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【三浦皇成騎手】「1頭1頭と日々向き合う」変わらぬ姿勢で挑むGI ガストリックでオーナーへの恩返しを

  • 2022年12月25日(日) 18時03分
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▲ガストリックとホープフルSに挑む三浦皇成騎手(撮影:下野雄規)


今年の東スポ杯2歳Sを制し、年内最後のGIホープフルSへ挑むガストリックと三浦皇成騎手。初コンビとなった前走の東スポ杯2歳Sでは上位人気馬たちを押さえ込み、一気に世代の主役候補へ名乗りを上げました。

オーナーの前田幸治氏にはデビュー当時からお世話になっているとのことで、ガストリックの騎乗依頼を受けた際も「この馬でGIを目指そう」と言っていただいたとのこと。そんなオーナーへの恩返しという気持ちはもちろん、自身としてもデビュー15年目を良い結果で締めくくるべく、GI舞台への意気込みを語ります。

(取材・構成=佐々木祥恵)

与えられた環境で1番良い仕事ができるように


──ガストリックがデビュー勝ちを収めた新馬戦では別の馬(キャラメルシフォン・4着)に騎乗されていましたが、ガストリックについて何か印象に残ったことはありますか?

三浦 僕はハナに行っていたのですけど、比較的スローな流れで前残りの展開だと思っていました。それが4コーナーを回ってきたらあっさり抜き去られたので、ものすごい脚だなと思って見ていましたし、レース後にガストリックのポジションを確認したら最後方から大外を回す競馬でしたので、これは能力が違う馬だと感じました。

──能力が違うと感じたそのガストリックに東スポ杯2歳Sで騎乗しました。騎乗が決まった時の気持ちを教えてください。

三浦 率直に依頼をいただいた時は嬉しかったです。まだ跨ったことがなかったので、追い切りに乗るのが楽しみだというのが1番でした。

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▲同じレースに騎乗し、能力の違いを感じた(撮影:下野雄規)


──依頼を受けた経緯は?

三浦「この馬で大きいところ、GIを目指そう」と仰っていただいて東スポ杯の依頼をいただきました。前田オーナーには、以前から天皇賞(春)のクリンチャーをはじめ数々の場面でチャンスをいただいていて、感謝しかないです。さらにGIという大きなチャンスをいただきましたので、結果を出して恩返しをしたいと思っています。

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▲今年の天皇賞(秋)で引退したカデナにも騎乗した(ユーザー提供:mailaさん)


──では初騎乗となった東スポ杯2歳Sを振り返っていただきたいのですが、スタートは今ひとつでしたね。


三浦 そうですね。初戦も1、2馬身出遅れていますし、前回は厩舎もしっかりゲートを出られるようにと練習もしてくれていました。僕もゲート練習に行ったのですが、まだ体の緩さもあって(本番でも)他の馬よりもスタートの反応が遅かったです。

──それでも道中は後方集団でリズム良く走っていたように見えました。

三浦 かなり折り合いもついていました。追い切りでもそうですけどそのあたりは心配のない馬ですね。ゲートを出てペース次第ではポジションを取りに行こうと考えていましたが、思った以上にペースが流れて馬群が縦長になりました。初戦はスローの殿からの競馬でしたが、東スポ杯は初戦とは全く違う展開になりました。1000m通過のラップも全体時計も初戦とは違いましたから、馬のリズムを重視していこうと考えを切り替えて乗っていました。

──直線では人気馬との激しい追い比べになりましたけど、最後まで抜かせませんでしたね。

三浦 タフなレースだったので最後は厳しい追い比べになりましたが、道中は経済コースを通れましたし、それが最後の着差にも繋がったように思います。並ばれてから抜かせないあたり、勝負根性はありますね。

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▲並ばれてから抜かせない、勝負根性が光った(撮影:下野雄規)


──これまでの東京コースから、今回は4回コーナーを回る中山に替わりますね?

三浦 過去2戦は東京でしたので、追い切りも左回りの追い切りが主流でした。今回は中山なので右回りで2週連続追い切ったのですが、だいぶ右回りに馴染んできたように感じていますが、あくまで追い切りでの右回りですし、体に緩さを残している馬なので、実戦でそれがどう影響するのか、未知数な部分はありますね。ただ、中山での競馬に向けてできることをやっていますし、追い切りに乗った感じでは心配はないですね。距離に関しては1ハロン延長は間違いなくプラスだと思います。

──初めて跨った東スポ杯2歳S前の追い切りから現在まで、変わった点はありますか?

三浦 初めて跨った時から能力が高く、すごいポテンシャルを秘めている馬だと思っていました。ただ2歳のこの時期で若さもあって、体も成長途上で緩さもありますし、まだこれからだという感触があったのですけど、先週(12/14)の追い切りに跨った時に前走以上に体に芯が入ってきたと感じました。この馬なりに東スポ杯を使って上積みがあったり、気持ちもピリッとしてきましたから、良い感じに成長してきていると思います。

──この馬の魅力を教えてください。

三浦 背中の柔軟さは素晴らしいものがあります。精神面では普段はおっとりしていて、追い切りでは気が入ります。そのようなオンとオフの切り替えは競馬に行っても良いものがありますね。

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▲普段はおっとりしているが、オンとオフの切り替えがはっきりしている(撮影:下野雄規)


──現在デビュー15年目、12月19日に33歳のお誕生日を迎えたばかりでもありますが、今後の騎手としての目標を教えてください。

三浦 今は1頭1頭としっかり向き合って良い仕事をしたいです。そうしていけば結果も自ずとついてくると思いますし、与えられた自分の環境、舞台の中で1番良い仕事ができるように日々馬と向き合っています。

──では、最後にガストリックとともに挑むホープフルSへの意気込みをお願いします。

三浦 この馬の良い走りをさせてあげられれば、間違いなく結果がついてくると思いますので、とにかくそこに集中したいです。

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▲与えられた自分の環境で、1番良い仕事ができるように(撮影:下野雄規)


(文中敬称略)

当コラムの次回更新は1月15日(日)18時予定です。

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