活躍した2頭に期待が高まる
凱旋門賞当日(10月2日)にパリロンシャン競馬場で行われた、2歳馬のG1・2競走を回顧したい。
オープニングカードとして施行されたのが、2歳牡馬と牝馬によるG1ジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)だ。
1853年に、グランクリテリウムの名称で創設された、フランスにおける2歳牡馬チャンピオン決定戦的位置付けにある一戦である。近年では、2019年の勝ち馬ヴィクタールドラムが、翌年春のG1プールデッセデプーラン=仏2000ギニーに優勝。2020年の勝ち馬シリウェイは、翌年秋にアスコットのG1チャンピオンS(芝9F212y)を制している。
前走G1ミドルパークS(芝6F)2着のアイルランド調教馬ジアンタークティック(牡2、父ダークエンジェル)が、馬場悪化を理由に出走を取り消し、7頭立てで争われた。
前走、アイルランドにおける2歳牡馬チャンピオン決定戦のG1ナショナルS(芝7F)が3着だった、アイルランド調教馬シャータッシュ(牡2、父インヴィンシブルスピリット)が、オッズ1.9倍の1番人気に。前走パリロンシャンのG3ラロシェット賞(芝1400m)を制しての参戦だった、牝馬のティグラワ(牝2、父アウトストリップ)が、オッズ5倍の2番人気に推された。
前走G3アレンベルク賞(芝1000m)2着のヴィシャスハリー(牡2、父ハリーエンジェル)が逃げ、シャータッシュは5番手、出遅れたティグラワは最後方を追走。
前走G3ラロシェット賞は3着だったゲームストップ(牡2、父ロペドヴェガ、13倍の4番人気)が、道中3番手追走から、直線残り250mで先頭へ。ゴール間際でこれを捉えたのが、道中は4番手にいた最低人気(18倍)のベルベク(牡2、父ショーケイシング)で、同馬がゲームストップをクビ差交わして優勝。1番人気のシャータッシュは4着、2番人気のティグラワは6着に敗れた。
3代母が、G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)など3つのG1を制したバンクスヒルという血統背景を持つのがベルベクだ。アンドレ・ファーブル厩舎から、今年4月にデビュー。サンクルーの条件戦(芝1200m)を制し、デビュー2戦目で初勝利をあげると、続くシャンティイのG3デュボワ賞(芝1200m)を制し重賞初制覇。
だが、続くシャンティイのG2ロベールパパン賞(芝1200m)は4着、前走ドーヴィルのG3カブール賞(芝1200m)は5着と敗れていたため、ここは人気を落としての参戦だった。今後は、10月22日にドンカスターで行われるG1フューチュリティトロフィー(芝8F)に、追加登録を行った上で参戦するプランが浮上している。
続いて、凱旋門賞デーの第2競走として施行されたのが、2歳牝馬によるG1マルセルブーサック賞(芝1600m)だ。
創設は1969年で、近年では2014年の勝ち馬ファウンドが、3歳時にG1BCターフ(芝12F)、4歳時にG1凱旋門賞(芝2400m)を制する活躍を見せている。
3頭が追加登録を行って出走し、12頭立てとなった中、前走シャンティイの条件戦(芝1600m)を3.1/2馬身差で制し、デビュー2連勝を飾っての参戦だったケリーナ(牝2、父フランケル)が、オッズ2.8倍の1番人気に推された。
前走ドーヴィルの条件戦(AW1500m)を制し、デビュー2戦目で初勝利をあげての参戦だったシャルロミー(牝2、父シャラー、11倍の6番人気)が逃げ、1番人気のケリーナは4番手を追走。
道中3番手内ラチ沿いを追走した2番人気(6.0倍)のブルーローズセン(牝2、父チャーチル)が、直線に向くとオープンストレッチを突いて、残り300mで先頭へ。前走G3パークS(芝7F)2着のガンテオレイン(牝2、父サクソンウォリアー、66倍の12番人気)が、6番手追走から直線で末脚を伸ばしたが、これに5馬身差をつけてブルーローズセンが快勝。逃げたシャルロミーは8着。直線に向くと失速したケリーナは、最下位の12着に敗れた。
G3パークイクスプレスS(芝8F)など2重賞を制したクイーンブロッサムの初仔となるのがブルーローズセンだ。クリストファー・ヘッド厩舎から今年5月にデビュー。サンクルーの未勝利戦(芝1400m)を制しデビュー2戦目で初勝利をあげると、続くクレールフォンテーヌの条件戦(芝1600m)を制し2勝目をマーク。ドーヴィルのLRクリテリウム・ド・フォンズ・ヨーロピアン・ド・エレヴァージュ(芝1600m)は2着に惜敗したが、前走パリロンシャンのG3オマール賞(芝1600m)を制し、重賞初制覇を果しての参戦だった。
ここが今季最終戦になるか、もう1戦するかは、馬の状態を見ながら、今後関係者が協議して決定する模様だ。
陣営はブルーローズセンが、少なくとも2000mはもつ馬と見ており、来季はG1ディアーヌ賞=仏オークス(芝2100m)が大目標になる予定だ。
牡馬のベルベクも、牝馬のブルーローズセンも、来季へ向けてぜひ名前を憶えておきたい馬たちである。