スマートフォン版へ

“種牡馬ディープインパクト”の高い能力を改めて実感

  • 2023年01月10日(火) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・1/8 シンザン記念(GIII・中京・芝1600m)

 中団を追走したライトクオンタムが直線で大外から伸び、逃げ粘るペースセッティングをゴール前でとらえました。新馬戦を勝ったばかりの紅一点。馬体重は428kgしかありませんが、父ディープインパクト譲りの瞬発力は見事というほかなく、平均馬体重492kgの牡馬6頭をなぎ倒しました。

 現4歳のディープインパクト産駒は“実質的なラストクロップ”と言われましたが、これは本当のラストクロップである現3歳の血統登録頭数が6頭しかいないためです。シーズンを通じて種付けできたのは12世代で、最後の13世代目はシーズン開始直後に体調を崩したため、序盤に種付けをした少数の繁殖牝馬が受胎しただけでした。ひとつの世代としてカウントしづらいため、13世代目はオマケのように扱われたというわけです。

 しかし、このオマケのなかから、ライトクオンタムと英G1馬オーギュストロダンを送り出すのですから、ケタ違いの能力を持つ種牡馬であったとあらためて感じさせます。本当のラストクロップは、日本6頭、海外6頭。前述のオーギュストロダンのG1制覇によって、全13世代すべてからGI馬が出現したことになり、今回の勝利で日本でも全世代から重賞勝ち馬が誕生しました。

 もしライトクオンタムが桜花賞かオークスを勝てば、13世代連続でわが国のクラシックレースを制覇することになります。ちなみに、オーギュストロダンは英ダービーの前売りオッズで、断然の1番人気に推されています。

・1/9 フェアリーS(GIII・中山・芝1600m)

 後方を追走したキタウイングが最内から突き抜けました。コースロスなく内ラチ沿いに進路を取った杉原騎手のファインプレーです。父ダノンバラードはディープインパクト産駒の内国産種牡馬で、現役時代にアメリカJCCを勝ちました。2015年から日本で2年間種付けをしたあと、2017年にイタリアで、2018年にイギリスで供用され、2019年に買い戻す形で日本に帰ってきました。

 三冠馬コントレイルと同じく「ディープインパクト×アンブライドルド系」という配合構成で、2代母はデヴィルズバッグやグローリアスソングの全妹にあたる超良血。アメリカ血統が強いので、配合次第で芝向きの産駒もダート向きの産駒も出せるタイプです。

 これまでロードブレスがダートグレード競走の日本テレビ盃を勝ったほか、ナイママが札幌2歳Sで2着、グラニットがサウジアラビアロイヤルCで2着となっています。キタウイングは芝で重賞を勝った初めてのダノンバラード産駒。パワー型の血を抱えているので、時計の掛かる馬場になればさらに良さそうです。

今週の血統注目馬は?


・1/15 ジャニュアリーS(OP・中山・ダ1200m)

 アヌラーダプラは6歳にして初めてのダート挑戦。母ポロンナルワはグローリアスソング2×3という強烈な牝馬クロスを持ち、繁殖成績は優秀。他にディーパワンサ(阪神JF-4着)、ガルヴィハーラ(全日本2歳優駿-3着)などを産んでいます。父キングカメハメハ、母の父ラーイはともにダートOKの血。初めてのダート挑戦ですが、いきなり結果を出してもおかしくないでしょう。

今週の血統Tips


 正月開催の4日間を終えた時点で、JRA種牡馬ランキングは、1位ディープインパクト、2位ハーツクライ、3位モーリスの順。いずれも重賞勝ち馬を出した種牡馬です。3位モーリスは昨年の暮れ、シャトル供用先のオーストラリアから帰国しました。オーストラリアで供用されるのは通算5回目。新型コロナの蔓延で2020年は中止となりましたが、それ以外は皆勤賞です。

 社台スタリオンステーションでは、他にアドマイヤマーズがオーストラリア、サトノアラジンがニュージーランドでシャトル供用しています。これらは春秋の2回種付けを行っているわけですから、タフとしか言いようがありません。アドマイヤマーズ産駒のデビューはまだですが、モーリスとサトノアラジンは現地で複数の重賞勝ち馬を出しており、人気を集めています。

 ちなみにモーリスは昨年秋、160頭以上に種付けをしたとのこと。すでにGI勝ち馬2頭を含めて3頭の重賞勝ち馬を出しているので、今後も頻繁に産駒が活躍するニュースが流れてくることでしょう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング