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寒波も勢力を弱めたクリスマス明けの「ボクシング・デイ」

  • 2022年12月21日(水) 12時00分

合計11つもの競馬開催が組まれている12月26日


 12月の第2週に入る頃から、ヨーロッパを寒波が襲来。低温による路面凍結や積雪のため、イギリスやアイルランドでは競馬開催の中止が相次いでいる。そうこうするうち今週後半には、もともと開催が組まれていないクリスマス休暇(23日-25日)に突入するから、イギリスやアイルランドの競馬ファンは、さぞかしストレスを溜め込んでいるはずだ。

 これが一気に発散されることになるのが、ボクシングデーという国民の祝日にあたる12月26日で、この日はイギリスで8箇所、アイルランドで3箇所と、決して国土の広いとは言えない2か国で合計11つもの競馬開催が組まれている。今週に入って寒波もさすがに勢力を弱めており、26日の開催は通常通り行われることになるはずで、競馬ファンは今からこの日を待ち焦がれている。

 見逃せないカードが目白押しの中、最大の見どころとなるのが、ケンプトン競馬場で開催される、スティープルチェイス3マイル路線の前半戦の総決算となるG1キングジョージ6世チェイス(芝24F)である。

 ブックメーカー各社による前売りによると、ブレイヴマンズゲイム(セン7、父ブレイヴマンソニエン)とロムプレッセ(セン7、父ダイアモンドボーイ)の2頭が、3倍前後のオッズで1番人気を争っている。

 昨年のケンプトン・クリスマス開催では、G1コートスターノーヴィスチェイス(芝24F)に出走し、ここを7.1/2馬身差で快勝したのがブレイヴマンズゲイムだ。今季初戦となった、10月29日にウェザビーで行われた、G2チャーリーホールチェイス(芝24F45y)を快勝しての参戦となっている。

 一方、昨シーズンのチェルトナムフェスティヴァルでG1ブロードウェイノーヴィスチェイス(芝24F80y)に出走し、ここを3.1/2馬身差で制しているのがロムプレッセだ。同馬も、今季初戦となった11月26日にニューキャッスルで行われたG3リハーサルハンディキャップチェイス(芝23F91y)を白星で通過しての参戦となっている。

 4.5-5.0倍と、差のないオッズで3番手評価となっているのがヒットマン(セン6、父ファルコ)だ。昨季までは20F以下の路線を進み、G1ティングルクリークチェイス(芝15F119y)2着、G1メリングチェイス(芝19F200y)2着などの実績を残した同馬。初めて20Fを越える距離に挑んだ、11月19日にヘイドックで行われた条件戦(芝21F127y)を11馬身差で快勝しての参戦となっている。

 昨季のG1パディーパワーリワーズクラブチェイス(芝17F)勝ち馬で、今季初戦のG1ラドブロークスチャンピオンチェイス(芝24F)を勝っての参戦となるエンヴォイアレン(セン8、父ムータティール)が、7-9倍のオッズで4番人気で、ここまでがひと桁台のオッズとなっている。

 26日のケンプトンではキングジョージ6世チェイス以外に、G1クリスマスハードル(芝16F)が組まれており、ここにG1チャンピオンハードルの大本命馬コンスティテューションヒル(セン5)が出走予定。さらに、17日のアスコット開催が中止になったために流れてしまったG1ロングウォークハードル(芝24F121y)が、ここに移設して施行されることになったから、とんでもなく豪華なカードとなっている。

 翌27日には、アイルランドのレパーズタウン競馬場でG1パディーズリワードクラブチェイス(芝17F)、チェプストウ競馬場でG3ウェルシュグランドナショナル(芝30F130y)が組まれている。

 さらに28日には、同じくレパーズタウンで、G1サヴィルズチェイス(芝24F)とG1愛クリスマスハードル(芝24F)が開催予定。

 そして29日のレパーズタウン開催には、G1マセソンハードル(芝16F)が組まれている。

 競馬ファンにとってまさしくゴールデンウィークとなる26日から29日までの間に組まれた、ハードル、スティープルチェイスそれぞれの、2マイル路線と3マイル路線における前半戦のハイライトとなるレースに、日本の皆様もぜひご注目いただきたい。

 なお、当コラムの2022年における掲載は、本稿をもって最後となります。今年も1年間、ご愛読をいただき、誠にありがとうございました。新年1回目の掲載は1月11日の予定です。皆様に楽しんでいただける話題をご提供できるよう、さらに精進する所存ですので、来年の当欄もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 皆様、よいお年をお迎えください。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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