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ケンタッキーオークス展望

  • 2006年05月02日(火) 23時50分
 今週後半、アメリカ・ケンタッキー州ではオークスとダービーの開催が行われる。ダービー(6日・土曜日)の展望は主なプレップレースが終わった段階で行ったので、ここでは5日(金曜日)にチャーチルダウンズで行われる第132回ケンタッキーオークスの展望を行いたい。

 2歳シーズン終了時には、BCジュヴェナイルフィリーズ勝ち馬フォークロアと、G1デルマーデビュータント勝ち馬でBCジュヴェナイルフィリーズは2着だったワイルドフィットの2頭が、抜けた存在と見られていた03年生まれのアメリカ牝馬戦線。実際この2頭は、オークスだけではなくケンタッキーダービーにも登録し、春の成績如何によっては牡馬挑戦も囁かれていたが、フォークロアが今季緒戦のG2サンタイネスSで3着と敗れた後、膝に故障がみつかり戦線離脱。ワイルドフィットも、ラスヴァージネスS・2着、サンタアニタオークス3着と連敗した後、感染症にかかって放牧休養と、いずれも戦いの表舞台からは姿を消してしまった。

 それでは、この春の3歳牝馬戦線がすっかり寂しくなったかというと、さすがアメリカである。この路線は次から次へと新勢力の台頭があって、見ていて飽きない展開となっている。

 ウィナーズサークルに立つことのなかった2歳時の大物2頭に代わって,この春戦線をリードしたのはバランス(父サンダーガルチ)だった。重賞初挑戦となった12月のG1ハリウッドスターレットで、ディプロマットレディーの2着といきなりの好走を見せたバランス。年が明けると、2月のラスヴァージネスS、3月のサンタアニタオークスと、西海岸でG1を連勝し、一気に戦線の最前線へと躍り出た。ところが前走、本番への最終プレップとして4月8日にキーンランドで行われたG1アッシュランドSに出走すると、勝ち馬ブッシュファイアから10馬身以上遅れる3着に敗退。原因は、西海岸に比べると深いキーンランドのダートに戸惑ったためと言われているが、初のアウェイ戦が完敗に終わったことで、期待と不安の両方を抱えながら本番を迎えることになった。

 そのアッシュランドSで、重賞初制覇を飾ったブッシュファイア(父ルイカトローズ)。2月にガルフストリームパークのG2ダヴォナデイルSで重賞初挑戦した時には、道悪に殺され全く競馬にならず最下位に沈んだが、アッシュランドSでは2着ウェイトアホワイルに6馬身以上の差をつける快勝。2歳秋にチャーチルダウンズのメイドン(8.5F)を勝ち上がっているという「コース経験」も買われて、直前へきて急激に評価を上昇させている。

 今週後半ルイヴィル地方の天候が崩れた場合、台頭するのはアッシュランドSの2着馬ウェイトアホワイル(父マリアズモン)だろう。アッシュランドSや、その前走のG2ボニーミスSを見ると、乾いた馬場ではひと息足りないが、泥んこ馬場で行われたガルフストリームパークのG2ダヴォナデイルSで演じた14馬身差勝ちは、見事のひと言だった。

 暮れのG1ハリウッドスターレットS勝ち馬ディプロマットレディー(父フォレストリー)は、今季ラスヴァーネスS・5着、サンタアニタオークス4着と敗れた後、距離を縮めた前走4月13日のG2ボウモントS(キーンランド、7F)を快勝して4ヶ月振りの勝ち星を挙げた。8.5Fのハリウッドスターレットを勝ってはいるものの、本質はスピードタイプで、チャーチルダウンズの9F戦は本領発揮の舞台ではなさそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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