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【朝日杯FS AI予想】あとは枠順次第!? AIの指名した伏兵はレースの傾向からも魅力十分

  • 2022年12月12日(月) 18時00分

単勝オッズ2.6倍(1番人気)のリバティアイランドが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

近年の朝日杯FSはやや堅めの決着が続いている


AIマスターM(以下、M) 先週は阪神JFが行われ、単勝オッズ2.6倍(1番人気)のリバティアイランドが優勝を果たしました。

伊吹 川田将雅騎手のエスコートや陣営の尽力も当然大きかったと思いますが、最大の勝因は能力の高さだったと言って良いでしょう。まずまずの好スタートを決めたうえで、道中は8番手を追走。先行したい馬は先に行かせ、その直後につけようというプランだったのではないかと思います。

 4コーナーで先行する各馬の外に持ち出すと、ゴール前の直線で瞬く間に先行勢を捕らえ、残り200mの地点を過ぎたあたりでは早くも先頭に。そのまま内を通って伸びたシンリョクカ(2着)、後方から追い込んだドゥアイズ(3着)に0.4秒もの差をつけて押し切ったわけですから、地力に大きな差があったと判断せざるを得ません。注目を集めたライバルたちがもう少しスムーズにレースを進めていたとしても、負かすのは相当に難しかったはずです。

M リバティアイランドはデビュー3戦目でGI制覇。前走のアルテミスSでは2着に敗れてしまいましたが、“本番”でしっかりと変わってきましたね。

伊吹 アルテミスSのリバティアイランドは4コーナーを6番手で通過したものの、ゴール前の直線に入ってからしばらくの間は進路が開かず、我慢を強いられる展開に。すぐ後ろのポジションから大外へ持ち出したラヴェルが先に先行勢を捕らえ、そのまま先着を果たしています。

 ただ、最後は逆にリバティアイランドが差を詰めていましたし、2着を確保したことで収得賞金の上積みには成功。先々に繋がる一戦だったうえ、今回すぐに大きな成果をあげたわけですから、お見事と言うほかありません。

M 前回の当コラムでAiエスケープが高く評価していたことを考えても、順当勝ちと見て良さそうですね。来春の3歳牝馬クラシック戦線では断然の注目を集めることになるのではないでしょうか。

伊吹 これから出世してくる馬はたくさんいるはずですし、今回負かした馬の中にも向こう数か月でグッと良化してくる馬がいそう。同世代との勝負付けが済んだとまでは言えないと思います。ただ、この馬自身に歴史的名馬となれるくらいのポテンシャルを感じるのもまた事実。桜花賞やオークスはもちろん、その先が楽しみで仕方ありません。

M 今週の日曜阪神メインレースは、2歳牡馬チャンピオン決定戦として長く親しまれてきた朝日杯FS。
昨年は単勝オッズ7.8倍(3番人気)のドウデュースが優勝を果たしました。なお、その2021年は3連単の配当が1万4840円どまり。基本的には堅く収まりがちな印象のあるレースです。

伊吹 2020年に単勝オッズ17.5倍(7番人気)のグレナディアガーズが優勝を果たすなど、人気薄で上位に食い込んだ馬も決して少なくないのですが、ここ5年はいずれも3連単の配当が10万円を下回っています。過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝1番人気馬は3着内率が8割に達していました。


M 単勝2〜3番人気の馬も3着内率は45.0%。悪くない水準と言って良いのではないでしょうか。

伊吹 一方、単勝4〜7番人気の馬が2012年以降[4-2-2-32](3着内率20.0%)だったのに対し、単勝8番人気以下の馬は2012年以降[0-2-3-87](3着内率5.4%)。大きく荒れる可能性はそれほど高くないと見ておいた方が良いかもしれません。

M そんな朝日杯FSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、バグラダスです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。それなりに実績のある馬ですが、積極的に狙おうと考えている方は多くないはず。

M バグラダスはデビュー3戦目の前走で2勝目をマーク。2走前の新潟2歳Sでも勝ったキタウイングから0.3秒差の4着に健闘しています。もっとも、まだ1600m以上のレースでは馬券に絡んだことがないわけですし、今回は同等以上の実績を持った馬が集まるので、超人気薄と言って良いくらいのオッズが付くかもしれません。

伊吹 ダート向きというイメージが強いマジェスティックウォリアーの産駒である点も人気に影響しそうですね。Aiエスケープが高く評価しているという事実を踏まえたうえで、この馬のプロフィールを好走馬の傾向と見比べていきましょう。

M 伊吹さんから見て、強調材料と見做すことができるポイントは何かありますか?

伊吹 戦績自体には大きな不安要素がありません。阪神芝1600m外で施行されるようになった2014年以降の3着以内馬24頭中20頭は“同年10月以降、かつJRA、かつ芝のレース”において“着順が1着、かつ上がり3ハロンタイム順位が2位以内”となった経験のある馬でした。


M なるほど。近走成績や脚質を素直に評価したいところですね。

伊吹 ちなみに、この経験がなかった馬は2018年以降の過去4年に限ると[0-0-0-39](3着内率0.0%)。はっきりと明暗が分かれています。

M バグラダスの前走は11月19日に施行された1勝クラスのレースで、上がり3ハロンタイム順位は2位。この傾向を見る限りだと侮れませんね。

伊吹 ただし、その2018年以降はノーザンファーム生産馬の活躍が目立つようになってきました。


M 現在の日本競馬界を代表するトップブリーダーとはいえ、ここまで寡占が進んでいるとは……。

伊吹 ちなみに、生産者がノーザンファーム以外、かつ“京都・阪神、かつ1400m超のレース”において3着以内となった経験がない馬は2018年以降[0-0-0-32] (3着内率0.0%)。あえてノーザンファーム以外の生産馬に注目するならば、阪神芝1600m外や阪神芝1800m外のレースに実績がある馬を狙うべきだと思います。

M バグラダスは村田牧場の生産馬で、阪神のレースを使うのはこれが初めて。残念ながらこちらの条件はクリアできていません。

伊吹 悩ましいところですね。私自身も、超人気薄ならシルシを回したいと思っていたのですが、連軸には別の馬を指名するつもりでした。もっとも、枠順次第では評価を引き上げる可能性があります。


M これはわかりやすい。ここまでに挙げた2条件をクリアしていても、外寄りの枠に入ってしまった馬は評価を下げるべきでしょうね。

伊吹 先週の阪神JFも馬場の内めを通って伸びてきた馬が波乱を演出したわけですし、例年以上にこのファクターを重視した方が良いかもしれません。

M 内寄りの枠を引くことができれば、バグラダスにもチャンスはありそうです。

伊吹 Aiエスケープも高く評価しているわけですし、現時点で中心視している馬がことごとく外枠に入り、なおかつバグラダスが好枠を確保できた場合は、相応のシルシを打ちたいと思います。いずれにせよ、枠順やオッズの発表を待ったうえで柔軟に構えましょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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