない馬や、ローカル場のレースを主戦場としてきた馬に関しては、出走数をより厳しく評価するべきでしょう。

M リンゴアメはキャリア15戦ですが、ビリーバーはキャリア44戦で、2020年のアイビスSDを最後に3着以内なし。この傾向を重く見るならば割り引きが必要です。

伊吹 あとは血統も重要なポイント。父にミスタープロスペクター系種牡馬を持つ馬は2018年以降[3-2-2-17] (3着内率29.2%)とまずまず堅実でした。一方、父がミスタープロスペクター系以外の種牡馬、かつ前走の着順が3着以下だった馬は安定感を欠いています。


M 今年もミスタープロスペクター系種牡馬の産駒や前走好走馬を重視した方が良さそうですね。

伊吹 おっしゃる通り。好枠を引いた実績馬でも、この条件をクリアしていなければ過信禁物と見るべきでしょう。

M ビリーバーの父はミスタープロスペクター系種牡馬のモンテロッソなので、それなりに高く評価して良さそう。一方、父がマツリダゴッホ、かつ前走で4着に敗れているリンゴアメは強調できないということになります。

伊吹 2頭とも重賞で好走したことのある馬ですし、枠順次第では怖い存在。しかもAiエスケープが注目馬に挙げてきたわけですから、押さえておくに越したことはないのかもしれません。ただ、より不安要素の少ない馬がいるのもまた事実。枠順やオッズ次第ですが、今のところ私は別の馬を中心に買い目を組み立てるつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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