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馬に乗り続ける為、プライドを全部捨て挑み続ける 支えてくれる全ての方へ「来年も頼むで!」

  • 2022年12月27日(火) 18時01分
太論

▲ワンダーブレットで挙げた今年の初勝利時(c)netkeiba.com


2022年最後の騎乗となったワンダーブレットは8着。勝ち馬にピッタリついてこられて、逃げ馬にとっては厳しい展開になりました。とはいえ、小牧騎手に悲観の色はなく、「小倉の1700mで巻き返したい」と力強く宣言。このほか、中山大障害でGI初騎乗となった加矢太騎手についてや来年の目標など、相変わらずのぶっちゃけトークで2022年の『太論』を締めくくってくれました。

(取材・文:不破由妃子)

なかなか乗せてもらえんつらさも乗り越えていかな!


──昇級初戦のワンダーブレットは8着(12月25日・阪神9R・鳥取特別)。厳しい展開になりましたね。

小牧 もうちょっと辛抱してくれるかと思ったんやけどね。勝った馬(サンマルレジェンド)が一枚上やったわ。強かった。

──半馬身差くらいで外からピッタリついてこられて。4コーナーでは持ったままで並びかけられて、逃げ馬にとってはつらい展開だなぁと思いながら見ていました。

小牧 スタートしたあと、なんでスペースを空けてくれてるのかなと思いながら行ったんやけど、(サンマルレジェンドは)ハナに行くと物見をするから、行きたくなかったんやて。道中もね、大概ペースは楽でしたよ。だから、もうちょっと辛抱してくれんかなと思ったけど、やっぱりクラスがひとつ上がると楽な競馬はさせてもらえんね。距離も長かった、たぶん。調子はすごく良かったんやけど。

──最終追い切りでは、自己ベストタイの時計が出ていました。

小牧 そうやねん。それほどビッシリ追ったわけではないのに、あの時計。調子はすごく良かったよ。内外が逆で、2番手で競馬ができたら、最低でも着はあったと思う。まぁ最後もバタバタにはならんかったし、相手が強かったということ。逃げなくてもいい競馬ができる馬やし、全然悲観してないよ。今度は小倉の1700mを使う予定(1月21日・小倉城特別)やから、なんとか巻き返したいね。

──ハワイアンパレスは10着(12月25日・阪神1R・2歳未勝利)。道中は、初戦よりいい感じで追走しているように見えました。

小牧 うん。初戦に比べれば、全然よかったよ。あの馬、走らんわけではないと思う。ただ、初戦でちょっと気合いを入れていったぶん、今回はいい感じで行き過ぎた。でもね、この馬も悲観するような内容ではなかったよ。後ろからジックリ行って、直線で下がってきた馬をかわすだけの競馬で10着というわけではなくて、前々で戦いに行った結果の10着やから。この馬も、次は小倉の1700mを使おうやって提案してるんやけどね。次こそ頑張らないと、スリーアウトになってしまうから。

──3戦連続9着以下だと、2カ月の出走停止に。

小牧 そうやねん。もっと走れると思うんやけどなぁ。馬主さん(小林量氏)のためにもね、この馬には頑張ってほしいと思ってるよ。来年も伊藤(永二郎氏)さんとか知り合いの馬に乗ることがほとんどやと思うから、応援してくれる馬主さんの馬で勝つことが目標やね。まだ勝てていないから。早く1勝したいわ。

──本当ですね。さて、土曜日は加矢太さんが中山大障害でGI初騎乗(ケンホファヴァルト8着)。

太論

▲小牧加矢太騎手が中山大障害に騎乗(ユーザー提供:煮物さん)


小牧 結果は残念やったけど、いい競馬だったと思う。積極的でね。

──どこで観戦していたんですか?

小牧 調整ルームのサウナで見てたわ。

──あの時間にすでに調整ルーム入りしていたんですね。

小牧 うん。いつもは夕方くらいに入るんやけど、あの日は最初から調整ルームのサウナで大障害を見ようと思っていたから、早めに入ったんやわ。大きいテレビがあるねん。誰もいないサウナでね、ひとりで見ました。

──レース後、加矢太さんとお話しされましたか?

小牧 話したよ。日曜日の競馬が終わったあと、ふたりで帰ったからね。考えてみれば、1年前は競馬に乗ったこともなかったんやからね。まさか1年後に中山大障害に乗ってるなんて思わへんやん。「それってすごくない?」とか、そんな話をしてたわ。競馬に関しては、まったくの素人だったわけやから。学校で習ったわけでもないしね。

──そうですよね。人生って不思議。

小牧 当然やけど、今は試行錯誤してるんちゃうかな。今年は今のところ9勝やけど、来年はもっと勝てると思う。楽しみや。とにかく、僕も加矢太もケガなくね。僕の場合、精神的にも切れんように乗っていけたらいいなと思ってるよ。

──やはり気持ちとの闘い。そこが焦点になりますか?

小牧 そうやね。開き直らなアカン。プライドも全部捨てんかったら、続けていけんわ。まぁこれからも乗り続けたいなら、なかなか乗せてもらえんつらさとかも乗り越えていかな。

──「小牧騎手を応援し続けたい!」「まだまだ辞めないでください!」などなど、ファンの方から毎週のように応援メッセージが届いていますよ。なにしろ、応援してくださる馬主さんもいますから。

小牧 本当に感謝しています。体も気持ちもキープしながら、来年も頑張りたい。オーナーの伊藤さんは、兄弟で『太論』を読んでくれているみたいやからね。この場を借りて……「来年も頼むで!」(笑)。

(文中敬称略)

当コラムの次回更新は1月10日(火)18時予定です。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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