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【鮫島克駿×藤岡佑介】「ウギャーーー!」「スイマセーン!」克駿騎手にインへの意識を植え付けたある騎手とは…/第3回

  • 2022年08月03日(水) 18時01分
“with佑”

▲克駿騎手のレーススタイルに迫る(撮影:桂伸也)


先週までに札幌で既に6勝を挙げ、躍進の勢いは止まらない克駿騎手。前回までで福永騎手の特別指導や平日も毎日競馬を見るという研究熱心な姿勢が現在の活躍に繋がっていることが明らかになりましたが、今回はレース中の意識について迫ります。

克駿騎手といえばメイショウミモザで勝利した今年の阪神牝馬Sのように内から抜けてくるイメージがありますが、本人も「インへの意識はめちゃくちゃ強い」と話します。距離ロスを減らせる一方で前が開かず詰まってしまうリスクのあるイン突き、そんな克駿騎手のレーススタイルを生んだのは“あるジョッキー”の影響なんだそう…。そんなイン突きについて話していると、レス中のやり取りの中で思わず笑ってしまうエピソードが明らかになりました。

(取材・構成=不破由妃子)

一瞬の判断で着順が入れ替わる内と外の駆け引き


──昨年、一気に増えたというGI騎乗ですが、その皮切りとなったのがフェブラリーSのエアスピネル。9番人気馬を2着に持ってきたということもそうですが、競馬の内容的にも強烈なインパクトを残しました。

佑介 内でジッと機をうかがって、馬群のあいだをスルスル抜けてきた。

克駿 スピネルは前の年のプロキオンS(2着)が初ダートだったんですが、そのレースで初めて乗せていただいて。そのときも、レース前の段階から(福永)祐一さんにアドバイスをもらいながらずっと乗っていたんですが、フェブラリーSに乗ることが決まってからも、土日以外は頻繁にコンタクトを取らせてもらっていました。

──なるほど。信頼関係が築かれていたんですね。そのフェブラリーSもそうですが、克駿さんといえば、内から攻めてくるイメージがすごくあって。

克駿 確かに、インへの意識はめちゃくちゃ強いです。

“with佑”

▲10番枠ながら最内を回り2着だった2021年フェブラリーS(撮影:下野雄規)


佑介 2択だったら、絶対に内に行く。徹底してるよな。克駿には迷いがない。

──外枠からでも、いつの間にか内にいるというか。やはり、距離ロスを最低限に抑えるのが狙いですか?

克駿 競馬学校時代にレースを見ていたときに、あるジョッキーがすごくインへの意識が強い競馬をしていたんです。学校生だったので、当然競馬に乗ったことはなかったんですが、デビューしたら僕もこういうスタイルで乗りたいなぁと思って。その難しさも何もわからず、内から抜けてきたらインパクトがあるなぁ、カッコいいなぁと思ったんですよね。

──その“あるジョッキー”とは?

克駿 菱田先輩です。あとは、岩田(康誠)さんの影響も大きいですね。今年のレースでいえば……

佑介 阪急杯やろ?

克駿 そうです。逃げる佑介さん(モントライゼ12着)の内から、岩田さん(ダイアトニック1着)と僕(トゥラヴェスーラ2着)が抜けていったレースで。

佑介 一人目(岩田騎手)は「ウギャーーー!」みたいな叫び声を上げながら抜けてきて、二人目(克駿騎手)は「スイマセーン!」て叫びながら抜けていった(笑)。

克駿 そうでした(笑)。僕は1枠1番だったのでずっとインを狙っていたんですけど、岩田さん(6枠10番)がまさかあそこを狙うとは思っていなくて

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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