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【菊花賞予想】好走馬の傾向にも合致! AIの注目馬は素直に信頼して良さそう

  • 2022年10月17日(月) 18時00分

菊花賞に出走予定のガイアフォース(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)


超人気薄の馬が馬券に絡む可能性は低いと見ておきたい




AIマスターM(以下、M) 先週は秋華賞が行われ、単勝オッズ5.7倍(3番人気)のスタニングローズが優勝を果たしました。

伊吹 陣営や鞍上の坂井瑠星騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。レース前には「どれくらい積極的に行くつもりのだろう」と思っていたのですが、ジョッキー自身が「後ろになり過ぎないよう運んだ」とコメントしていた通り、道中は行きたい馬を先に行かせて5番手前後のポジションを追走。残り200m地点のあたりでアートハウス(5着)らを捕らえて抜け出し、そのままナミュール(2着)やスターズオンアース(3着)の追撃を振り切っています。正攻法を完璧にやり切ったうえでの勝利という印象ですが、それをGI未勝利の人馬が成し遂げたというのはとんでもないこと。恐れ入りましたとしか言いようがありません。

M 2着のナミュールはゴール直前までしっかりと差を詰めていましたし、3着のスターズオンアースも苦しいポジションから馬群を縫うように伸びて急追。この2頭も強い競馬はしているんですよね。

伊吹 ナミュール=スターズオンアースからの3連複2頭軸ながしで当てた分、多少の贔屓目はあるかもしれませんが、それでもなお感心してしまうくらいのパフォーマンスを見せてくれました。特にスターズオンアースは、3〜4コーナーの時点で「さすがにここから差し切ったら化け物だよ……」と絶望してしまうような位置にいましたから、着順以上に高く評価できる内容だった思います。だからこそ、横綱相撲でこの2頭を退けたスタニングローズの走りは余計に印象深いです。

M 上位3頭は今後のビッグレースでもそれなりに注目を集めるのではないでしょうか。

伊吹 4週後のエリザベス女王杯はもちろん、牡馬相手のGIでも、条件が揃えば十分にチャンスはあると思います。ただ、ベストな条件はそれぞれ異なっていそうなイメージもありますから、各馬の狙い時をしっかり見極めたいところ。今のうちに3歳牝馬三冠の各レースを復習して、ある程度の方針を固めておいた方が良いかもしれません。

M 今週の日曜阪神メインレースは、3歳牡馬クラシック戦線の締め括りとなる菊花賞。
昨年は単勝オッズ8.0倍(4番人気)のタイトルホルダーが優勝を果たしました。特別登録を行った馬のうち、JRAのGIで3着以内となったことがあるのはアスクビクターモア・ジャスティンパレスの2頭だけ。波乱の決着を期待している方も少なくないはずです。

伊吹 ただ、近年の菊花賞はどちらかと言うと堅く収まりがち。2012年以降の計10回中5回は3連単の配当が4万円未満ですし、2011年は3連単2190円の超低額配当決着でした。過去10年の単勝人気順別成績を見ても、極端に人気のない馬はあまり上位に食い込めていません。


M 単勝7番人気以下で馬券に絡んだ馬は8頭。決して少なくはないように見えますが……。

伊吹 そのうち3頭は単勝7番人気だったんです。集計区分を変えてみると、単勝2〜7番人気の馬は2012年以降[5-7-6-42](3着内率30.0%)、単勝8〜10番人気の馬は2012年以降[0-3-1-26](3着内率13.3%)、単勝11番人気以下の馬は2012年以降[0-0-1-79](3着内率1.3%)でした。面白そうな超人気薄を無理に嫌う必要はありませんが、まずは上位人気グループの馬に注目するべきでしょう。

M そんな菊花賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ガイアフォースです。

伊吹 思ったよりも堅めのところを挙げてきましたね。Aiエスケープも「妙味ある伏兵が見当たらない」と見ているのでしょうか。

M ガイアフォースはまだキャリア5戦。2走前に1勝クラスを勝ち上がったばかりですが、前哨戦のセントライト記念で重賞初制覇を果たしています。皐月賞や日本ダービーで上位に食い込んだ馬が少ないこともあり、1番人気となる可能性すらありそうです。

伊吹 いわゆる“上がり馬”ですが、実績面で見劣りするわけではありませんし、単勝人気順別成績の傾向を考えても相応に扱った方が良さそう。Aiエスケープが推していることを踏まえつつ、私はレースの傾向からこの馬の信頼度を測っていきたいと思います。

M 菊花賞トライアルのセントライト記念を勝ち切っているわけですが、この点はどれくらい高く評価できるものなのでしょうか。

伊吹 変に疑ってかかる必要はありません。そもそも菊花賞は前走好走馬が強いレース。過去10年の3着以内馬30頭中26頭は、前走の着順が3着以内でした。


M なるほど。先週の秋華賞もそうでしたが、大敗直後の馬がほとんど上位に食い込めておらず、このあたりが堅く収まりがちという傾向にも繋がっていそうです。

伊吹 なお、前走の着順が4着以下、かつ皐月賞において4着以内となった経験がない馬は2012年以降[0-0-1-71](3着内率1.4%)。馬券に絡んだ該当馬は2012年3着のユウキソルジャーだけですし、今年も直近のパフォーマンスを素直に評価するべきだと思います。

M ガイアフォースはGI未出走ですが、やはりこのあたりは不安要素と見るべきでしょうか。

伊吹 いえ、別にそんなことはありませんよ。過去10年の菊花賞で好走を果たした馬の大半は、皐月賞以降のGIやGIIで上位に食い込んだことがある馬でした。


M たとえ春のビッグレースを使っていなくても、セントライト記念や神戸新聞杯で優先出走権を獲得した馬なら、実績面を心配する必要はなさそうですね。

伊吹 おっしゃる通り。ちなみに“同年4月以降、かつJRA、かつGI・GIIのレース”において“着順が4着以内、かつ4コーナー通過順が10番手以内”となった経験がなかったにもかかわらず3着以内となった5頭のうち3頭は、“同年8月以降、かつJRA、かつ2200mのレース”において1着となった経験がある馬でした。このあたりも興味深い傾向なので、該当馬はひと通りチェックしておきましょう。

M 他に何か注目しておくべきポイントはありますか?

伊吹 強いて挙げるならば馬格でしょうか。2017年以降の過去5年に限ると、前走の馬体重が460kg未満だった馬は馬券に絡んでいません。


M 極端に小柄な馬は過信禁物と見ておいた方が良さそうですね。

伊吹 神戸新聞杯を制したジャスティンパレスなど、今年の該当馬もそれぞれやや評価を下げた方が良いと思います。

M ガイアフォースは前走の馬体重が498kgでした。

伊吹 レースの傾向を見る限りだと、不安要素は皆無と言って良いのではないでしょうか。もともと私は重いシルシを打つつもりでしたし、Aiエスケープが有力視しているのであれば心強い限り。先週の秋華賞と同じく、可能な限り買い目を削る方向で最終的な見解をまとめようと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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