▲菅原騎手と清山助手の対談後編(撮影:下野雄規)
今夏、久しぶりの2000mながら新潟記念を快勝したカラテ。この秋はさらに距離を延ばし、2400mのジャパンカップへと挑みます。これまでは1600mで活躍した馬。それでも、2400mへの挑戦を決めた背景には、走り方と角居勝彦元調教師からの教えがあった、といいます。
元騎手で現在カラテを担当する清山宏明調教助手と主戦の菅原明良騎手による初対談、後編ではジャパンCに向けカラテの状態や、清山助手から菅原騎手へのエールも。
(取材・構成=大恵陽子)
2400mへの挑戦…競走馬の可能性を潰してしまわないように
──カラテは一時期ツメの不安もありましたが、今はどうですか?
清山助手 大型馬でツメの不安があって苦労されていたという話は聞いていました。転厩して装蹄師さんも代わって、「処置も少し変えるね」ということで、今は不安がない状態でずっとここまでこられています。それは装蹄師さんの努力の賜物だと思います。
──もう一つビックリしたのが、カラテはマイルで強いイメージがあったのが、2000mの新潟記念を勝ったことです。レース選択や調教方針は厩舎によって十人十色ですが、辻野厩舎ではどういう風に育てていこうと?
清山助手「まずは跨ってみてから考えましょう」と話していて、初めて跨ると「いや、マイルで成績は出ているんだけども、これだけの大きな体をもっと生かすには、もう少し距離があってもいいんじゃない」と感じて、正直に調教師にそう伝えました。「もし、わがままが通用するのであれば、レースの選択肢として2000mぐらいのレースを使わせてもらうことがどこかでできればいいですね」とも話しました。
──距離があってもいいと感じたポイントはどこだったんですか?
清山助手 体の使い方、特に走り方ですね。短距離が得意な馬は、大型馬であっても体の使い方がピッチなんですよね。カラテはどちらかというとダイナミックに使います。そのわりに上手に収縮ができて、高いポテンシャルを生かせるように乗ってきた明良くんのおかげでマイルもこなせていたと思うんですけど、もう少し距離があって、ゆとりを持って進められれば、もっと良さが出るじゃないかな、と思いました。
▲「わがままが通用するのであれば2000mを使いたい」と進言(撮影:下野雄規)
菅原騎手 僕は1600mと1800mでしか乗ったことなかったですし、1600mで初めて乗った時に勝ったのでマイルのイメージがすごく強かったです。新潟記念の2000mは正直なところ、持たないんじゃないかなって思っていました。馬自身の走りというよりかは、集中力が続かなくて走らなくなっているんじゃないか、と僕は思っていたので、ちょっと半信半疑なところはありました。
ただ、馬の状態がものすごく良かったので、ああいう強い勝ち方をしてくれたのかなと思います。カラテのことをすごく考えて競馬に持ってきてくださったっていうのが本当にヒシヒシと伝わってきて、毎回、カラテの状態は少しずつ違うんですけど、辻野先生や清山さんが細かく伝えてくださるので、競馬も安心して騎乗させていただいています。
──次走はジャパンカップです。距離はさらに延びて2400mになりますが、可能性はどう感じていますか?
清山助手 僕がレースに乗っていた頃は、適性というのはレースに使いながら結果を見て判断していました。ただ、そこでいい結果が出ると「ここだね」と早い段階で決定づけてしまうこともあって、それが競走馬の可能性を一番潰してしまっていたと思います