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ダート重賞初勝利のモーリス産駒 まさにメジロ牧場の歴史そのもの

  • 2022年08月08日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・8/7 レパードS(GIII・新潟・ダ1800m)

 中団を追走したカフジオクタゴンが直線でタイセイドレフォンとの追い比べをクビ差制しました。モーリス産駒はJRAで6頭目の重賞勝ち馬を出したことになりますが、ダート重賞を勝ったのは本馬が初めてです。種牡馬デビュー以来の勝ち星の内訳は、芝141勝、ダート50勝。

 おおよそ芝3勝、ダート1勝の割合で勝ち星が増え続けているので、ダートを得意とする種牡馬というわけではありません。配合次第でダート向きの仔も出る、といったタイプです。ダート向きの産駒には他にハセドン(青竜S)やハコダテブショウ(現OP)などがいます。

 母メジロマリアンは優秀で、これまでにデビューした4頭の産駒がすべて勝ち上がっています。カフジオクタゴンはレイクヴィラファームの生産馬ですが、その前身であるメジロ牧場で育まれたファミリーに属しています。母の父メジロベイリー、2代母の父メジロマックイーンもメジロ牧場の歴史を彩った名馬で、父モーリスもメジロ牧場のファミリーから誕生しています。まさにメジロ牧場の歴史そのものといった血統です。

・8/7 エルムS(GIII・札幌・ダ1700m)

 中団からしぶとく伸びたフルデプスリーダーがウェルドーンに競り勝ちました。前走のマリーンS(OP)と同じ1、2着です。父ヘニーヒューズは、アメリカからの輸入種牡馬で、中央のダートと地方競馬を合算した全日本ダート種牡馬ランキングで、現在首位を走っています。

 昨年も首位だったので、わが国におけるダート種牡馬界のキングといえるでしょう。その父ヘネシーは、名種牡馬スキャットダディの2代父でもあります。この父系は活力旺盛なのでこの先しばらく発展を続けるでしょう。ヘニーヒューズはアメリカに繋養されていた時代に、アジアエクスプレス、モーニンと2頭のGI勝ち馬を出し、わが国で供用されたあと、ワイドファラオ、アランバローズ、レピアーウィット、セキフウ、当レースで2着だったウェルドーンなど、多くの重賞活躍馬を出しています。

 本馬は3代母がケイティーズファーストなので、エフフォーリア(有馬記念、天皇賞・秋、皐月賞)と同じファミリーの出身です。生産した新冠の村田牧場は、今年に入って阪神大賞典(ディープボンド)、エプソムC(ノースブリッジ)に続いて3頭目の重賞制覇。2020年以降、ソリストサンダー、モズベッロといった重賞勝ち馬を出しています。

 牧場の規模から考えれば驚異的な成績です。牧場を切り盛りし、配合も考えていらっしゃる村田康彰専務は、該博な知識に裏付けられた確かな配合理論をお持ちで、わが国における最高の名人といえるでしょう。

今週の血統注目馬は?


・8/14 八女特別(2勝クラス・小倉・ダ1700m)

 小倉ダ1700mと相性のいい種牡馬はマクフィ。連対率は27.0%です。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した117頭の種牡馬のなかで第3位という優秀な成績です。当レースにはスズカマクフィが登録しています。過去、当コースで3回走って[1-2-0-0]ですからやはり相性抜群。2勝クラスに上がってから3連敗していますが、得意コースに戻る今回はチャンスがありそうです。

 もう1頭、当コースと相性のいいオルフェーヴルを父に持つコンスタンティンも侮れません。

今週の血統Tips


 先々週、テルツェットがクイーンSを勝ちましたが、父ディープインパクトにとって、4月の青葉賞(プラダリア)以来3ヵ月ぶりのJRA重賞制覇でした。3歳世代の活躍がイマイチで、古馬も大物が引退したり、怪我で休んだりするなど、もうひとつ波に乗れない印象です。

 今年の2歳世代は最後の世代でもあり、JRAに登録している産駒はわずか6頭。まだ1頭もデビューしていません。デビューしたとしても、あまりにも数が少ないので、2歳種牡馬ランキングの上位に食い込むといったことはないでしょう。

 現在、中央と地方を総合した種牡馬ランキングでは依然としてトップを維持していますが、収得賞金は約28億9000万円で、2位ロードカナロアの約27億4000万円とわずか1億5000円程度の差しかありません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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