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【アイビスSD予想】父の真価を受け継ぐスピードスター

  • 2022年07月30日(土) 18時00分

追い比べで抜け出す戦法も直線1000mに合う


 ここまでの全5勝を1200m以下の短距離戦で記録するスピード型ヴェントヴォーチェ(父タートルボウル)は、デビューして3戦目の3歳春、新潟の直線1000m「はやぶさ賞」を55秒1(上がり32秒7-11秒6)で差し切って2勝目を記録。直線1000m向きの後半の爆発力を早くも示していた。

 5歳の今年、2走前の春雷S(中山芝1200m)をロードカナロアのコースレコードと0秒1差の1分06秒8で圧勝。最後の1ハロンを推定10秒8で伸び、タイセイビジョン以下に3馬身(0秒5)差をつけた。オープンの1200mで3馬身差は価値大。

 2着した同じタートルボウル産駒のタイセイビジョンは4歳夏、CBC賞(小倉芝1200m)を快レコードと0秒3差の1分06秒3で乗り切っていた実力馬。同馬はテイエムスパーダが1分05秒8のJRAレコードで独走した今年のCBC賞(小倉芝1200m)も、1分06秒4(0秒6差)で2着している。このタイセイビジョンを尺度にすると、春雷Sのヴェントヴォーチェのスピード能力は本物と思える。

 父タートルボウルは、先週の中京記念(小倉芝1800m)を逃げ切ったベレヌスが示すような平均ペース型のマイラーを送ることが多いが、その父系はスピード色が濃い。欧州型らしく苦しくなってからもう一回伸びる底力を秘める。日本では決して成功した種牡馬の評価を受けていないが、真価を受け継いでいるのが、ヴェントヴォーチェ、タイセイビジョンだろう。

 ましてヴェントヴォーチェは母方がアメリカ色の濃いスピード血統。それでいながら、強引に飛ばすのではなく、追い比べで抜け出す戦法。直線1000mに合う。

 この重賞は枠順が明暗を分ける。2回目からもう20年連続して馬番2ケタ(枠連だと6、7、8枠)の馬が連対してきた。だが、昨年最内をついた14番人気のバカラクイーンがあと一歩の3着だった。今年あたり、果敢に内を狙う馬が出るかもしれない。

 また今年は、各場ともに高速馬場。カルストンライトオの「53秒7」と互角のタイムが飛び出す可能性もある。ヴェントヴォーチェから、復調示す内枠のオールアットワンス、ロードベイリーフ。穴馬パーティナシティなどを含め手広くいきたい。

 札幌の「クイーンS」は、同型馬は少なく単騎の逃げに持ち込める可能性大のローザノワール(父マンハッタンカフェ)から入る。突っ込んでくる好調フィオリキアリが最大の穴馬。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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