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サンデーもキンカメも持たない血統で中長距離重賞を勝利した稀なケース

  • 2022年11月07日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・11/6 アルゼンチン共和国杯(GII・東京・芝2500m)
 3番手を追走したブレークアップが残り300mで先頭に立ち、初の重賞タイトルを獲得しました。これまでノヴェリスト産駒で重賞を勝ったのはラストドラフト(京成杯)のみで、何度も重賞に挑戦しながら結局勝てず、という馬も目に付くのですが、ブレークアップは重賞二度目の挑戦で結果を出しました。

 父ノヴェリストは近年におけるドイツ最強馬の一頭。英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスをレコード勝ちするなど4つの欧州G1を制覇しました。産駒は総じてピッチ走法で、フットワークは少し硬め。優れた決め手を持つタイプとはいえません。

 本馬は追走時はピッチ走法なのですが、追い出されると首を下げ、フットワークが伸びます。国内繋養種牡馬を父に持ち、サンデーサイレンスもキングカメハメハも入ってない血統構成で中長距離重賞を勝つケースは稀です。

 生産牧場の谷川牧場は、2歳の有力馬ファントムシーフの故郷でもあります。

 同馬も国内繋養種牡馬(ハービンジャー)を父に持ち、サンデーサイレンスもキングカメハメハも持たない血統構成です。

・11/5 京王杯2歳S(GII・東京・芝1400m)

 逃げ馬の後ろでレースを進めたオオバンブルマイが直線で外に持ち出すと、ゴール前で逃げるフロムダスクをとらえました。デビュー2連勝で重賞制覇です。

 ディスクリートキャット産駒は、海外繋養時代にマル外として日本に入ったエアハリファが根岸Sを勝っています。

 ダートに向くタイプの種牡馬ですが、本馬は母の父がディープインパクトなので、芝もこなすタイプに出ています。同じ「ディスクリートキャット×ディープインパクト」の組み合わせからは、重賞で入着経験のあるワールドバローズ(京王杯SC4着、アーリントンC5着)が出ています。

 母ピンクガーベラは、ビアンフェ、ブランボヌール、エントシャイデンのきょうだいにあたる良血。

 牡馬にしては馬体重が422kgと小さいのですが、名門アジアンミーティアのファミリーですから素質は高いでしょう。

今週の血統注目馬は?


・11/13 福島2歳S(2歳オープン・福島・芝1200m)
 福島芝1200mと相性のいい種牡馬はビッグアーサー。連対率26.9%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した118頭の種牡馬のなかで第2位。

 当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワンです。

 当レースにはイコサンとビッグシーザーの2頭が登録しています。前者はクローバー賞で2着、後者は中京芝1200mでレコード勝ちした実績があります。いずれもいいところがありそうです。

今週の血統Tips


 11月4、5日に米ケンタッキー州キーンランド競馬場で第39回ブリーダーズCが行われました。アメリカ競馬の祭典です。

 話題はクラシックを圧勝して通算6戦全勝としたフライトラインがすべて持って行った感はありますが、日本関連のニュースとしては、ジュヴェナイルターフをヴィクトリアロードが勝ったことが大きいですね。

 アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属する2歳馬で、サクソンウォリアーの息子です。いうまでもなくサクソンウォリアーはディープインパクト産駒の英2000ギニー馬。今年の2歳馬が初年度産駒となります。

 国際的な大レースを勝つと大きな宣伝になりますし、調教師は「来年の仏ダービーを獲れる馬だと思う」とコメントしています。こうした大物をコンスタントに出せるようですと海外におけるディープインパクト系も心強いですね。

 ちなみにヴィクトリアロードは、オーギュストロダンと血統構成がよく似ています。オーギュストロダンはディープインパクトのラストクロップで、先日、英G1フューチュリティトロフィーSを勝ち、現在ブックメーカー各社が英ダービーの前売り1番人気としている大物です。2頭は、近い世代にディープインパクト、ガリレオ、カサンドラゴーが共通しています。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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